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学校行った後に時間が空いていたので、またお徳用うみゃあ棒を買って、双葉へ持っていった。「待ちかねたよ……。ワタシを、いつまで待たせるつもりなんだい?」と妙に見透かしたような事を言われたのがなんだか鼻に付いた。きっとあの時、頬に手でも当ててキメ顔をしていたに違いない。なんとなく双葉との付き合い方がわかってきた気がした。
5/1
竜司とゲーセンへ行った。どうやら竜司は格ゲーが得意らしく、様々な機種に連れまわされては完膚なきまでにボコボコにされた。大人げない。あまりにも大人げなかったので、竜司を音ゲーエリアに連れて行って雪辱を果たした。帰り際にお徳用うみゃあ棒を買っていって双葉に渡しに行くと、「嫌がらせか!!」と怒鳴られた。仕方がないので扉の前で出来るだけ音を立てて食べていると、「よこせ!!」とまた怒鳴られた。……双葉との付き合い方が分かった気がした。
5/5
詳しい事は言えないけれど、皆と打ち上げをした。盛りに盛られた食事を囲んで、喋って、笑って、笑って、喋った。一ヶ月前にはお互いの名前すら知らなかった(竜司と杏は知り合っていたんだっけ?)とは思えない程のスピードで、仲が深くなっているのを感じる。竜司も杏も、割と積極的なタイプだからかな? 余った6000円を、何に使おうか迷っている。
5/9
竜司と勉強会を開いた。開始十分ですやすやと寝息をし始める竜司を叱咤激励しながら、なんとか明日の範囲を終える事が出来た。そして明日は明後日の範囲を詰めて、明後日は明々後日のという要領で終わらすつもりだ。……その日暮らし感が尋常じゃないけれど、背に腹は代えられない。諦めと妥協が、人を強くすることだってあるのだ。この事を双葉に言うと心底馬鹿にされそうなので、最近は双葉に会っていない。決して、テスト勉強の所為で行く暇がないという訳じゃない。
5/14
昼:喜多川と、斑目とかいう著名な画家と出会った。
高巻を絵のモデルにしたくて、ずっと付けていたらしい。胡散臭い。言動も一々どこか変な所があって、胡散臭さがさらに際立っていた。天才画家の所作は変態チックだと聞いた事があるけれど、そしたら本当に、喜多川は画家なのかもしれない。高巻が個展へ行こうとしていた事について、モルガナはずっと『ワガハイの杏殿がぁ……』とニャアニャアと叫んでいて煩い。猫か。思いがけない恋敵が出現したようだった。
夜:久しぶりに、今度はキットカットを持って双葉へ会いに行った。――――