前回のあらすじ
・異世界転生
・暇
・幼女化
・手紙
(どうやら転送されたらしい。あと、我以外に少女二人に少年一人に猫一匹か、助けれなくは無いけど・・・まあ、面倒くさいからいいか)
ボチャン
意外と小さい音がなり湖に落ちる人と猫と竜
みんなで陸に上がり、黒髪の少女が怒ったように口を開く。
「信じられないわ!まさか問答無用で引きずり込んだ挙げ句、空に放り出すなんて!」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
今度は金髪の少年が口を開く。
「・・・・・いえ、石の中に呼び出されては動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
(我も問題ない)
「そう、身勝手ね」
ギラティナは心の中で相槌を打ちピリピリしている二人を見る。
(こんな短時間でよく仲が悪くなれるな)
そんな事を考えていると茶髪の少女が、猫を抱えながら呟く。
「ここ・・・どこだろう?」
「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねえか?」
そんな事を言った後、少年は少しだけ真剣な面持ちになりここに居る者たちに訊いた。
「まず間違い無いだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前たちにも変な手紙が?」
「そうだけど、まずは"オマエ"って呼び方を訂正して。・・・私は久遠飛鳥よ。以後は気おつけて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」
「・・・春日部耀。以下同文」
「そう。よろしく春日部さん。それで、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」
「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃った駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」
「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」
「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」
逆廻から視線を外しギラティナに視線をむける。
(よし、次は我の番だな。因みに、ギラティナと名乗る気はない。名前が長いと面倒だし、苗字無いし。そして、勿論偽名は考えてある二十年暇だった我を舐められては困る!)
「私は、
「ええ、よろしく、世逆ちゃん」
(
そして、物陰から会話を見ていた人がいた。
(うわぁ・・・なんか問題児ばっかりみたいですねえ・・・)
そしてまた十六夜が苛立ったように言う。
「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」
「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」
「・・・この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど。」
「仕方がねえな。こうなったらそこに隠れてる奴にでも話を聞くか?」
(ああ、気付いてたのか。我だけかと思った。)
「あら、貴方も気づいてたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負け無しだぜ? そこのおまえも気づいてるんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でも判る」
「気配を隠しきれていないし」
「へえ、面白いなお前ら」
そんな会話に追い出されるように物陰から人が出てくる。
「や、やだなあ御四名様。そんな狼みたいな怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ? ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここはひとつ穏便に話を聞いていただけたら嬉しいのでございますよ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「やだ」
「あっは、とりつくシマもないですね♪」
そう言い両手を上げ、降参のポーズをとるうさ耳少女。
だが、それでも少女はしっかりと考えていた。
(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝ち気は買いです。)
「えい」
「フギャ!」
風の様に素早く移動した耀が、うさ耳を引っ張った。
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか、初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとはいったいどういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業」
「自由にも程があります!
何とか耀の手から逃れる黒うさぎ。だが、逃げた先は十六夜と飛鳥の方だった。
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
「・・・じゃあ私も」
そう言いながらうさ耳を掴む二人。
「ちょっ!ちょっと!」
黒うさぎが助けを視線で求める。が、(頑張って)と言わんばかりの温かい目を返される。
「この、問題児様方ー!」
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「・・・あ、あり得ない。あり得ないのですよ・・・まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは・・・学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス…」
「いいからさっさと進めろ」
(黒うさぎは、いつもこんな扱いなのか?・・・まあ、同情はしないが・・・)
「・・・コホン。それでは改めまして。ようこそ、皆様!『箱庭の世界』へっ!
我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる【ギフトゲーム】への参加資格をプレゼントさせて頂こうかと召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四人様は皆、普通の人間ではございません!
その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵なのでございます。
『ギフトゲーム』はその『恩恵』を用いて競い合うためのゲーム。
そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に作られたステージなのでございますよ!」
大ぜさに動きながら説明していく黒ウサギ。
そして飛鳥が質問するために手を挙げる。
「まず、初歩的な質問からしていい?貴方の言う【我々】とは貴女を含めた誰かなの?」
「Yes!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある『コミュニティ』に属していただきます♪」
「嫌だね」
十六夜が速答する。
「属していただきますっ!!!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの【主催者】が提示した賞品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」
「・・・【主催者】って誰?」
今度は、耀が手を挙げた。
「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。
特徴として、前者は自由参加が多いですが【主催者】が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。
しかし、見返りは大きいです。【主催者】次第ですが、新たな『恩恵』を手にすることも夢ではありません。後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらは【主催者】のコミュニティに寄贈されるシステムです」
「後者は結構俗物ね・・・チップには何を?」
「それも様々ですね。金品、土地、利権、 名誉、人間、・・・そしてギフトを賭け合うことも可能でしょう。ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然ご自身の才能も失われるのであしからず」
黒うさぎは、少し暗い笑みをうかべる。
そして、もう一度飛鳥が質問する。
「そう。なら最後に一つだけ質問させてもらってもいいかしら?」
「どうぞどうぞ♪」
「ゲームはどうやったら始められるの?」
「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOKです!
商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加して行ってくださいな」
「・・・つまり『ギフトゲーム』はこの世界の法そのもの、と考えてもいいのかしら?」
黒ウサギは感心したかのような声をあげ、また喋り出す。
「ふふん?なかなか鋭いですね。しかし、それは八割正解、二割間違いです。
我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。
…が、しかし!『ギフトゲーム』の本質は全く逆!!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。
店頭に置かれている賞品も、店側が提示したゲームやクリアすればタダで手に入れることも可能ということですね」
「そう。なかなか野蛮ね」
「ごもっとも。しかし、【主催者】は全て自己責任でゲームを開催しております。
つまり奪われるのが嫌な腰ぬけは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」
そう言うと黒ウサギは一枚の封書を取り出した。
「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。
・・・が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。
新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない・・・。
ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが・・・よろしいですか?」
「・・・待てよ、俺がまだ質問してないだろ?」
「・・・どんな質問でしょうか?ルールですか?それともゲームそのものですか?」
「そんなのはどうでもいい。ああ、どうでもいいんだ。俺が聞きたいことはただ一つだけ。
―――――この世界は面白いか?」
(そう、それが聞きたかった。面白くなければ、元居た場所と変わらない)
その言葉に全員が黒うさぎの方を見る。
「・・・Yes。『ギフトゲーム』は人を超えたものたちだけが参加できる神魔の遊戯。
箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」
と、黒うさぎは、自信満々で答える。
(ふふ、そうか、嘘だったら竜星群降らすからな?)
と、思いつつ反永は、期待していた。
主人公の名前をやっと出せました。
追記
9/19報告ありがとうございます。
抜けてた『「』を追加
2018 11/4
ピクシブ百科事典で調べた結果、漢字表記は『流星群』ではなく『竜星群』であることが判明。修正しました。