英雄伝説 時幻の軌跡   作:にこにこみ

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41話 実技テストV

8月25日ーー

 

今日は実技テストが行われる日。 5度目ともなれば流石に慣れたが……クロウとミリアムにとっては初であり、レト達はグラウンドに集合していた。

 

「さてと、お楽しみの実技テストを始めましょうか。 君達、準備はいいわね?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「いつでも行けるよ」

 

「やれやれ、1年に編入しても実技(コレ)ばっかりはラクできそうにねえなあ。 一応補習の名目だからバックレることもできないしよ〜」

 

「先輩……そんなことしたら本気で卒業できなくなりますよ?」

 

「隙あらば授業は寝ちゃうし、こういう時くらいは本気を出して欲しいわよね……」

 

それぞれがやる気や意気込みを見せる中、クロウだけは気だるそうに声を漏らす。 マキアスとアリサはクロウに対してため息しか出てこなかった。

 

「ハハ、分かってるっつーの」

 

「ねえ、聞いた話じゃガーちゃんみたいなのを相手にするんだよね?あ〜、わくわくするなー! はやくやろうよ〜!」

 

「ええい、騒ぐな鬱陶しい」

 

「あはは、このぐらい騒がしい方が緊張感なくて気が楽でいいけどね」

 

「それを言うのはレトくらいだよ……」

 

はしゃぐミリアムを鬱陶しがるユーシス、それを見たレトは楽しそうに笑いエリオットが少しため息をつく。 と、サラ教官が愉快そうに微笑みながら本題へと入ろうとする。

 

「フフ、二人増えたくらいで随分賑やかになったもんね。ま、要望通りに戦術殻を出してもいいんだけど……折角新メンバーもいることだし、今回は趣向を凝らそうかしら?」

 

「趣向……ですか?」

 

「ふむ、今日はどのような思い付きなのやら」

 

「フフン、思い付き上等! こういうのは柔軟にやってこそよ!」

 

最初からそれをやりたかったかのようにテンションを上げるサラ教官。 どうやら今回も予定通りに実技テストは行われないらしい。

 

「ーーという訳でリィンとレト! そして新入りのクロウ、ミリアム!」

 

「は、はい!」

 

「はい」

 

「おう」

 

「はーい」

 

「ーーあんた達、チームね」

 

「え」

 

(ふーん?)

 

突然の宣告に虚を突かれたように驚くリィン。 しかし、それは横に置かれてしまい、サラ教官は残りの8人に視線を向ける。

 

「残り8人は、男女に別れてチームを組みなさい。マキアス達副委員長チームとエマ達委員長チーム、そんでリィン達達変則チーム……以上3組で模擬戦をやるわよ!」

 

本格的な対人戦……思い付きにしてはかなりハードな実技テストだ。 しかもバランス良く戦力を3つに分けられている。 リィンは少し納得はしなかったが……サラ教官の説明で渋々納得した。

 

「さてと……まずは変則チームと副委員長チームからね。各自、準備してから配置についてちょうだい。 あ、それとレトは武器を1つだけにしてちょうだい。 一戦ごとに変えてもいいけど模擬戦中は1つだけよ」

 

「分かりました」

 

レトだけが制約をつけられてしまったが……当の本人は特に気にしないで得物を槍に決めて準備を終え、両チームは配置についた。

 

「まずは男子達が相手か……あのメンツなら、どの間合いからでも柔軟に対処してきそうだな」

 

「まあ、要するに皆やっつければいいんだよねー?」

 

「ハハ、違ぇねえ。 だが油断は禁物だらうぜ」

 

「間合いを計りつつ、一気に崩して行こう」

 

「フフ、双方、準備は出来ているわね」

 

サラ教官は全員が臨戦態勢に入ったのを確認すると……

 

「それではーー始めっ!!」

 

模擬戦の開始を宣言した。 開始と同時にユーシスとガイウスが走り出した。 2人それぞれをリィンとレトが対応に当たり、刀と剣、槍と十字槍をぶつけ合う。

 

「フ、やるな」

 

「そっちこそ!」

 

お互いに賞賛しながらリィンとユーシスは斬り結び合う。

 

「よっと……また腕を上げたんじゃない?」

 

「そちらもな!」

 

レトは次々と十字槍による突きと薙を見切りながら避け、ガイウスは手を休めず攻撃を続ける。

 

「いっくよー!」

 

ミリアムは駆け出し、後衛のエリオットに向かっていく。 その行く手をマキアスが阻み、牽制としてショットガンを撃たれたが、アガートラムが前に出て腕を交差し防御した。

 

「そらよっ!」

 

その隙にクロウが接近し2丁拳銃を撃つが、エリオットはその前にアーツを発動した。

 

「ーーエアリアル!」

 

突風が巻き起こり、銃弾は風に流されて外され。 風はミリアムとクロウに襲いかかった。

 

「チッ……! 流石に魔法の発動が早えな……!」

 

「負けるもんかー!」

 

「まだまだ行くよ!」

 

アガートラムが障壁を展開して風を防ぐ中、エリオットがまたアークスの駆動を始めた。

 

「解け……童子切!!」

 

そこでレトが槍を正面に構え、高速で突進した。 ガイウスは咄嗟に避けだが……レトは止まらず、そのままリィンと鍔迫り合いをしていたユーシスに向かった。

 

接近に気付いた2人は互いの得物を弾く事で避け……レトは方向転換をし、次はエリオットとマキアスに向かって行く。

 

「うわあっ!?」

 

「な……!?」

 

レトは2人を吹き飛ばす用に横を通り抜け、縦横無尽に駆け回る。 辺りがレトによって掻き回させる中……クロウが正確に、レトにギリギリ当たらないようにしながらユーシスとガイウスを撃ってきた。

 

「何っ!?」

 

「レトが走り回る中……なんて正確な射撃だ」

 

「! 皆、レトとクロウ先輩はリンクを繋いでいるよ!」

 

「なるほど、それでか!」

 

レト達は最初前衛と後衛に分かれてリンクを繋いでいたが、いつの間か変わっており。 クロウはレトがいる位置と向かう先を把握できるため躊躇せずに撃て、レトも弾が来る位置が分かるため気にせずに走り回れた。

 

「いっけー、ガーちゃん!」

 

そこでミリアムがアガートラムに指示を出し、右腕をマキアスに振り下ろした。

 

「なーーぶふっ!!」

 

場をレトに振り回されたため接近に気付くのが遅くなってしまい、腹部を強く強打されてマキアスは吹き飛ばされてしまった。 その際メガネが外れて宙に舞った。

 

「マキアス!」

 

いつの間にかレトが足を止めて、アークスを駆動していた。

 

「グリムバタフライ!」

 

「クレセントミラー!」

 

ほぼ同時にエリオットとレトの魔法が発動。 月の光がレト達を包み、さらに黒い蝶がレト達の周囲に飛び交い……破裂して衝撃を放つが……

 

「うわああああっ!!」

 

4人が受ける筈だったグリムバタフライはクレセントミラーで全てエリオットに返された。

 

「追いつきつつあるとはいえ、アーツ使いとしての力量はレトの方がまだ上ね」

 

「マキアス、エリオット!」

 

「チッ……相変わらず面倒な手を使う」

 

「それが僕だからね!」

 

「今だ! 一気に決めるぞ!」

 

『おお!』

 

レト達は一気に畳み掛け……リィンとミリアムがユーシスとガイウスを制圧した。

 

「ーーそこまで!変則チームの勝利!」

 

と、そこでサラ教官が止めに入り。勝敗が決した。

 

「連携の差で打ち勝ったな、まあ及第点ってところか」

 

「ふう……やったか」

 

「く……してやられたな」

 

「はあ、さすがに悔しいね……」

 

パンパン!

 

両チームは得物をしまい、一息つこうとした所をサラ教官が手を叩いて止めた。

 

「はいはい、後がつかえてるんだから和むのはまだ早いわよ〜! 次、変則チームと委員長チーム! 5分の休憩後に始めるわよ!」

 

「れ、連続ですか!?」

 

「んー、ボクは別にいいけど」

 

「やれやれ、スパルタだねえ」

 

「まあ、このくらいなら」

 

武装のチェックと休憩を行い、5分後……準備万端なラウラ達と向かい合った。 レトはどこからか銀の片側に反りのある大剣を取り出して構えた。 今回は大剣でいくようだ。

 

「とりあえず体力は回復できたけど……」

 

「やっぱり、なんと言ってもラウラとフィー嬢ちゃんの前衛コンビが要注意だな」

 

「アリサとエマの後方支援も侮れないよ」

 

「んー、そんな感じだねー」

 

「ああ……だがそこに、突破できる糸口があるはずだ」

 

「さあ、2戦目行くわよ! お互いに全力を尽くしなさい!」

 

レトは肩に担いでいた大剣を持ち上げ、左上に持ち上げて八相の構えを取り。 ラウラは中段に持っていた大剣を頭上に掲げ、上段に構えた。

 

「ーー始めっ!!」

 

「でやあああああっ!!」

 

「はああああああっ!!」

 

そしてレトとラウラは同時に地面を蹴って走り出し……青い大剣と銀の大剣は衝突し、衝撃が辺りに広がって行く。

 

「大剣でラウラと戦うのは初めてだね!」

 

「以前から大剣は使えると知っていたが……旧鉱山の際に見た時に剣の冴え……改めて目の当たりに出来て光栄だ!」

 

「うわわっ!?」

 

「なんて凄まじい剣気だ……!」

 

「やべぇやべぇ、これじゃああの2人の間に割って入れねえな」

 

「ど、どうすればいいのよ?」

 

「……ん、これじゃあ援護もできない」

 

「でも、補助アーツならなんとか……!」

 

残りの両チームの3人は攻めあぐねていたが、エマがアークスを駆動し始めたのを見てリィン達も迂回しながら進行を開始する。

 

「2人とも一刀で急所を斬り伏せに来る剛の剣……けど、レトの方は……」

 

レトは一瞬大剣を上段に構えると……流れるような太刀筋で怒涛のような剣戟を繰り出した。

 

「迅い!」

 

「一気に回転を上げたわね……柔らかさもある分、ラウラは不利ね」

 

「くっ!」

 

重い大剣による怒涛の剣戟にラウラは後退しながら防ぐしかった。

 

「まだまだ……! はああ……地裂斬!!」

 

隙を縫って距離を取り、ラウラは渾身の一撃で大剣を振り下ろした。 斬撃が地面を割りながら走り、レトは迫ってきた斬撃を軽く跳んで避けた。そして、距離が離れた事で……

 

「ヒュ」

 

フィーが一気に距離を詰めてきた。

 

「おっと」

 

フィーは持ち前のスピードと手数で攻める。 レトは大剣なので本来なら押されるはずなのだが……レトは大剣を逆手に持ち替え、刀身で銃弾を防いでいく。

 

「ラウラさん、大丈夫ですか!?」

 

「ああ……感謝する」

 

エマが治癒魔法でラウラを癒しす中……今まで模擬戦に参加出来ていないミリアムが不満を爆発させた。

 

「むぅ……ボクを差し置いて盛り上がるなんてずるいぞー!」

 

「ミ、ミリアム!?」

 

アガートラムが光り出し……ハンマーに変形しミリアムが手に取った。

 

「いっくよーー、ガーちゃん!! ギカント……ブレーーイク!!」

 

ハンマーに付けられていたブースターが火を噴き、上昇してから振り下ろされたハンマーは地を割り、衝撃で全員まとめて吹き飛ばされてしまった。

 

「きゃっ!?」

 

「もう、メチャクチャね!」

 

「ーーそうでもないさ」

 

「そう言うこった」

 

「え……」

 

あの衝撃の轟音を利用してアリサとエマの背後にリィンとクロウが回り込んでおり、2人の後頭部を2丁拳銃が狙っていた。

 

銃口が頭の後ろに向けられている事にすぐ気付いたアリサとエマは両手を上げる事しか出来なかった。

 

「アリサ、エマ!」

 

「行かせるか!」

 

助けに向かおうとしたラウラをリィンが止め、フィーはレトの相手で手一杯でラウラの援護にも行けなかった。

 

「強過ぎ……!」

 

「フィーに手加減できる程強くないからね」

 

フィーの双銃剣の連撃を逆手の大剣で防ぎながらレトはラウラとリィンの方に意識を向ける。

 

「そなたも腕を上げたな!」

 

「そうかもしれないな。 けど、ここまで来れたのは俺1人だけの力じゃない!」

 

「ーーリィン!」

 

「ああ!」

 

『!?』

 

次の瞬間、2人は入れ替わるように戦う相手をチェンジした。

 

「せいやっ!!」

 

「はあっ!」

 

「あ……」

 

「しまーー」

 

レトは移動の際大剣を地面に引きずりながら振り抜き、リィンは納刀から素早い抜刀で……2人の武器を上空に弾いた。

 

「ーーそこまで!」

 

そこでサラ教官が模擬戦終了を宣言し、両チームはお互いの武器を下ろして構えを解いた。

 

「勝者、変則チーム! いや〜、やるもんだわ。あたしもうかうかしてられないわね」

 

「はあ、上手くいっていると思ってたんだけど、負けちゃったわね」

 

「今一歩及ばず、だな……さすがはレト達か」

 

「レト、反則級過ぎ……」

 

「あはは、僕も気を抜いていたら足元を取られかねなかったよ」

 

「いや〜、オメェがいたおかげで楽できたわあ」

 

変則チームはこれで終わりとなり、その後残りの委員長チームと副委員長チームの模擬戦が行われ……委員長チームの勝利で決着がついた。

 

「うんうん、皆よく頑張ったわねー。 それにしても、リィン達のチームはやっぱりキモだったわね〜。 2戦とも勝利を収めるなんてやるじゃない」

 

「はは、やっぱり3人の力が大きかったと思いますけど」

 

「いやー、お前も中々のモンだったと思うけどな」

 

「うんうん、ボクも見直しちゃったかなー」

 

「ま、全員のおかげってところですかね」

 

「ーーやれやれ、相変わらず突拍子もない模擬戦を……」

 

と、そこで逞しい男性の声が聞こえてきた。 レト達は声が聞こえた方を向くと……階段の上にナイトハルト教官の姿が見えた。

 

「あら、実戦でも連戦なんて珍しくもないのでは? 実力が拮抗する相手にどう対処するかも兵法のひとつでしょう?」

 

「……まあ、否定はしないが」

 

隣に来たナイトハルト教官にサラ教官はそう言い、ナイトハルト教官は納得しないもその言葉に同意した。

 

「えっと、どうしてナイトハルト教官が?」

 

「ま、まさかこのまま教官と模擬戦なんて言うんじゃ……」

 

「あはは、違う違う」

 

流れで今度はナイトハルト教官と模擬戦……サラ教官の性格から考えていきなりこんな事を言い出してもおかしくはないが、流石にそれはしないとマキアスの感じ取っていた嫌な予感を笑いながら否定する。とはいえサラ自身はそれも面白そうだと考えていたが。

 

「次の特別実習は、前回の帝都と同じくちょっと変則的でね。 彼も段取りに関わっているから、こうして来てもらったの」

 

「変則的、ですか……?」

 

「何やら思わせぶりだな」

 

「ま、ちょうどいいからこのまま実習地の発表と行きましょうか」

 

そして配られていくプリント。 これもいつもの恒例なのでレト達は気負いなくプリントに目を落とす。

 

 

【8月特別実習】

 

A班:リィン、レト、ガイウス、ラウラ、エマ、ミリアム

(実習地:レグラム)

 

B班:ユーシス、マキアス、エリオット、クロウ、アリサ、フィー

(実習地:ジュライ特区)

 

※2日の実習期間の後、指定の場所で合流すること

 

 

メンバーの班分けや実習先はいつも通りだが、下の方にいつもとは違う記述が書かれたあった。 どうやら最初の方は何時も通りに実習をやってもらい、その後Ⅶ組メンバー集めてどこかへ行くようだ。

 

「これって……」

 

「A班のレグラムは、確かラウラの故郷だっけ」

 

「ああ……クロツェン州の南部に位置する湖畔の町だ。 年中濃い霧に包まれ、多くの伝承が残る中世の古城などもある」

 

「……中世の古城……」

 

(…………レグラムか……)

 

ラウラが帰郷していたら二度手間になっていたと苦笑している中、レトは少し暗い感じでレグラムの名を聞こえないように呟いた。

 

「そして、俺達が向かうジュライ特区……」

 

「帝国最北西の海岸にある旧自由都市の名前だな。今は帝国政府の直轄地になっていたはずだ」

 

「あー、あそこかあ。 8年前くらいにオジサンが併合した場所だねー」

 

「ミ、ミリアムちゃん……」

 

「オジサンと言うと……」

 

「ま、想像通りだろうね。 あの人の欲は、併呑した国の大きさよりも巨大だからね」

 

「レトももっと言葉を選べ……」

 

1番鉄血の異端を目の当たりにしているレトがため息混じりに言うと、マキアスはさらに嘆息した。 そこで皆が疑問に思っていた一文についてガイウスが質問した。

 

「それで、この最後の一文は……?」

 

「そういえば今までこんな記述はなかったわね」

 

「サラ教官、これは……?」

 

「フフ、それについてはナイトハルト教官の方から告げてもらおうかしら」

 

「心得た」

 

ナイトハルト教官は1度咳払いをしてから説明を始めた。

 

「諸君には各々の場所での実習の後、そのまま列車で合流してもらう。 合流地点は帝国東部ーーガレリア要塞だ」

 

ガレリア要塞……その言葉を聞いたレト、ラウラ、ガイウス、エリオット、クロウ、ミリアム以外の全員に驚きが走る。

 

「ガレリア要塞……!」

 

「共和国側に備える帝国正規軍の一大拠点……」

 

「ドレックノール要塞と同規模とされる要塞か……」

 

「通常の実習をこなした後で、そんな場所に行くんですか……!?」

 

「あくまで特別実習の一環としてな。 ガレリア要塞では自分も実習教官として合流する。 無論、あの場所ならではの特別なスケジュールをこなしてもらう予定だ」

 

「特別なスケジュール……」

 

「へー、何だか面白そう!」

 

「面白がるな」

 

「ハハ、参加早々からハードな実習になりそうだぜ」

 

(ガレリア要塞での実習という事は……王国軍と違ってご飯は不味そうだなぁー……)

 

「………………」

 

純粋にワクワクした様子のミリアムを溜め息を吐きながらユーシスが宥める。 各々が不安などの感情を抱く中、エリオットだけが複雑な表情をしていた。

 

「……どうした?」

 

「う、ううん、何でもないよ」

 

その様子に気付いたガイウスが声を掛ける。自分の心情が表に出てきてしまっている事に気付いたエリオットが慌ててそれを誤魔化す。

 

「フフ、とにかく気を引き締めておきなさい。 それと、ガレリア要塞ではあたしも合流するつもりだから。 可愛い生徒達が頭の固〜い軍服のお兄さんにいじめられないように、ねぇ?」

 

棘のあるを言葉を嫌味なく言うサラ教官。 それを受けたナイトハルト教官もまたその言葉を買っていまう。

 

「……自分はカリキュラムを逸脱した理不尽なしごきをする予定はない。 どこかの気分屋な教官と一緒にしないでもらいたいものだ」

 

「む……」

 

無言のままナイトハルト教官を睨みつけるサラ教官に対し、ナイトハルト教官もまたサラ教官を睨みつける。

 

そんな、一触即発の雰囲気に陥った2人を見て、VII組メンバーは内心で溜め息を吐くのだった。

 

(この日程……西ゼムリア通商会議と重なっている。 これはまた波乱万丈になりそうだね)

 




敵や魔獣ならともかく……味方同士の戦闘はやはり難しいですね。

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