ギラティナになったら箱庭に招待された…   作:反骨竜

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お久しぶりです。約八か月ぶりになります。
文字数が段々下がってきましたが、書き方は安定してきた…ハズです。


拠点と休息

“反物質”

説明するととても長くなるが分かり易く言えば、反粒子により形成される物質だ。

その有名な性質といえば反物質と物質がぶつかることで起きる対消滅だろう。

 

これまた長くなるので省略すると対消滅とは、ぶつかった反物質と物質が消滅し、その消滅した分の質量のエネルギーが残されることだ。

 

どれ位かと言うと、1gの反物質と1gの物質で対消滅が起きた場合、広島に落された原子力爆弾の約三倍ぐらいのエネルギーが発生するらしい。

勿論あの時には威力を調整して十六夜達に被害が出ないようにしていた。

 

と、言うのも私の司る反物質は色々とおかしいのだ。

作り出しても反応させようとしなければ対消滅しないし、対消滅しても意識すると発生したエネルギーはどっかに消えたり、消えたと思っていたエネルギーは、本当は反転世界の水晶らしきものになっていたり……

 

そもそも反物質なのは分かるがそれが何なのかが分からないのだ。

自分でも言ってることが解らなくなっているが、例えれば「元素を操る」といってもその操る元素は水素なのかヘリウムなのか分からないのと同じように、反物質と言っても何の反物質なのかが分からないのだ。

 

 

兎にも角にも、反物質の事を考えて現実逃避するのはやめにしよう。

 

「全く!世逆さんは無茶しすぎです!!」

 

あの決闘は我の負けだった。

 

爆発させたあと一分ほど意識を失ってしまい負けてしまった。我の傷はかなり多いいし、痛いが瀕死と言うほどではなかった。我は脳震盪でも起こしたのだろうか?

 

対する白夜叉は、ほぼ無傷である。お互いにまだ少し余裕があるし、加減をしすぎたかもしれない。

 

「聞いてますか?!」

 

「はい」

 

…心を読まれたのかと思ってびっくりした。

 

「…それにしても、あのドラゴン?は何だったんだ?」

 

「気になる」

 

十六夜達はあの姿に興味があるらしい。特に耀は、グリフォンを見た時の反応に少し似ていて少し怖いんだけど。

 

十六夜達の考えていることをテレパシーで読んだが、あの姿がギラティナだとは誰にも思われていないようだ。見たところポケモンすら知らないようだし、種族が違うこと、そして擬人化能力のことを説明しよう。

 

「…あれは私の本当の姿。今は能力で人型になってる」

 

「へぇ、じゃあ白夜叉が“竜”とか言ってたのはそれが理由か」

 

「たぶん」

 

十六夜は納得してくれたらしい。うん、無視してたけど白夜叉が私をそう呼んでから何か言いたそうにしてたからね。十六夜は空気を読んでいたらしい。

 

その後、爆発やシャドーダイブのことなど訊かれたが秘密とだけ答えた。納得はしてくれなかったが―――

 

「…それよりも此処に来た目的は?」

 

「そうです!忘れていました!」

 

―――黒ウサギは思いのほかちょろかった。

 

「ギフト鑑定をしていただきたくこちらに来たんです」

 

「よ、よりにもよってギフト鑑定か…専門外どころか無関係もいいとこなんだがの」

 

しばらく考え、突然、思い出したかのように白夜叉は話し出した。

 

「ふむ。何にせよ主催者として、星霊の端くれとして、試練を乗り越え、私を楽しませてくれたおんしらにギフトを与えるのが筋じゃろう。ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」

 

白夜叉が手をたたくと目の前にカードが光って出現した。我、十六夜、耀、そして飛鳥と全員分でてきたが人によってカードの色が違うみたいだ。

 

十六夜のはコバルトブルー、

飛鳥はワインレッド、

耀はパールエメラルドのカードのようだ。

 

対して我のカードは派手というか、配色は解り易く言えば“ゴージャスボール”である。

黒色の下地で、半分より少し下には銀色で縁取りされた金色のラインがあり、上半分の真ん中くらいに金色で縁取りされた赤いラインがある。ゴージャスボールと違うところはスイッチ部分の丸がなくなり直線になっていることぐらいだろうか。

 

我にはこのカードの事は知らないが如何やら黒ウサギは知っているらしい。

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「レポート?」

 

「ち、違います!と言うかなんでそんな皆さん息があってるのです!?このカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードなんですよ!耀さんの“生命の目録”だって収納可能で、それもいつでも再顕現できるのですよ!」

 

ふむ、つまりゲームで折りたたみ式自転車とか釣り竿とか入れてるバッグみたいな物だろうか。

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか!もうそれでいいです!超素敵アイテムなんです!」

 

そんなに価値があって凄いものなのだろうか?確かに持ち運びが自由にはなるが、ゲームとかでは主人公が最初からそんな事が出来るのも珍しくない気がする。

 

「そのギフトカードとは、正式名称を“ラプラスの紙片”──即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとは、おんしらの魂と繋がった“恩恵”の名称。鑑定は出来ずとも、それを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

なるほど、ただ仕舞うだけではなく、正体を暴くことができるのか。ただ、鑑定が出来ないらしいから、そのギフトで何が出来るのか、などの説明は出ないのだろう。

 

「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 

ギフトカードを見て十六夜が声を上げた。我も自分のカードを見てみるが特に異常は無い。

 

「………いや、そんな馬鹿な」

 

白夜叉は十六夜のギフトカードを見たようだ。

我は傷だらけで動くのが面倒くさいのでテレパシーで白夜叉の考えていることを盗み見る。

―――なんでも“正体不明”と書かれているらしい。

 

「“正体不明”だと...? いいやありえん。全知である“ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的はこの方がありがたいさ」

 

白夜叉は納得いかないようで何か考え込んでいる。まあ、白夜叉が分からないのなら新参者の私が考えたって無意味だろう。我は自分のギフトカードを読むことにする。

名前は飛ばしてギフトネームを見る。

 

“歪みの調整者”

“反物質操作”

“反転世界”

“超成長”

“擬人”

 

歪みの調整者と反物質操作はおそらくギラティナの設定から来たものだろう。前者は自覚が無かったギフトだ。まあ、なんとなく効果は察せるけど。

 

次に反転世界。これはこの世界に来たせいで破れた世界が変化した可能性がある。例えば、この白夜叉の世界みたいに“ゲーム盤”になったとか。

 

超成長と擬人は転生特典だ。尤も、それを言ったら全てがそうなのだが。

 

兎にも角にも、解らないギフトは後で試してみればいいだろう。今は拠点への道を覚えることに集中した方が良さそうだ。この年で迷子になりたくはない。

 

 

 

 

 

それは廃墟と言っても差し支えないものだった。

しかし、どこを見ても異常だ。放置されれば雑草で生い茂りそうなものだが、緑の一つもない大地だった。それも人の手で処理されたわけではなく、養分が無いためそもそも生えてこないようだ。

要するに土地が死んでいた。

 

「……おい、黒ウサギ。魔王とのギフトゲームがあったのは―――今から何百年前の話だ?」

 

「僅か三年前の出来事でございます」

 

「ハッ。そりゃ面白い冗談だ。いやマジで面白いぞ。この風化しきった街並みが三年前だと?」

 

(三年…)

 

その他にも十六夜達は話していたがそれよりも気になることがあり聞いていなかった。

土地が死ぬだけではなく、風化している。そう、まるで時間急激に進んだかの様に…

 

(…いや、ないか)

 

時間という観点から見れば我にも心当たりがある。でも、アレはこんなことに力を使わないだろう。それこそ凶暴化したときは最終的に自分のいる時間以外を破壊しようとしたが、通常だと慈悲深かったし、このように弄ぶような事はしないはずだ。

 

と言っても直接会ったわけでは無く、知識として知っているだけなので100%違うとは言い切れないが。

 

そして、何よりも気になるのが此処に来てから違和感があることだ。それも、不快感ともいえる様なものである。

それでも、今すぐに如何にかしたい、という程でもないのだが…とにかく落ち着いてからこのことも調査することにしよう。

 

 

その後我は、傷にしみるという言い訳をして、体は拭いたが風呂には入らかった。この体に性別は無いが見た目は少女である。試してはいないがポケモンの特性上、性別不明の我はメロメロ状態になったり、誘惑を受けることはない筈だ。それでも女性と一緒に風呂に入るのはとても抵抗がある。だから、前の世界では銭湯に行かず、わざわざ破れた世界に自分専用の風呂を造ったんだ。

 

 

そして、傷を癒すために早めに寝た。技の『ねむる』を使って。これは使った後に2ターンの間眠り状態になる技のため、二分後に起きることができる。それでも疲れまでは完全に抜けないためそのまま床に就いた。明日のゲームに備えるために……


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