鉄道これくしょん -鉄これ-   作:十六夜翔矢

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どうも、十六夜翔矢です。
今回はとある空母の話です!


Act6.とある空母の夢

鎮守府に着任して、もう一ヶ月が経った。

あの時、三人しかいなかった艦娘も、今や五十人はいる。

その中に一航戦の正規空母、赤城と加賀がいる。

彼女達は元々、八八艦隊計画で赤城は天城型巡洋戦艦の二番艦、加賀は改長門型戦艦である加賀型戦艦のネームシップとして就役予定だった。

だが、ワシントン海軍軍縮条約にて、建造中の艦船を全て廃艦とする事が決まった。

その中に、赤城と加賀は入っていたが、赤城は姉である天城と共に、航空母艦になる予定だった。加賀は廃艦とした上で、給糧艦、間宮にボイラーを渡す予定であったが、1923年9月1日、関東大震災が発生。当時、横須賀海軍工廠内で改装工事中だった天城は竜骨を損傷、復旧工事は断念され、代わりに横須賀に繋留されていた加賀が、航空母艦へと改造された過去がある二人だ。

そんな二人と一緒に、仕事をしていた。

 

 

「…提督、私って元々は巡洋戦艦として計画されたって知ってました?」

 

「あぁ。確か八八艦隊計画で最初に計画された天城型巡洋戦艦の二番艦だろ。」

 

「…提督。私も元々は戦艦としての計画でしたが。」

 

「加賀は長門型の改良型として同じく八八艦隊計画で41cm砲5基10門の戦艦として計画された加賀型戦艦のネームシップだろ。」

 

「その後、ワシントン海軍軍縮条約で妹の高雄と愛宕を、関東大震災にて私は天城姉さんを失い、」

 

「…私は軍縮条約で妹の土佐を失いました。」

 

「そして、私と加賀さんは正規空母として横須賀海軍工廠で改装をして晴れて正規空母として進水しました。それで提督、ここからが本題です。」

 

「…私と赤城さんを一度で良いから戦艦として出撃させてくれませんか。」

 

「戦艦としてか… よし、分かった。但し、装備が整ったらになるが、それでも良いか?」

 

「ええ。構いません。」

 

「夢が叶うならばいつでも良いですよ。」

 

 

赤城と加賀の夢、それが戦艦として戦う事か…

出来れば姉妹と一緒に出撃させてやりたいな…赤城と加賀の喜ぶ顔が見て見たいしな。

 

 

 

一週間後…

 

「赤城、加賀。朗報だ。」

 

「朗報…ですか?」

 

「何でしょうか。」

 

「装備が揃った。後はお前達が戦艦改装をすれば出撃出来るぞ。それと、これは今日まで隠していた事だが…お前達の姉妹が奇跡的に何故か今日着任した。今頃工廠で待ってるだろうよ。早く行ってやりな。」

 

「えっ…と…天城姉さんに、高雄、愛宕が…」

 

「…早く行きましょう、赤城さん。」

 

「…そうね。加賀さん。提督、ありがとうございます!」

 

「なーに、思う存分姉妹達と楽しんでこい。」

 

 

side赤城

 

 

提督、感謝します!

一航戦赤城、いえ、天城型巡洋戦艦二番艦赤城、出撃します!

 

 

「着いた…!」

 

「この先に…いるのね…」

 

 

私と加賀さんは思いっきり工廠の扉を開けた。そこには本当ならいる筈のない天城姉さんに高雄、愛宕がいた。

 

 

「…天城姉さん」

 

「久しぶり、赤城。あれから元気にしてた?」

 

「赤城姉さん…」

 

「会いたかったよ…」

 

 

本当に…天城姉さん達だ…うぅ…泣きそうです…

 

 

「姉さん、もちろん元気にしてましたよ。高雄、愛宕。私も会いたかったよ…」

 

「さぁ!赤城、今すぐ改装してらっしゃい!暁の水平線に勝利を刻むわよ!」

 

「はい!行ってきます!」

 

 

 

side加賀

 

 

提督、感謝します…!

一航戦加賀、いえ、加賀型戦艦一番艦加賀、出撃します!

 

 

「着いた…!」

 

「この先に…いるのね…」

 

 

私と赤城さんは工廠の扉を開いた。

すると、私の目線の先には紛れもない私の妹、土佐がいた。

 

 

「土佐…久しぶりね。」

 

「加賀姉さん…お久しぶりです…!」

 

 

何十年も前に、横須賀で会って以来、私と土佐は離れ離れになっていた…

それが今、こうやって私の目の前にいる。

姉として、こんなに嬉しい事はないわね。

 

「姉さん…早く出撃に行きましょう!」

 

「そうね。改装に行ってくるわ…!」

 

 

執務室…

 

 

「やれやれ…嬉しいのは分かるけど、扉ぐらい閉めてけあいつら…」

 

「仕方ないと思うネー。それにしても、提督はすごいデース!」

 

「いやいや金剛、あれ絶対おかしいって。本当に妖精さん凄いなおい。まさか、コンバート改装でいつでも戦艦と正規空母を行き来可能にするとか…」

 

「まぁ、そこは確かにそう思うネー。提督、そろそろティータイムだから休憩しよ?」

 

「そうだな…休憩するか。榛名も呼んで来たらどうだ?」

 

「そうするネー。」

 

 

思いっきり楽しんでこい!赤城、加賀!

 

 

side赤城

 

 

昔には叶わなかった、天城型巡洋戦艦としての出撃が…遂に叶いました。姉さんに妹達との出撃も、叶いました。提督には頭が上がらないですね。

 

「赤城さん、索敵機を出しましょうか。」

 

「そうね、索敵機を発艦させましょうか。」

 

「ねぇ、赤城。」

 

「はい?何ですか天城姉さん?」

 

「なんで貴女達は索敵機で零戦21型を出すの?どう考えてもおかしいわよね?」

 

「え、別におかしくないですよ?飛行甲板もありますし…そうよね加賀さん。」

 

「ええ。赤城さんの言う通りです。」

 

 

戦艦に改装をして、何故零戦が扱えるのか、気になりますよね?

どうやら、飛行甲板が戦艦になっても何故か使えるみたいで。

これぞ本当の航空戦艦って言えますね。

 

 

「第一次攻撃隊、全機発艦!」

 

 

あ、つい何時もの癖で攻撃隊って言っちゃった…

…まぁ大丈夫ですよね。

 

 

「偵察機より入電!敵は軽巡3、駆逐3!」

 

「鎧袖一触ね。土佐、やるわよ。」

 

「はい!姉さんの足を引っ張らないように頑張ります!」

 

「赤城、高雄、愛宕。油断大敵よ。気を引き締めて行きましょう。」

 

「「「はい!」」」

 

 

「提督!応答願います!」

 

『赤城か、どうした。』

 

「深海棲艦を発見、これより交戦に移ります!」

 

『分かった。勝ってこいよ!』

 

「はい!必ず勝ちます!」

 

 

「私も戦艦として戦うのは初めてだけど…土佐、見ていて。」

 

「はい!」

 

「…距離、速度、風向き良し、全砲門斉射!」

 

「姉さん流石です!一発で仕留めましたね!」

 

「鎧袖一触、この言葉を貴女も覚えておきなさい。土佐。」

 

 

流石、加賀さんです。

でも、私だって負けてられないです!

 

 

「ふぅ…私も負けていられませんね!第一次攻撃隊、全機発艦!」

 

「赤城、貴女何で艦載機放ってるのよ。」

 

「え…何でって…弾着観測射撃ですよ。」

 

 

あ、もしかして飛行甲板が使えるのってこの為ですかね?私自身よく分かってないですけど。

 

 

「天城姉さん、見ていてください。これが私のやり方(戦法)です!主砲、斉射!」

 

「赤城姉さん、お見事です。流石、練度を積んで来ただけありますね。」

 

 

確かに練度積んではいるけど、まだ二十だし、巡洋戦艦としての練度なんて1ですよ…

 

 

「よ〜し、私も赤城姉に負けてらんないわ!」

 

「ふふ、そうね。私も姉として負けてられないわね!」

 

 

…まぁいいか。練度なんて上げて行けばいいですからね。それに、姉さんや妹達がこうやっている事、一緒に出撃出来る事に感謝ですね。

さて、気を引き締めて行きましょう!

 

 

鎮守府、執務室…

 

「さて…赤城達は大丈夫かな…」

 

「大丈夫って信じるデース!赤城と加賀はうちの主力空母、そう簡単にくたばるとでも思っているのデースか?」

 

「そうですよ提督、戦艦の主力の私達と並ぶ程ですよ!」

 

「そうだな。信じてやらなきゃな。…金剛、お前これ、茶葉何使った?」

 

「提督がインドから取り寄せたアッサム!」

 

「通りで色が濃い訳だな…いや別に飲めなくはないけど、どうせ入れるならダージリンかトワイニングのアールグレイ入れろよ…」

 

「え〜、私、アッサム好きなのに〜」

 

「俺はアールグレイ派だ。」

 

「榛名は提督と同じです!」

 

「提督の入れたトワイニングのアールグレイ、確かに美味しいけど、やっぱり濃厚なアッサムが一番デース!」

 

「い〜や、絶対アールグレイだ。」

 

「そうですよお姉様!アールグレイが一番です!」

 

「アッサム!一番はアッサムデース!」

 

 

やれやれ、金剛とは茶葉の好みが合いそうにないな…

榛名とは好みが合うのにな…

 

 

「っと、無線か。赤城達だな。」

 

『提督、報告です。全員無傷、完全勝利です!』

 

「お疲れ様。とりあえず撤退だ。いいな?」

 

『了解しました。では帰投します。』

 

「提督、報告ですか?」

 

「ああ。完全勝利だそうだ。」

 

「やりましたね!」

 

「さて、出迎えてやるか。」

 

「はい!金剛お姉様、行きましょう!」

 

「ちょっ、榛名〜引っ張らないでくださいネー!」

 

 

さーて、今日は宴だな!




今回出てきた艦娘についての設定はまた後日出します。

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