Veronica Ⅱ   作:つな*

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Veronicaの昏倒

バミューダside

 

イェーガー君と公園の広場へ来てみれば、そこには白蘭・ディーノ・六道骸・ザンザスという最高戦力が立っていた。

なるほど、彼らはイェーガー君に主力を置いたのか、だがそれは間違っている。

彼らは他の復讐者たちを侮っている。

そう彼らを嘲笑い、イェーガーに殲滅するよう命じる。

そしてイェーガーと彼らの戦闘が始まった。

一対一を望んでいるのか、初めに白蘭がイェーガーと対峙するが、イェーガーにとって一対一は眼中にない。

敵は白蘭を相手取っているという意識を利用し、隙のある他の者達から片付けようとしたイェーガーが最初にザンザスへと攻撃をした。

だがザンザスは間一髪のところで避けた上、イェーガーに反撃さえした。

ほう、少し彼を侮っていたかもしれない。

今思い出せば彼には不可解な点があった。

確か彼は、他の者と違い沢田綱吉に負けたという事実はない。

ボンゴレリングを賭けた戦いでもリングが欲しかったわけでもなく、沢田綱吉を憎んでいたわけでもなかった。

8年前のゆりかごの冤罪が理由のボンゴレ九代目への復讐が本来の目的だと後に分かったが、ボンゴレ九代目に対して殺意という殺意を持っていたかと言われれば答え辛い。

彼は色々と謎である。

否、表面上では分かりやすく暴君であるが、それはあくまで表面上だ。

本当の姿が分からない、実力が未知数という意味でなら、リボーンの言葉で成長を重ねる沢田綱吉と並ぶのかもしれない。

そんな考え事をしているとイェーガー君が白蘭の心臓を貫いていた。

それを見た僕はそろそろ炎が足りなくなっているだろうと思いだす。

そしてイェーガー君が相手側から距離を取ったのを合図に、僕はイェーガー君に近寄ろうとした。

だが、それはザンザスの攻撃で妨げられた。

驚きながらも炎の銃弾を避ける。

ザンザスがイェーガー君へと攻撃を続けるせいで供給を出来ず、イェーガー君が見て分かるほど息を乱し始めた。

僕はそんな中、ザンザスへと思考を巡らせた。

あれが偶然である確率は高いが、それでも僕とイェーガー君を隔離しようとした行動は炎の動力源に気付き始めている可能性もあるのだ。

僕はザンザスに警戒し、漸くザンザスから距離を取ることの出来たイェーガー君の肩に乗り、炎の供給をする。

ザンザスが僕らを目にすると舌打ちをして、目を凝らさないと見えない程僅か数秒だけ他の者の様子を横目で確認していた。

それを見た僕はほぼ確信したのだ。

ザンザスはこの場で誰よりも状況を把握している。

そして、炎の供給についても気付いているのだと。

奴は危険だ。

 

「イェーガー君、ザンザスから殺せ」

「「「!」」」

「分かった」

 

僕はイェーガー君にザンザスを優先的に殺すよう命じた。

そして炎を補給し終えたイェーガーがザンザスへと向かって行く。

まだ確証がないのか、炎の供給に関して指摘する様子はない今の内に彼を殺しておかなければ。

だがザンザスはイェーガー君の攻撃を間一髪で躱し続ける。

僕は彼が反射で避けているのではなく、ほぼ直感で避けていることに気付いた。

点と点の移動には速度はなく、人間である限りそれを捉えることが出来ないことを彼はよく理解している。

だから勘で動いているのだ、否、そうするしかない。

そんな中イェーガー君がディーノを戦闘不能にした。

殺そうともしたが雲雀恭弥に妨げられる。

そしてイェーガー君が僕の元に戻ろうとした時だ。

 

「おい!イェーガーをバミューダに近づけるな‼」

 

そう言って彼は僕たちの間に数発炎を撃ち込んだ。

彼が確信に至ったのだろうと分かると、僕はイェーガーの肩へと瞬間移動し、供給を始めた。

ッチ、これで多分最後になるだろうな。

 

「どういうことですかザンザス」

「やはり君は気付いていたか…君は最初に殺すべきだった」

 

本当に、心からそう思うよ。

君はこの場にいる誰よりも状況を把握し、理解している。

その実力は君が復讐者でないことが悔やまれるほどだ。

 

「復讐者の動力源は全てバミューダから供給されている、だがそれは相手に接触しなければ供給出来ない…」

「!…なるほど、バミューダがイェーガーの肩に頻繁に乗っているのはその為だったのか!」

「精々全身のワープは2回、部分なら4~5回ってところか」

「そこまで観察していたか、末恐ろしいな」

「おい!それはルール違反だぞ」

 

リボーンの言葉で尾道が出てきて、今後の供給は失格とみなす、と警告をしてきた。

僕は最後の供給をイェーガーにして、彼から離れた。

イェーガー君は彼らを直ぐに殺そうとしていたけれど、六道骸と雲雀恭弥の協力もあってザンザスに重い一撃を喰らってしまった。

僕はイェーガー君の時計が壊れていないかを確認し、傷を見る。

これ以上戦うことはおろか、立つことさえ出来ないであろう彼にザンザスが近寄り、ウォッチを破壊しようとしていた。

そんなことをさせるわけもなく、僕は呪解してザンザスの心臓向けて拳を振りかぶった。

だがザンザスの心臓へと僕の拳が届くことなかった。

僕とザンザスの間にスクアーロが割り込んできて、僕の拳はスクアーロの心臓を貫いたところで威力を失った。

スクアーロは口から血を吐き出し、その血が僕の服へと飛び散る。

僕は彼の心臓から腕を引き抜くと、彼は地面に倒れ込んだ。

口からも心臓からも止めどなく血を流し、薄く開いた目は閉じることはなく、即死だと誰の目にも分かる様子だった。

 

「ッチ、思わぬ邪魔が入ったようだ…」

 

そしてスクアーロという障害が消えた今、僕は目の前のザンザスへと目線を上げ、目を見開いた。

 

なんだ…あれは……

 

部下の死に何の反応も示さぬザンザスの顔には、無数の血管のようなものが浮かび上がっていた。

それは彼の瞳のように、赤黒く、首元から全身へと広がっていく。

指先まで浮き上がるソレを見ていると、ザンザスが徐に腕を上げる。

 

瞬間、炎の濁流が僕を襲った。

 

「!?」

 

驚いた僕は両手で顔を覆いながら、距離を取ろうとした。

だが足を動かす前に僕の視界は天地が反転した。

 

――――?

 

それが殴られたと分かったのは、地面の冷たい感触と、殴られた頬への痛みが脳に伝わった後だった。

直ぐに立ち上がろうとするが、先ほどの攻撃が重かったのか足がふらつく。

馬鹿な…この僕が見えなかっただ、と……

どうにか立ち上がりザンザスの方を見て、今度は絶句する。

何だ…この炎圧は………

ザンザスの周りを覆う炎の炎圧が僕の肌をジリジリと焦がしていく。

既にザンザスのウォッチは彼自身の炎圧で壊れているにも関わらず、彼はそれに気付いていない様子で僕へと焦点を合わせていた。

ふと、目の前にいたザンザスが消える。

僕は危険を察知し瞬間移動をしようとした矢先に、顔全体を鷲掴みにされ地面に投げつけられる。

 

「が……はっ……」

 

脳震盪を起こす頭で必死に考える。

立て直さねばっ…!

そう思った刹那、こちらに近寄って来るザンザスの動きが止まる。

それを好機だと思い、僕は瞬間移動で彼の背後へと移動する。

 

「――…」

 

ボソリ、とザンザスが何かを呟くと同時に僕の拳が彼の腹部を貫いた。

 

糸が切れたように倒れ伏したザンザスに、僕は漸く息を吐いた。

奥の手を隠していたか……

口と鼻から零れる血を拭い、今度こそ殺しておかねばと彼の心臓へと焦点を合わせる。

そして一気に加速する僕の拳を何かが阻んだ。

視界に入る茶色と橙色の炎でそれが何なのかが分かった。

 

 

「貴様、か!」

 

「お前は俺が倒す」

 

 

「沢田綱吉‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マーモンside

 

 

ボスが、雲雀と骸が捨て身で拘束していたイェーガーを倒した。

犠牲者が多く出過ぎた中、漸く相手のボスウォッチを壊せると思っていた時だった。

横たわるイェーガーのウォッチを壊そうとしたボスの背後に呪解をしたバミューダが迫っていた。

危ない、と叫ぶ前にバミューダは動いていて間に合わないと思った。

なのに…

 

「スクアーロっ……」

 

僕の目の前では、スクアーロの心臓をバミューダが貫いていたのだ。

そしてバミューダが手を引き、スクアーロが崩れ落ちる。

背後を振り向いたボスにスクアーロの血が飛びついていて、ボスは地面に横たわるスクアーロを見下ろしていた。

スクアーロを見下ろすボスの顔は何も映していなくて、ただ無表情だった。

ただスクアーロが倒れているという事実を確認するかのような眼差しでスクアーロを眺めていた。

ボスが状況を理解出来ずに、又はショックで固まっているとは見えなくて僕は困惑する。

そして次の瞬間ボスに変化が起きた。

 

「何だ…あれは……」

 

ボスの首元から血管みたいなものが浮かんできてる。

それは全身に広がり、指先にまで浮き出る。

するとボスがゆっくりと腕を上げてバミューダに向けて憤怒の炎を放った。

 

「!?」

 

少し離れている場所にいた僕にまで憤怒の炎の炎圧が襲う。

 

「うぉっ、何だコレ熱い!?」

「ぬお!?」

「な、何よコレ!」

 

ベル、レヴィ、ルッスーリアもボスの炎圧に困惑している。

今までボスと一緒にいてここまで凄まじい憤怒の炎は見たことなかった。

というよりも僕たちよりもボスに近いディーノや骸、雲雀、白蘭、スクアーロは危ないかもしれないと思った。

するとどこからともなくパリンと音がして良く目を凝らしてみると、倒れている者のウォッチがボスの炎圧で壊れ始めたのだ。

それを確認した僕はスクアーロの応急処置をしようと近づきたかったけど、ボスの炎が凄すぎて近寄れなかった。

直後、ボスがその場から離れバミューダへと攻撃を繰り出した。

今だと思い、僕はスクアーロの元へ行き傷の具合を確認して直ぐにスクアーロと共に距離を取る。

心臓が…潰されてる…!

僕は瞬時にスクアーロの心臓を幻術で補完する。

若干肌が火傷を負っているが、恐らくボスの側で先ほどの炎圧を浴びていたからだろう。

心臓を補ったとはいってもまだ油断出来ず、直ぐに救急車で病院へ搬送させるよう手配した。

その後白蘭や、ディーノと内臓系に重症を負った者の応急処置を僕が請け負っていた。

 

「ボス!」

 

重症者の応急処置で手一杯だった僕にベルの声が届く。

そしてベルの視線を辿り、僕は目を見開いた。

ボスがバミューダによって腹部を貫かれて倒れたのだ。

そしてバミューダがボスにとどめを刺そうとした瞬間に、沢田綱吉が割って入ってきた。

沢田綱吉バミューダを遠くまで移動させるとルッスーリアがすぐさまボスの元へ駆け寄り、担いで僕の元に走ってくる。

ルッスーリアがその場にボスを降ろし、僕はボスの傷口を確認しようと服を脱がせようとした。

 

「あ、待ってマーモン!」

「え、あっつ‼」

 

ルッスーリアの声と共にボスの傷口付近の肌を触った僕の指に超高温の熱さが襲う。

自身の指を見れば火傷していて、僕は目の前の横たわるボスに唖然としていた。

 

「何だい…コレ…」

「私もボスを運ぶ時、あまりの熱さに一瞬落としそうになったの」

「と、取り合えずボスの身体を冷やさなきゃ…!」

 

僕は予想外の事態に困惑していて、動転していた。

何をしていいかも分からず、有幻覚で氷を作ろうとした時だった。

ボンゴレの救助隊が到着した。

救助隊の中の茶髪をしたアジア顔の一人に、ベルが反応する。

 

「入江正一じゃね?お前まで今回の代理戦争に参加してたのかよ」

「白蘭さんに強制的に連れてこられたんだ!それよりも負傷者の容態を見せてくれ、応急処置するから」

「そういやお前晴だったな」

 

誰だい?とベルに軽く問いかければ、未来でミルフィオーレに潜入してたボンゴレ側のスパイ、とだけ返ってくる。

それでユニから貰った記憶にそれらしい人物がいたね、と納得した。

思考が大分飛んだが、我に返った僕は目の前のボスの容態を思い出す。

入江が白蘭の赤く染まった心臓を見て青褪めながら、ザンザスの方に視線を向け目を見開いた。

 

「これ、は……」

「ボスの容態が分かるのかい?」

「多分…憶測だけど、これ体内で炎を生成しているのに本人に意識がないお陰で外に放出出来ない状態…なんだと思う」

「何だって?」

「雨の炎の鎮静で、どうにか体温を下げなきゃ治療に取り掛かれない」

 

ボスの肌に浮き上がっているこの血管のようなものは、炎圧の高い憤怒の炎が神経を侵している為か。

短時間で何故直ぐにその状態が分かったのか理解しかねるが、やはり技術者というからには炎に詳しいのだろう。

入江の冷静な見解に、漸く自身も困惑した思考が落ち着いてくる。

雨の炎…スクアーロは既にバミューダにやられてしまった。

あとは、ボンゴレの雨の守護者……確か山本…

 

「マーモン、悪いけど病院まで来てくれ…他の重傷者には君の幻術が頼りなんだ」

 

入江の言葉で思考を現実に戻し、僕はボンゴレの救急車にボスと共に乗り込む。

途中でアーロに乗ったフランが乗り込もうとしたけど、治療の邪魔だと言って放り出される。

扉が閉まる際のフランの泣き顔が、何故か脳裏に焼き付いた。

 

車内ではボスの体温が高すぎるために治療は出来ず、サラサラと音を立てて落ちていく命の砂時計を幻視しそうになるほど、僕は焦っていたと思う。

病院内に着くと同時に、入江が駆け付けてきた。

 

「解決策!見つかったかもしれない‼」

 

もう、それに縋りつくしかないじゃないか…僕はただ、ボスを助けなきゃって思いで一杯一杯だったんだ。

手術室に運び込まれる前に入江が拳銃を取り出してきて、驚きのあまりボスと彼の間に入り込む。

 

「落ち着いてくれ…麻酔銃のように改造する時間がなくて悪いけど、これを彼に撃たなきゃいけないんだ」

「君頭おかしいんじゃない?」

「……これは炎を分解する銃弾が込められてる…数時前に完成したばかりで今回の代理戦争に投入するには成功率が低すぎて使えなかったんだけど、これしかもうない」

 

時間がない、と遠回しに言われるが、はいそうですかとボスを差し出すほど彼を知っているわけでもなく、警戒を解くことが出来なかった。

段々と砂時計が音を立てて落ちていく幻聴がする。

 

「炎の分解?そんな技術この時代にも、未来の時代にもありはしなかったね」

「説明してる暇はないけど、この技術の出所は未来のヴァリアーだ!後でスクアーロに聞いてみるといい!」

 

焦った彼の言葉が意外で、僕は固まる。

ヴァリアーの技術…?そんな馬鹿な…そんな技術力を持つ者がヴァリアーにいただろうか?

だがスクアーロの名前を出した彼の瞳に嘘は見当たらず、ボスが死んだらお前も殺す、と付け加えて僕はその場を退いた。

入江の手は震えていて、本当に大丈夫だろうかと気が気じゃなかった。

一発の銃声が院内に鳴り響く。

通常の火力を有した銃弾は、ボスの肩に着弾し血しぶきを上げる。

だが数秒後、ボスの首や腕まで広がっていた神経の様な模様が引いていくのが分かった。

 

「成功したっ……良かった、今すぐ手術室へ!」

 

僕の安堵を他所に、入江はボスを手術室へと運んでいき、背後では別の救急車が到着する音が聞こえた。

スクアーロも、白蘭も僕の幻術で生きているだけで、油断を許されない状況であることを思い出すと、緩みそうだった僕の緊張はさらに引き締まった。

そんな時だった。

僕の右腕に付けていたウォッチが鳴り響き、戦闘終了合図が流れた。

僕は既に戦線を退いたので、あの後無事沢田綱吉がバミューダを倒せたのかが分からず焦る。

そして敗退したチームと生存チームのグラフが表示された。

 

「「!?」」

 

その場に居た僕と、入江が目の前の表示に驚愕し、目を見開いた。

 

「ど、どういうことだ!」

 

そこには、生存チームにリボーンと僕が入っていた。

 

「マーモンのチームはザンザスがやられて負けたハズだ」

「ああ、僕も見たよ…ボスのウォッチが壊れているのを」

「この状況じゃ何も分からない、一度皆がいる場所に戻った方がいい」

「そうだね、僕はあの場に戻るけど、君はどうするんだい」

「僕は他の重傷者の容態も気になるし、ここに留まるよ……内臓を補ってる幻術に気を付けて行ってくれ」

「そうかい、じゃあね」

 

彼にはボスを助けてもらった借りもある為、少しだけ柔らかい口調で話しかけ、僕はその場を去った。

前線に戻れば案の定、誰もが困惑していて、リボーンが僕の姿の気付くと名前呼んでくる。

 

「おいマーモン、お前のボスウィッチは誰が持ってんだ?」

「ボスだよ、それよりも何で僕のチームがまだ生存してるんだい」

「いえ…ザンザスがしていたのはマーモンのウォッチではありません」

「何だって?」

 

僕の疑問に、リボーンの隣にいた風が応える。

 

「何故なら、私の代理人がザンザスだからです」

「!?」

「二日目の夜、雲雀恭弥とディーノが戦闘していた直前にザンザスから奇襲があり、雲雀のボスウォッチを奪い、雲雀の代わりに代理人にさせろと言われたのです」

「何だって!?何でそんなこと…いや、じゃあボスは風のボスウォッチをしてたっていうのかい!?」

「マーモンチームが生き残っているということは、そういうことでしょう…」

「じゃあ僕のチームは誰がボスウォッチを…待ってくれ、代理戦争の二日目?」

「ええ、彼は雲雀とディーノのいるホテルまで来ていましたよ」

「そんなハズはない!ボスは二日目まで戦闘時間中ずっと眠っていたんだ!」

「「「「なっ」」」」

 

僕が混乱している中、沢田綱吉が口を開いた。

 

「じゃあ、どっちか片方のザンザスは幻術…?」

「私の前に現れたのは本物です」

「なら寝ていたザンザスが?」

「そんな、ボスが幻術なんてありえない……だってフランがずっとボスの隣にいたんだよ…いくらフランでも相手が幻術かどうかだなんて見分けられ……!」

「そのフランの幻術だとしたら!」

 

僕はすぐさま振り返り、フランのいた場所に視線を移すとフランがこちらの視線に気付く。

 

「フラン!ウォッチを見せろ」

「………嫌ですー」

「フランっ!」

「ボスと約束したんですよ…誰にも見せるなって」

「………」

 

フランの言葉で、ボスウォッチはフランが持っていると分かった。

ボスが何故フランに渡していたのかだなんて分からないけれど、保険の為だったのかもしれない。

 

「フラン…戦いは終わったんだよ…もうウォッチを守る必要ない」

「でも……」

「フラン」

 

フランは渋々僕にウォッチを渡す。

渡されたバトラーウォッチは良く見ればそれは幻術で、幻術を解くとボスウォッチとなった。

それを地面に投げつけ破壊すると草陰から尾道が現れた。

 

「おめでとうございまーす‼優勝チームの虹の赤ん坊であるリボーンさんは特別に呪いを解かれますよー‼」

「ウソをつくな尾道」

 

尾道の言葉に即座に沢田綱吉が怒気を露わにする。

いや、この場にいる者誰もが彼を今にも射殺さんとしていた。

 

「彼を責めてはいかんよ、尾道は本当に何も知らぬのだ」

 

そんな中、僕がこの世で最も憎い男の声が聞こえた。

 

「あららっ、これは…いらっしゃっていたのですか?チェッカーフェイス様‼」

 

全ての元凶、チェッカーフェイスがそこに現れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




予約投稿1時間前に読み返して、矛盾点見っけてしまった時はマジヤバかった。
もう修正出来ないし、する気力も残ってなかったので、本当に申し訳ないんですがそのままにしておきます。
コレ、気付く人は気付くと思うんですけど、分かんなかったらそのままスルーしてくれると嬉しいです。
本当にごめんなさい。

あとヴェロニカがウォッチに掛けた保険は、フランにボスウォッチを預けてたことです。
もし風のボスウォッチが壊されてもフランのウォッチ使えばまた再戦出来るんですが、敗者復活に関しては原作でも骸のチームがやってたし、ウォッチの交換は白蘭のチームがやってたのでルールに抵触はしてない……と、思いたい。
ヴェロニカは、一応ここが並行世界である上に自分がザンザスではないという事実で未来が分岐する可能性をちゃんと考えていて、代理戦争で復讐者が勝ってしまうという結末を回避する為に保険を掛けてたわけです。
っていうのも、復讐者に負けたらどのみち現アルコバレーノ死んじゃうし時期アルコバレーノにザンザスが選ばれる可能性高いので、ぶっちゃけファザコンは並行世界すらも超えたというわけです。


Q:保険を掛けてたけど、ヴェロニカ自身イェーガーとの闘いで戦闘不能に陥ったのであまり意味ないんじゃ?
A:別にウォッチが残っていれば誰が代理をしても良かったので、敗者チームで実力のある人がなれば良かった。ほら、雲雀とか骸は治療したらまた戦える傷だったし……うん。

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