Veronica Ⅱ   作:つな*

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Veronicaの思惑

ヴェロニカは山本と幻騎士の対決が始まるのをモニター越しに観戦していた。

山本が地面から生えてくる触手を躱すと、相手は自身を覆っている幻覚を解いた。

すると、リボーンとディーノが驚く。

 

「あれは幻騎士!死んだんじゃないのか?」

「あいつ…生きてやがったのか…」

 

幻騎士の攻撃を山本が匣兵器を出して防ぐ。

 

「あれが山本のボンゴレ匣…」

 

ディーノの言葉にそれぞれも反応する。

モニターには、小次郎と次郎が山本の傍に出てきていて幻騎士もそれに警戒を表していた。

幻騎士がウミウシを放つが当たる前に山本が回避した。

 

「山本の奴、ウミウシ(スペットロ・ヌディブランキ)の位置を察知しやがった…炎の探知力が前とは比べ物にならねぇくらい上がってやがる」

 

リボーンの言葉にディーノが意外そうな表情をする。

 

「それだけじゃねぇ、飛行手段を用いて回避した際に炎の出力をゼロから最大まで瞬時に放出してやがる」

「瞬時に?俺でも難しいのに…山本の奴炎のコントロール力が上手くなってやがるな」

「ああ、俺の予想以上の機動力だ」

 

リボーンが山本を褒めまくってるが、切実に私を褒めてほしい。

まぁあの短期間でこれ程までにコンロトール力や探知力を上げられたのは、山本の天賦の才故だろうけど。

こちとら何年掛けて地道にやってきたと思ってんだチクショー

山本の成長を傍で見ていて、レギュラー補正を直に見せつけられたよ。

もう涙目だよね、うん。

モニターでは、山本が触手に囲まれ、ドームの中に閉じ込められていた。

中で爆発音が聞こえる中、ドームの上で小次郎が飛び回りながら鎮静の雨の炎を降らせていた。

そして触手の壁から幻騎士が吹き飛ばされてきて、バジルが唖然としている。

肩を斬りつけられよろめく幻騎士に山本は攻撃を畳みかける。

そしてよく見ていないと分からない程自然に、小次郎が山本の傍まで飛んできた。

リボーンが漸く気付き、驚愕している。

 

「なんて奴だ、自然な動作で匣兵器を形態変化(カンビオ・フォルマ)しやがった!俺でさえ気付くのが遅れるくらいだぞ」

「ああ、俺も気付くのが遅れたが…山本のやつ、猛攻撃を休めずに幻騎士を押し切るつもりか?」

「そのようだな」

「匣兵器にも驚くが、それを使いこなす山本の成長が半端ねぇぜ」

「ああ、今までにねぇ気迫が奴の剣をこれまでとは別次元の強さにしてんな、一体何があったんだ…」

 

するとディーノがヴェロニカの方へ振り向く。

 

「選択を与えただけだ」

 

どんな障害が残るか分からない攻撃を繰り出すか、確実に相手の戦力を落としに少しだけちょん切るか、二択を山本に与えただけだよ。

実はファミリーの中で山本は雲雀の次に容赦がない。

それは戦いを楽しむその心と、一度でも覚悟を決めれば容赦を捨てれるところにある。

今回も、山本からしたら少しだけ酷だろうが私は選択を迫った。

そしてそれを選択したのは山本だ。

ヴェロニカの言葉に首を傾げるディーノはリボーンの言葉に視線をモニターの戻す。

 

「おいディーノ」

「え、っ!」

 

モニターには山本が攻式を使った場面だった。

 

「あれは攻式八の型、篠突く雨!」

「今回の修行で一番成長したのはあいつかもしれねぇな」

「ああ、そうだな……技の速さも剣の切れも段違いだ」

「それだけじゃねぇ…」

「え?」

 

リボーンの言葉に後ろにいたバジルが反応する。

だが、その言葉がモニターに映される映像で理解する。

幻騎士が山本に向かって怒鳴り出し、山本は自身の握っていた拳を開く。

 

「あ!幻騎士の指がっ!」

「リングを嵌めていた指だけを斬り落としたのか……確かに少し前の山本じゃ考えられないかもな…」

 

ショッキングな映像だったのか、ビアンキが笹川と三浦を部屋から出す。

 

「お前の入れ知恵か?ザンザス」

 

リボーンがヴェロニカに問いかける。

うん、まぁ指ちょん切れって言ったのは私だね。

でも別に未来では人殺すんだし、今のうちにこういう切断系は慣れておかないとダメじゃね?

 

「俺は選択を与えただけ…選んだのはあいつだ」

「……そうか」

 

その場に居た者は再びモニターを眺める。

そこにはふらついながらも無事だった左手で大剣を握り立ち上がる幻騎士がいた。

 

『まともに剣も持てないだろ…降参してくれよ』

『ふざけるなよ…これしきで……これしきで負ける俺ではないぞ!』

 

幻騎士は憤慨し、山本に向かって剣を振りかぶる。

だが山本に剣先が届くことはなかった。

 

『バカ……な…』

『剣士が足使っちゃダメなルールなんてないだろ?』

 

山本の蹴りが幻騎士の顎に直撃して、幻騎士は今度こそ意識を失い倒れた。

ヴェロニカはそれを見て目を僅かに開く。

あれ私がめちゃくちゃ山本にやったやつじゃね?

いつも打ち合いの最後らへんになると集中力切らしてくるから、蹴りや拳入れて気絶させてたんだけど。

痛み慣れのつもりだったのに、まさか覚えるとは…おっそろしい奴だなぁ

あ、幻騎士に近付いて……あーちゃんと関節まで外してるじゃん。

モニター越しの山本は幻騎士の手足の関節を外していって、万一体力が回復しても動けないようにしていた。

うんうん、殺さない代わりに起きられないように関節外しとけって言って外し方教えててよかった。

何かディーノやバジル、ジャンニーニの視線が痛いが無視だ。

山本は通信機に手を当て、方向を変えてバイクで走っていった。

多分、デイジーのところにいったんだろうなぁ…でもデイジーって不死身だよな。

ああ、場面が変わる。

もうチョイスの行方に興味無くなったし寝るか、どのみちボンゴレ側の敗北だろ。

ヴェロニカは目を閉じて浅い睡眠に入る。

だが十数分すると騒がしい声が聞こえ、目を開ける。

モニターを見ると、そこには腹部に穴を開けられた入江が倒れていた。

あ、終わってる。

沢田綱吉が焦って入江に近寄るがチェルベッロが静止する。

そして別モニターでは山本がデイジーを気絶させていた。

デイジーの指にリングがないことを見るとちゃんと回収したようだ。

指輪を奪ったから再び真6弔花として戻ることはないと思うので戦力を削れてよかった。

だが打ち所が甘かったのかデイジーが覚醒したことでミルフィオーレの勝利となり、ボンゴレ側は皆入江の場所へ集まり出す。

仕方なくヴェロニカも後ろからゆっくりとついて行く。

ようやく視界にボンゴレ側の集団が見えると、そこにはユニに近付く白蘭がいた。

ロリコン死すべし慈悲はない。

ヴェロニカは銃を取り出し炎を溜めて白蘭の腕目掛けて放つ。

すると、予想外の方向からの狙撃に気付くのが遅れたのか腕に直撃する銃弾に驚いた白蘭がヴェロニカの方を向く。

 

「また……君か、ザンザス」

 

どうやら相当私の挙動が気に入らないらしい、めちゃくちゃ睨んでくる

数多の並行世界を破壊し尽くしている奴だが、私が神になるをリアル体現した中二病な上にロリコンだと思えば全く怖くないんだがこれ如何に。

取り合えず、立ち止まり白蘭と目を合わせる。

 

「僕の邪魔をしないでくれるかい?今は虫の居所が悪いんだ」

「うっせぇロリコン」

 

おっとつい本音がっ……おい山本笑うな

目の前の白蘭はニコニコしてるけど、目が笑ってない。

その後ユニと白蘭の会話が続き、ボンゴレ側が撤退する方向へ状況が向き始めた。

すると桔梗やザクロがユニを狙ってきたが獄寺が匣兵器を開匣し、対応する。

皆は転送システムの場所へ走りだすと、真6弔花はそれを阻止する為に動き出した。

ヴェロニカは獄寺に向かって声を掛ける。

 

「おいカス……てめぇだ爆弾魔」

「あぁ!?誰が爆弾魔だ‼」

 

獄寺がキャンキャン吠えてくるが、それを無視して離れる様に言い放つ。

 

「退け」

「あ?」

「巻き添え喰らいたくなけりゃな」

 

ヴェロニカは腰に差していた剣を抜き、憤怒の炎と大空の炎を剣に纏いだす。

それを見た獄寺は何かを察したようで匣兵器を戻し退避し出す。

少し規模大きくて疲れそうだけど、さっき観戦室で十分に休んだから大丈夫だと思いたい。

ヴェロニカは大量の炎を溜めた剣を振り上げた。

すると炎はとてつもない勢いで壁を作り出す。

剣を腰に差したかと思えば今度は銃を取り出して1発ずつ放った。

放たれた銃弾は炎の壁を螺旋状に掛け上り、壁の表面に細微な炎を纏うと壁の方に呑まれて見えなくなる。

それは、ヴェロニカが元の世界で過去に行ったとき、ザンザスと自身を囲った炎の壁と同じものである。

壁は広範囲に渡り白蘭達ごと飲み込み、ドーム状に形成する。

長年の修行であの時の壁よりも数段グレードアップしたそれを、いくら白蘭でも解くのは時間がかかるだろう。

精密に憤怒と大空の炎を編み込んだことで強度は硬く、強行突破するにはそれなりの炎の量が必要になる。

因みに銃弾で炎の壁にコーティングした憤怒の炎は少しでも触れれば爆発する仕組みだ。

あ、でも真6弔花が全員修羅開匣して白蘭が本気出したら直ぐに破られるかも。

まぁ若干の時間稼ぎにでもなればいいか…

ヴェロニカは銃で炎を放出し、推進力で移動する。

 

「何だこれ!?」

「極限に分からん!何故空がオレンジ色になっているのだー!」

「なにあれ…炎の壁?」

「十代目、ザンザスの奴の技です!早く撤退しましょう!」

「ええ!?ザンザスの!?」

 

転送システムの場所まで向かうと、そこにはドーム状の壁に困惑している沢田綱吉とその守護者がいた。

そしてヴェロニカがシステムの真下に突っ込んだ瞬間、転送システムが作動した。

なんとか白蘭から逃げられた…。

流石に大量の炎を消費し過ぎてヴェロニカは疲労した。

転送した先で、木の上に降り立つと周りを見渡す。

そこは並盛神社で、いち早く獄寺が転送装置にミサイルを撃ち込んだ。

だが破壊しきれず、転送装置は煙を上げながら空中を降下し、転移した。

 

「なっ、き、消えた!?」

「どういうことだっ」

「白蘭の元に戻ったな…破壊出来ていなかったのか」

 

ディーノの言葉に沢田が困惑していると、通信機からリボーンが応答する。

 

『心配すんな、完全に破壊出来なかったが、ダメージは与えた…暫くは戻ってこれねぇハズだ』

「暫くってどれくらい?」

『ダメージを与えただけだからな…まぁせいぜい数時間だろ』

「数時間しかないのぉ!?」

 

沢田綱吉の困惑を他所に、草壁が登場してきたり雲雀がその場を離れたりと慌ただしかった。

一段落つき、皆でアジトへ戻ろうとしたときに、山本がふと思い出したように、木から降りたザンザスの元へ歩いてきた。

 

「ザンザス、これ…あんたに頼まれてたもん回収してきたぞ」

 

山本が何かを握りながら手を差し出してきたので、ヴェロニカも手のひらを上にしてそれを受け取る。

チャリ、と金属が擦れる音と共に渡されたそれを見やる。

 

「ザンザスのお陰でめちゃくちゃ強くなれたぜ、ありがとな」

 

爽やかに笑いながら感謝を述べると、山本は沢田のもとへ戻っていく。

ザンザスの手元に転がるのは、高ランクの霧属性のリングとヘルリング、そして晴のマーレリングだった。

どれも山本が幻騎士とデイジーから奪い取ってきたものだろう。

それらをポケットの中に入れて、もう一度山本の様子を見る。

沢田綱吉の隣でへらへらを笑っている様子を見て、末恐ろしいなとヴェロニカは素直に思う。

このリングも山本への修行を見る対価として修行最終日に提示した頼み事だ。

これで戦力は少しでも削げたので、今回の私の努力は無駄ではなかったか。

ヴェロニカは疲労した分の体力を回復させるべく、アジトに向かっていった。

 

 

 

 

 

スクアーロside

 

 

チョイスが終了する数時間前…

 

「んあぁぁぁああ!やっと終わったぁぁぁあああ!」

 

スクアーロは凝り固まった体で背伸びをし、机に突っ伏した。

漸く体内の生命エネルギーを分解する物質を作り終え、体に残る疲労感に睡眠を欲していた。

瞼を閉じて、少しだけ寝ようと思った矢先だった。

prrrrrrr

携帯が鳴り、ディスプレイを確認して目を見開いて通話ボタンを押す。

 

「もしもし」

『…既にチョイス始まってるぞ』

「え」

『それと日本へ来るとき、あいつらも連れてこい』

「ちょ、ま―――」

 

返事をする暇もなく切られた通話に、スクアーロは目を点にする。

そして日付を確認する。

数秒の間。

 

「あああああああ!時差ぁあああああああ!」

 

スクアーロは必要なものだけかき集めて、研究室を出る。

そして広間の方に早歩きで向かっていき、扉を勢いよく開いた。

 

「う"ぉおおおおい!てめぇらあああああ!」

 

一週間ほど姿を見せなかったスクアーロ突然の登場に広間にいた幹部は固まる。

そこにはルッスーリア、ベルがいた。

 

「あらァ、スクちゃん久々に見るわねぇ~、目の下に大量の隈出来てるけど大丈夫~?」

「つか連絡なかったから死んだと思ってたぜ、シシッ」

「るせぇぇぇぇえええ!おめぇら!日本へ行くぞぉぉおおお!」

「何言ってんだよ、シシッ」

「そうよ~今私たちはミルフィオーレの残党狩りに忙しいのよ~」

「そんなのほっとけぇ、既にボスが日本にいる」

「「え」」

「おいルッスーリア、レヴィとフランを呼び戻せ、幹部は全員日本へ向かうぞぉぉぉお”!」

「ちょ、待てよ、何でボス日本にいるわけ?」

「あ"?何だおめーら知らなかったのかぁ"?」

「ちょっとぉスクちゃんそれどういう意味!?」

「ボスは一週間前から日本に発ってるハズだあ"」

「はぁ!?ボスが暫く見かけないと思ってたけど、日本行ってたのかよ!」

「つーか早く準備しろぉ"!」

 

ルッスーリアはレヴィとフランに連絡を取り出すと、スクアーロは荷物を最小限にして広間を出る。

数十分後、レヴィが本部に慌てた様子で戻ってくると、スクアーロはすぐさまジェット機の操縦室に乗り込む。

 

「おいルッスーリア、フランはどうしたぁ!」

「あの子なら女のところ行ってるわよ~確か……W.Wだったかしら?」

「あのガキぃぃぃいいいい!」

 

フラン以外の幹部は全員乗ってたので、仕方なく日本へ出発する。

 

 

もう時間がない…

 

 

 

 

 

白蘭side

 

 

「っく、この壁…どうなってんだよ、ビクともしねぇぜ」

 

ザクロの言葉に桔梗も苦い顔をする。

トリカブトやブルーベルも攻撃を続けているが、未だに敗れる気配はなく、ユニやボンゴレ側の気配が遠ざかるのを感じ取ると、白蘭は右手を炎の壁に伸ばし消し去ろうとした。

 

「…!」

 

思っていたよりも炎の壁が硬く、白蘭は徐々に力を掛けていく。

白蘭の様子を見て、桔梗やブルーベル、ザクロも全力で攻撃を仕掛ける。

だが壁が崩れる様子を見せなかった。

 

「一体なんなんだ!この壁はっ…!」

 

ザクロが苛立ちながら、攻撃を続けているとようやく罅が入り出す。

白蘭がそれに気付き、罅に向けて炎を放つと罅は広範囲に渡り爆発した。

 

「「「「「!?」」」」」

 

爆発の規模は大きく、周りにそびえ立っていたビルの強化ガラスが全て割れる。

割れたガラスの破片が頬に掠り、頬に伝った血を拭う桔梗は口角を上げる。

 

「ハハン、流石ヴァリアーのボスということですか……このような技を使えるとは、少し警戒すべきですね」

 

他の真6弔花の面々もそう思ったのか、頬に汗が伝っている。

そして転送システムの場所へ向かうと、そこには誰もおらず既に転送したのだと分かると彼らは白蘭に頭を下げる。

 

「申し訳ありません、我らがついていながらユニ様を…」

「いやぁあの子にはしてやられたよねぇ、こんなことならチョイスの再戦素直に受けとけば良かったかな…でもユニちゃんは断るのを見通してやっていただろうし、無理か」

「にゅにゅ~、白蘭なんかブーだ!何でユニなんて人形娘に振り回されてんのー!?さっさと始末しちゃえばいいのにー!」

「やだなぁブルーベル、ユニちゃんを始末するなんて………次言ったら捻り潰す」

 

僕がブルーベルの首に手を当ててそう告げれば、殺気に当てられたブルーベルは固まり、桔梗がそれを庇う。

 

「失礼しました白蘭様、出来れば私どもにもユニ様を追う理由をお教え願えないでしょうか」

 

桔梗の言葉に白蘭は語り出す。

どの並行世界のトリニセッテをコンプリートしても世界を把握できるような力は発揮しなかったこと。

そして先ほどのユニの輝きを見て、トリニセットの覚醒はユニの魂が必要であることが分かったこと。

 

「分かったらさっさと追おうね?一刻も早くユニを奪え」

 

あれが欲しい

ボンゴレは二の次だ、今はあれが欲しい

 

「そういえばデイジーはどこ?」

 

白蘭の言葉に漸くデイジーがいないことに気付く面々は、辺りを見渡すがデイジーの気配を見つけられる者はいなかった。

 

「少しお待ち下さい」

 

桔梗がその場を離れ、少しするとデイジーを担ぎながら戻ってくる。

 

「先ほどのターゲットとして待機していた場所にいました、白蘭様」

「何でそこに行ってたんだい?デイジー」

「ぼばっ……その…僕チンのリング…なくなってたんだ、だから探してて…」

「それは本当ですか?デイジー」

「気絶した時にどっかに落ちたのかも……やっぱりもう一度探してくる」

 

再び戻ろうとするデイジーに白蘭がマシュマロの入った袋を破裂させる。

それに皆が驚き固まる。

 

「…………フフ、また彼の仕業か」

「彼?」

「ザンザスだよ」

 

桔梗の言葉に白蘭が答える。

 

「ザンザス?山本武ではなく?」

「そう、その山本武にリングを回収しろと指示したハズだよ…なんせ山本武の修行に付き合ってたのは他ならぬ彼だからね、この調子だと幻騎士のリングも回収されてるハズだ」

「ヘルリング、ですか」

「ほんと、どこまで邪魔してくれる男だね…捻り潰したくなるよ」

 

白蘭の不機嫌を悟り、真6弔花は冷や汗が背中を伝う。

 

「白蘭様、デイジーの処分はどうしますか?」

「うん、そのままでいいよ…ここで殺しても彼の思うつぼだ。デイジーにはランクA相当のリングを代わりに渡しておいて」

「分かりました」

「君たち、ユニを奪う過程でザンザスに会ったら出来るだけ彼は殺すこと…これ以上邪魔されたくないからね」

「はっ」

 

それだけ忠告すると、真6弔花と共にその場を去る。

 

ユニもそうだが、この世界は他とは異色を放っている。

最もたるはザンザスだ。

どの世界にも剣を腰に差している彼はいなかった。

どの世界にも先ほどの高純度で超硬度の炎の壁を作る技を持っている彼はいなかった。

何かが違う…

異色を放つ彼は何かが違う。

 

早く殺さなければ――――――…

 

 

 




白蘭にロックオンされるヴェロニカ。
デイジーの戦力ガタ落ち、っていうかマーレリング持っていないデイジーって不死身属性どうなってんの。
いや修羅開匣したら一応不死身にはなれるのかな?
あれ?修羅開匣ってマーレリング専用だっけ?
アカン、単行本持ってないから確認の仕様が…
そこんとこ教えてエロい人!

>山本が触手に囲まれ、ドームの中に閉じ込められていた。
なんか画面に打ち込んだ後で、あれ?エロ同人かな?と首を傾げました。
……………すみません。

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