fortissimo//crossover the Akashic records 作:小鴉丸
下手な部分がありますが、よろしくお願いします。
〜零二side〜
「ははっ、流石は
「ちっ……。何だよあんた、敵なら加減はしないぞ」
漆黒のドレスを身に纏う女性を見ながら声を漏らす。
突然飛ばされた場所には俺以外居なくて、代わりにこの女性が立っていた。「ここは?」と聞こうとしたが、理由は分からず突然攻撃を仕掛けられたのだ。
「加減? 遠慮はいらないさ。全力で掛かってこい、さもないと──」
片手を上げて女性の周りに複数の魔法陣が展開される。
「──日常が壊れる事になるぞ?」
「んな事……させるかよッ!」
女性が指を鳴らすのと同時に俺は地面を蹴っていた。
戦いにしては既に数十分は経っている、
「うらぁぁあッ!!」
拳に魔力を込めて襲い掛かる魔法を弾く。無数に発動される魔法を前にして魔力の量は相当なものだと確信した。
終わりのない魔法の雨の中で救いといえば、龍一のように一撃一撃が必殺の威力を持っていない事だ。そのおかげで容易に弾く事が可能だ。
「出鱈目だな。拳で弾くか?」
「出鱈目はどっちだよ、底の見えない魔力量をしやがって」
「それは否定はしないな……。──《穿て》」
手を突き出し単語を口にする魔女。
それと同時に雷、だろうか? それらしきものが俺をめがけて走ってきた。
「あ──っぶね!」
体を捻り回避に成功する。
「近付かせなければお前は攻撃出来まい。君の神話魔術も既に見ている、対処法はいくらでも──」
「へへっ……そーかよ」
俺の神話魔術である『
切り札を敵に晒したというのに、俺は自然と笑いが零れていた。
「なら……少し本気出すか。後悔するなよ魔女」
そう、切ったカードはまだ
「強がりか? 部が悪いなら止めておこうか? 弱いものいじめは趣味じゃないのでね」
これだけの魔法を連発して息一つ乱さない相手だ。俺がいつやられてもおかしくない……。
それなら──
「──“
「──なっ!?」
俺は“
意表をつかれた魔女は驚いたが、冷静に俺の拳を見て回避行動を取った。型も何もない俺の独自のスタイルをまるで踊るように避ける。
「
俺の連撃を躱しきり魔法の詠唱……らしきものを唱える。するとどこからか剣が現れ、それを構えて俺に向かってきた。
開いた距離を一気に詰められ剣舞が俺を襲う。気を抜いたら斬られる──。俺は意識を集中させ、回避に専念した。
「(
その最中に俺は考え事をしていた。
今まで確かに近距離での戦闘はしていない、それにしてもリズムが違いすぎたのだ。
「(賭け……だけどやってみるか)」
魔女の攻撃が止んだ一瞬に俺は、拳に新たな魔力を込める。
「“
俺の予想が当たってれば──。
独自のステップでこちらから畳み掛ける。そして俺の拳が剣と触れ合い──
「──ほう?」
「へっ、ビンゴだな! うらぁッ!!」
ガキン!
腕を大きく振るい、持っていた剣を弾き飛ばした。
俺の予想。それは今の魔法が“自分に何かを宿す”という効果の類の物という事だ。読みは当たっていて、その効果を打ち消すという方法で解除をした。
だが慌てる事なくバックステップで距離を取ろうとする魔女、だが俺がそんな隙を逃すはずは無い。
「飛んで火に入る夏の虫、だな。
「何だと?」
その声が聞こえた時にはもう遅かったのかもしれない。魔女が指を鳴らすと、俺を囲うようにして幾つもの魔法陣が展開されていた。
「なっ──!?」
俺は一か八かの賭けに出る。
失敗すれば俺の負け。ただし、成功すればこの戦いに勝てる自身はある。
「──“
「……呆気ないものだったな」
無駄な足掻き、と言わんばかりに呆れて言葉を漏らした。
そして視界を眩い光が覆い尽くす。
次の瞬間、俺の周囲は爆風に呑み込まれた。
〜龍一side〜
「マスター! マスター! どこ〜?」
「ってサクラちゃん、僕に向かって言っても零二は現れないよ?」
道端でバッタリと会ったサクラちゃんが零二の名前を叫んでいた。それで無視する訳にもいかないので、僕は話を聞く事にしたのだが……。
「突然消えた?」
「そうなんだよ〜! 目の前からパッ! て消えたんだよ!」
話を纏めると、2人で散歩をしていたら突然零二が消えたとの事だ。周囲には誰も居なかったからやった人物は不明で、どうやって零二を消したのか分からないらしい。
「魔力も感じなかったし、落とし穴でもなかったんだよ」
二つ目は確実に無いと思うが……。それにしても、ふむ……。
気になる事が多い。
突然消えるなんて魔力を使うぐらいしか有り得ない。別の空間に飛ばされたり、呼ばれたり──。
「零二は厄介事に巻き込まれる体質だからね、心配だから僕も探すよ。サクラちゃんは他に協力者を呼んでくれないかな」
「分かったんだよ! じゃあ、なぎさちゃんや紅葉ちゃん達を呼んでみるんだよ!」
そう言うや否やどこかに走り去っていった。
「(零二、厄介事に巻き込まれてなければいいけど……)」
僕はサクラちゃんの背中を見ながらそう思ったのだった。
〜セリカside〜
「──へへっ、残念だったな魔女。俺の勝ちだ」
「何?」
魔法による霧が晴れ男の姿が見え始める。
そこには少しの傷を負い、光り輝く剣を携えた《
「(なんて魔力だ。これが最強と言われる男か……)」
そして男は剣先を私に向けて勝利宣言をするかのように軽く、そして笑いながら言った。
「さて、反撃開始だな」
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それでは、今回も読んでもらいありがとうございます!