ギラティナになったら箱庭に招待された…   作:反骨竜

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三話目が出来ました。
そして、字数がだんだん増えてきました。

前回のあらすじ
・ダイブ
・自己紹介
・偽名
・竜星群


虎男とプレッシャー

少し時間が飛ぶ。特に何もなかったからな、強いて言えば十六夜が、「ちょっと世界の果てを見てくるぜ」と、森に入って行った事ぐらいだ。

 

「ジン坊ちゃーん!新しい方を連れてきましたよー!」

 

「おかえり黒うさぎ、そちらの三人が?」

 

「はい、こちらの御四人様がーーー」

 

そう言って反永の方を見る。

 

「・・・え、あれ?もう一人いませんでしたっけ?目つきが悪くて、口も悪い、全身から『俺、問題児!』ってオーラを放ってた殿方が…」

 

「ああ、イザヨイのこと?イザヨイなら『ちょっと世界の果てまで見てくるぜ!』って駆け出して行ったのよ」

 

「どうして止めてくれなかったんですか!?」

 

「止めてくれるなよ、と言われたもの」

 

「じゃあ、どうして教えてくれなかったんですか!?」

 

「黒ウサギには言うなよ、と言われたから」

 

 

「嘘です!! 絶対嘘です!! 本当は面倒臭かっただけでしょう御三人方!!」

 

「「「うん(正解)」」」

 

その三人に黒うさぎは頭を抱える。そして、ジンは驚いて叫ぶ。

 

「た、大変です!! 世界の果てには、ギフトゲームのため野放しにされている幻獣たちが・・・!!」

 

 

「幻獣?」

 

「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に世界の果て付近には強力なギフトを持ったものも多く、出くわせば最後、とても人間では太刀打ちできません!!」

 

その言葉に三人は、

「あら、じゃああの二人はもうゲームオーバー?」

 

「ゲーム開始前にゲームオーバー? ・・・斬新?」

 

「うん、骨も拾えないね」

 

「冗談言ってる場合じゃありません!!」

 

と、ジンは声を荒げる。

黒うさぎは、長い溜息をついた。

 

「ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御三人方のご案内をお願いできますか?」

 

「う、うん。わかった。黒ウサギはどうする?」

 

 

「問題児たちを捕まえに参ります。事のついでに──『箱庭の貴族』と呼ばれるこの黒ウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやりますよ!」

 

すると、黒うさぎの髪が紅く染まる。

 

「一刻程で戻ります!! 皆様はゆっくりと箱庭ライフを御堪能くださいませ!!」

 

そう言うと凄いスピードで跳んで行った。

 

「・・・箱庭の兎は随分速く跳べるのね。素直に感心するわ。」

 

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属。力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。彼女なら余程の幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが・・・。」

 

「黒ウサギも堪能くださいと言っていたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくださるのかしら?」

 

「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢よわい十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。三人の名前は?」

 

「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが…」

 

「春日部耀」

 

「世逆 反永」

 

「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ。」

 

一方反永は、(幻獣ってどんなのが居るんだろう)と、考えていた。

 

 

そして反永達は、カフェテラスで軽食を採ることとなった。

 

 

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの天幕は太陽の光を受けられない種族のためにあるものですから」

 

「あら、じゃあ箱庭には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」

 

「え、居ますけど」

 

「・・・そう。」

 

(ふむ、不可視なら間違えて壊さないよう、注意しないとな)

 

「いらっしゃいませー。ご注文をどうぞ」

 

そうこうしているうちに、猫耳の店員が来る。

 

「えーと、紅茶を四つに緑茶を一つ。後軽食にこれとこれを」

 

「にゃー」

 

「はいはーい。ティーセット四つにネコマンマですね」

 

(猫の言葉分かるのか)

 

「三毛猫の言葉、分かるの?」

 

「そりゃ分かりますよー私も猫族何ですから。お歳のわりに随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスさせていただきますー」

 

(やっぱりそれ付け耳じゃなかったんだな。黒うさぎみたいに)

 

「にゃにゃーにゃーにゃー」

 

「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」

 

因みに我がもらった能力の、ギラティナの使える技をすべて使えると言うのは、特性も使えるようになるようだ。しかも、ON OFF加減も出来る。その為、どっちのフォルムでも、プレッシャー、テレパシー、浮遊が使える。そして、プレッシャーと浮遊はOFFにしているがテレパシーは動物の言いたいことを読む程度にしている。因みに、本気を出せば半径百mくらいに居る動物の心も読める。

 

「ちょ、ちょっと待って。貴方猫と会話出来るの?」

 

「うん。生きてる動物なら誰とでも話は出来る」

 

(ふーん、心を読める訳ではないのか)

 

 

「そう・・・春日部さんは素敵な力があるのね。羨ましいわ」

 

「久遠さんは」

 

「飛鳥でいいわ」

 

「う、うん。飛鳥はどんな力持ってるの?」

 

「私?私の力は最低よ。だって・・・「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ″名無しの権兵衛″のリーダー、ジン君じゃないですか。」・・・あら。」

 

飛鳥にかぶって、大男が会話に入ってきた。

 

「僕らのコミュニティは『ノーネーム』です。『フォレス・ガロ』のガルド=ガスパー」

 

「いんやぁ?聞けば新たな人材を呼び寄せたらしいじゃないか。そこで、この私がコミュニティの誇りである名も旗も奪われても、まだ!未練がましく過去に縋り付くガキの犠牲者を増やさないためにこうやって足を運んだんですよ」

 

「失礼ですけど、同席を求めるならまず氏名を名乗った後に一言添えるのが礼儀ではないかしら?」

 

「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ″六百六十六の獣″の傘下である

「烏合の衆の」

コミュニティのリーダーをしている、って待てやゴラァ!!」

 

ガルドが、キレのあるつっこみをする。まあ、実際は、少し殺意がこもっていたが。

 

「口を慎めよ、小僧。紳士の俺でも聞き逃せねぇ言葉はあるからな」

 

(紳士ってなんだっけ?)

 

「森の守護者であった貴方になら相応の礼儀で返していましたが、今の貴方はこの付近を荒らす獣でしかありません」

 

「ハッ、そういう貴様は過去に縋り付く亡霊と変わりないだろうがよぉ?お前のコミュニティがどういう状況か

理解してんのか?」

 

「はい、ストップ」

 

そんな会話を、飛鳥が止める

 

 

「二人の仲が悪いのはわかったから。…ねぇ、ジン君、一つ質問していいかしら。ガルドさんが指摘している私たちのコミュニティの状況っていうのを説明してくれるかしら?」

 

「そ、それは・・・」

 

その言葉にジンは、言いずらそうに口籠る。

 

 

「貴方はコミュニティのリーダーなのでしょう?なら、同士として呼び出した私たちにコミュニティがどういう物なのかを説明する義務があると思うのだけれど、違うかしら?」

 

その飛鳥の言葉を聞くとガルドの、虎の様に成った顔をもとの人間の顔に戻る。

そして、反永は、

 

(此奴も外見が変わるのか。これなら・・・いや、流石に竜は珍しいのか?)

 

と、考えていた。

そして、ガルドが話し出す。

 

「貴女の言う通りですよ、レディ。新たに呼んだ方々に箱庭のルールを説明するのはコミュニティのリーダーとして当然のこと。その話もせずにコミュニティの勧誘をするなど、言語道断です。レディ達がその説明を受けていないのなら私が代わりに説明いたしますが?」

 

飛鳥は一度ジンの方を見た。しかし、ジンは俯いて黙り込んだままだったので、でガルドに説明するよう促す。

 

「承りました。・・・まず、コミュニティとは読んで字のごとく複数名で作られる組織のことです。そして、コミュニティはそれぞれ名と旗印の二つを持っています。それらはこの箱庭世界で活動するにあたり自分がどこの誰か、つまりは自分の身分証として使われる物です。その二つの中でも旗、特にこれはコミュニティの縄張りを主張するためのものでもあります。この店にも大きな旗が掲げられているでしょう?」

 

指差された所を見ると、六本の傷が書かれた旗が揺れていたいた。

 

「そう。なら、この周辺のほとんどはあなたのコミュニティが支配しているのね」

 

「ええ。残す所は本拠のコミュニティが遠い場所にあるか、箱庭上層にあるか・・・奪うにも値しない名も無きコミュニティのみです」

 

ガルドは、ジンを見ながら笑みを浮かべる。

そして、さっきから空気の反永は、頼んだものが来るのを待っていた。

ガルドがまた口を開く。

 

「さて、私のコミュニティは置いておきましょう。ここからはジン君とレディ達が入ろうとしているコミュニティのことです。ジン君のコミュニティは数年前までは、この東区間最大のコミュニティでした。それはもう人間の立ち上げたコミュニティでは過去最高と言われて、箱庭上層でも知られるほどでした。まぁリーダーは別人でしたけどね。しかし、そんなコミュニティは敵に回してはいけない存在に目を付けられてしまった。そして、彼らはその存在にギフトゲームを挑まれて・・・一夜にして壊滅した。この箱庭にて最悪の存在、魔王によって」

 

「・・・魔王?」

 

魔王と聞こえ反永は、確認するようにガルドの方を向く。

 

「そう魔王・・・魔王とは、主催者権限…ギフトゲームを挑まれれば絶対にそれを受けなければいけない、という権力を振り回す者達の総称です。…彼らはその魔王との戦いに破れました。そしてコミュニティは名も旗も主力陣も、全てを失いました。・・・そこで終わっていればその人間が作ったコミュニティは、未来永劫、最高のコミュニティとして語り継がれるはずだったのです。そう!そこで終わっていれば!…しかしそこにいるガキはそうせず、過去の栄光に縋り付いた。結果、そのコミュニティは今や、名も無きコミュニティとしてしか数えられなくなった」

 

「なるほどね。そのコミュニティの復興のための新たな人材として私たちが呼ばれた訳ね」

 

「おそらくそうでしょうね。しかし、考えても見てください。名も旗も失った…身分証の無いコミュニティに何ができるでしょう?それに名と旗は身分証の役割だけではありません。名誉や誇り、魂といったモノを込めて作られる象徴みたいなモノです。それを守れもしないコミュニティに誰が集まろうというのでしょう?…彼は出来もしない目標を掲げ、僅かな生き残りである黒ウサギや子供達に無理を強いているだけです。実際にリーダーとしての活動も十分にしていませんし、コミュニティの経営なども全て黒ウサギに任せている」

 

長ったらしい説明の後、またジンに矛先が向けられたが、飛鳥が遮るように質問する。

 

「それで?ガルドさんは私たちに随分丁寧に説明してくれるけれども、どうしてかしら?」

 

「単刀直入に言いましょう。もしよろしければ、黒ウサギ共々私のコミュニティに来ませんか?」

 

「な、何を言い出すんですか!?」

 

ジンが慌てて叫ぶ。だが、がるガルドがジンを睨みつけながら言う。

 

「黙れ、ジン=ラッセル。今回の勧誘、テメェはどういう風にした?異世界のレディ達を自分勝手に呼び出しておきながら、理由や現状を話さずに自分のコミュニティに入れようとした」

 

「そ、それは…」

 

「何も知らない相手なら騙せると思ったか?あほが」

 

その言葉に反論出来ないのか、ジンはまた俯く。

 

「・・・で、どうすされますかレディ達?あ、今すぐに決めろなどとは言いません。箱庭には召還されてより三十日間はどのコミュニティにも属さなくても良いという自由期間がありますからね。なんなら、一度見学されますか?ジンのコミュニティ『ノーネーム』と私のコミュニティ『フォレス・ガロ』を」

 

「いえ、結構よ」

 

「「は?」」

 

飛鳥の答えにガルドさらに、ジンも驚く。

 

「だから結構よ。私はジン君のコミュニティに入ろうと思っているもの」

 

「春日部さんはどうするの?」

 

「私は、どっちでも。この世界には友達を作りに来ただけだもの」

 

「そうなの。なら私が友達一号に立候補しようかしら?」

 

「・・・うん。いいよ」

 

飛鳥と耀は、微笑み、反永の方を向く。

 

「反永ちゃんはどうするの?」

 

「私は、ジンの方に入るよ。暇だった私を呼んでくれた礼もしたいし、何よりも上面が良いだけの人間の所には入りたくない」

 

「お、お言葉ですがレデ」

「[黙りなさい]」

 

まだあきらめようとしないガルドは、飛鳥の言葉により勢い良く口を閉じた。ガルドは驚いて目を見開き、口を開けようとするが開かない。

 

「!?」

 

(今のって言霊ってやつなのか?やっぱり能力を持ってたんだな)

 

「さて、ガルドさん?貴方にはもっと色々聞きたいことがあるの。だから、[そこの椅子に座って私の質問に答え続けなさい]」

 

その命令によりガルドは、椅子が壊れそうなほど強く座る。

その音のせいか、店から店員が止めに入る。

 

「お、お客様!店内での揉め事は困ります!」

 

「ちょうどいいわ、あなたにも面白いモノを見せて上げる」

 

「?」

 

店員は、首を傾げるが、飛鳥は言葉を続ける。

 

「ねぇジン君と店員さん。私思ったのだけれど、この世界では自分達の誇りであるコミュニティの旗を易々とゲームのチップにするものなのかしら?」

 

「い、いえ。追い詰められた時などでは別ですが、それはかなりのレアケースです。何しろ負ければコミュニティの存続は絶望的ですから」

 

店員は飛鳥に確認するように視線を送られ、ジンの言葉に同意と首を縦に振る。

 

「まぁそれはそうよね。そんな大勝負を強制出来ることこそが、魔王が魔王たる所以なのですものね。なら、魔王でないあなたが、その強制する権限を持たないあなたが、なぜそんな大勝負を仕掛け続けることが出来たのか、[教えてくださる?]」

 

ガルドは言うまいと顔を顰めるが、その命令により、ガルドの口が開く。

 

「方法は簡単だ。相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫すること。そに動じない所は後回しにして他を取り込んでから圧迫していった」

 

「…あなた程度が思いつくことなんて、そんなところでしょうね。では、取り込んだコミュニティはどうやって従わしていたのかしら?」

 

「各コミュニティから人質を数人取ってある」

 

「そう。それで、その人質は何処に幽閉しているのかしら?」

 

「もう殺した」

 

場の空気が凍り付いた。

 

「初めてガキ共を連れてきた日、泣き声が頭に来て思わず殺した。それ以降は自重しようと思っていたが、父が恋しい母が愛しいと泣くのでやっぱりイライラして殺した。それ以降、連れてきたガキは全部まとめてその日のうちに始末することにした。けど身内のコミュニティの仲間を殺せば組織に亀裂が入る。始末したガキの遺体は証拠が残らないように腹心の部下が[黙れ!]

 

飛鳥の命令により固くガルドの口が閉ざされる。

 

「素晴らしいわ。ここまで絵に描いたような外道とはそうそう出会えなくてよ。さすがは人外魔郷の箱庭の世界といったところかしら・・・ねえジン君?」

 

ジンは、その言葉を慌てて否定する。

 

「彼のような悪党は箱庭でもそうそういません」

 

「そう?それは残念。それよりジン君。箱庭も法を犯せば裁くようだが、この件は裁けるのかしら?」

 

「難しいです。吸収したコミュニティから人質を取ったり、身内の仲間を殺すのはもちろん違法ですが・・・裁かれるまでに彼が箱庭の外に逃げ出してしまえば、それまでです」

 

「そう。なら仕方がないわ」

 

飛鳥が指を鳴らした。それと同時に自由が戻ったガルドは、テーブルを砕き。

 

「こ・・・・・・この小娘ガァァァァァ!!」

 

ガルドは、強く吠え虎の姿となった。

 

「テメェ、どういうつもりか知らねえが・・・俺の上に誰が居るかわかってんだろうなぁ!?箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!!俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ!その意味が分かってるのか!!」

 

そう言いながらガルドは腕を振り上げる。が、振り下ろそうとした瞬間ガルドは勢いよく後ろに吹き飛ばされた。

そう、反永がガルドの腹に『岩砕き』を食らわせたのだ。それは、擬人化して、弱体化していても骨を砕き、相手を吹き飛ばす程度はできた。

ガルドはもちろんその場に得た全員が驚いていたが、構わず反永は特性『プレッシャー』を使いながら言った。

 

「ガルド=ガスパー、ギフトゲームをしよう。」




次は白夜叉が出てきます。そして主人公の暴走。

追記
9/24報告ありがとうございます。
ジン君が名前を聞く所を『二人』から『三人』に修正。

2019 7/16
誤字報告ありがとうございます。修正しました。

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