とある科学の絶対孤独≪アイソレータ≫   作:神の力 ガヴリエル
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とある魔術の禁書目録3期決定したみたいですね!生きる理由が増えた気がします

4話目。ついにミノル君が安定した生活を手に·····!?


第3章 学園都市 Another_Would

都会の特徴に大通りや人気の多い場所はとても賑わい、背の高いビルがひしめき合っているが、一方で路地裏等の人気の無い場所は薄暗くてどこか廃れたような寂しい印象を与えるというものがある


佐天達と別れたミノルが現在歩いている所もそんなような薄暗い道で、既に日がだいぶ沈んでいるせいかより暗く、遠くに聞こえる街の喧騒との対比でより一層の心細さを感じていた


「(そろそろ泊まれる場所を探さないとマズイんだけど····)」


そこらのビジネスホテルだって恐らく4000〜5000円はかかるだろうし、まずお金を使えないかもしれないという問題が浮上し始めている今の状況では一か八かで挑んで警察やら先程の『風紀委員(ジャッジメント)』に捕まるというバッドエンドに突入していきそうで無闇と使うわけにもいかない。それなら野宿とかの方が数段マシだろうと疲労困憊の体を引きずりながら考えた


偽札を持ったホームレスのような気分になりながら歩みを進めていたミノルだったが、その時前方に誰か居るのに気づいた


「空木ミノル。でいいのかにゃー?」


横を通り過ぎようと思ったミノルの耳に、男のそんなふざけたような口調の言葉が滑り込んできた。驚いたミノルは、飛び退りながらその男へと視線をフォーカスさせる


金髪のツンツンと逆立った髪型に学校指定の半袖カッターシャツとサングラスという出で立ちのヤンキー然としたその男は、口元に胡散臭い笑みを浮かべてミノルの事を見ていた


「(どうして僕の名前を!?)」


そう。その男は如何なる理由によってかミノルの名前を知っていた。その事実に表面では平静を装ったミノルだったが内心では鈍器に殴られたような重い衝撃にみまわれていた。その事を完全には隠せなかったのか、その金髪の男はミノルに向かってニヤニヤとした笑みを貼り付けながら言った


「そんなに警戒しなくても、別に取って食おうとかはしないぜい。もっとリラックスしてほしいにゃー」


そんな事を言われたって落ち着けるわけがないーーーと反射的に言い返しそうになってから少々慌てて口を噤み、ミノルは絞り出すような声で言った


「何で···何であなたは僕の名前を····?今ここで僕の名前を知っているのはーーー」
 

「『元の世界』の人達だけのはず。か?」


ミノルはその確信的な言葉に息を詰まらせた。そんなミノルを意に介していないように金髪サングラスはこう続ける


「ああ,勘違いしているようだから一応言っておくが俺はお前の世界の住人ではない。····まぁこの学園都市にも住人だとハッキリは言えないんだけど今はそういう事にしておくぜい。どうせ『魔術』やら『必要悪の教会(ネセサリウス)』やらをここで説明しても意味が無いだろうしにゃー」


思わず「ま、『魔術』···?ね、ねせ····?」と聞き返してしまったが、金髪サングラスはまるで気にするなとでも言うかのように手をひらひらさせてから続けた


「俺の名前は土御門元春(つちみかどもとはる)。よろしく頼むぜい」


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いらっしゃいませー。というウェイトレスの声をBGMにミノルと土御門はファミレスの自動ドアを通る。何故土御門とこんな所にいるのかと言うと、「そろそろ腹も減ってきたしどこかで飯でも食わないか?·····そこでお前が知りたい情報も教えてやるぜい?」と土御門が言ったためだ


どうにも手綱を握られてるような気分になるのだがミノルの事情を知っているらしい土御門に頼らざるを得ないのが今の状況であり、この世界の情報を手に入れられるという事なのでミノルは頷くしかなかったのだった


そんなこんなでウェイトレスに案内されたのはファミレスの入り口からかなり奥に行った二人席。その席の周りにはあまり人が居ないので秘密の話をするには好都合だとミノルが思っていると


「どうした?早く座ろうぜい」


よほど空腹だったのだろうか。腹を擦りながらミノルに座るよう促す土御門にミノルは少し苦笑してから座る


「ここは俺が奢るよ。どうせウツやんの持ってる野口さんでは料金払えないしにゃー」


「う、うつ······ってそれよりやっぱりここでは僕の持ってる紙幣が使えないんですね」


「ん?ああ。学園都市の紙幣には特殊なICチップが埋め込まれているらしいからにゃー。もし店なんかで使えば『風紀委員(ジャッジメント)』やら『警備員(アンチスキル)』やら警備ロボなんかがすっ飛んでくるだろうよ」


土御門はスタンドからメニューを引き抜いてペラペラとめくりながらそう答えるのを見て、ミノルもスタンドからもう一つのメニューをパラパラとめくる。カラフルなデザインのメニューに書かれていた料理の名前を見るとさほどミノルの世界と変わった様子は無く、至って普通のファミレスと言ったところだろうか


ミノルは魚介類のペスカトーレAセット(フォカッチャ&シーザーサラダ&スープバー付)なる料理を、土御門がビッグサーロインステーキAセット(ライスと味噌汁とドリンクバー付)をウェイトレスに注文したところで土御門が本題に入り始めた


「人口約230万人、その約8割が学生で東京西部に位置し、東京の約3分の1の面積を占める完全独立教育機関。それが『学園都市』だにゃー」


230万人もの人口。しかもその8割が学生。そんなので本当に治安や法律、条例等が守られるのだろうかと疑問に思ったが、黒子達
が所属している『風紀委員(ジャッジメント)』だって見た感じ学生だったので、学生が治安維持をしているのだろうと推測し、もう一つの気になる事について聞いてみることにした


「完全独立教育機関········?というかこの世界に東京とかあるんですね」


「この世界とウツやんの居た世界との違いはここ『学園都市』の有無と『もう一つの能力(チカラ)』ぐらいだぜい?世界地図を見ればアメリカやらイギリスやらが載っているにゃー」


そのもう一つの能力(チカラ)とやらも気にはなったが土御門が続けるのでその疑問は後回しにする


「さっき言った通りこの街は完全に独立していて街は高さ5メートル、厚さ3メートルの壁にくまなく覆われている。外部から街に入るにはIDとか入国審査のような事が必要だぜい。もしもIDを持たずに入れば········」


手でハンドガンの形を作ってミノルに突きつける土御門。それを見たミノルは変な汗をかきつつ何とも言えない微妙な表情になる。それは勿論、ミノルが第三者から見れば『外部から不許可に学園都市に入った不届き者』だという見つかったら殺されかねない現状だと気付いたからだ。ますますこの街についての警戒感が高まってしまったミノルは思った事をそのまま土御門に言った


「勝手に街に入っただけで不法入国者扱いって······凄い街ですね」


「街のどんな科学技術でも外部との技術力に2、30年もの開きがあるからにゃー。外部に漏らしたらえらいことになるんだぜい?」


「に·······!?」


2、30年!?と叫びそうになるのを何とか抑えたミノル。ミノルが所属している、『特課』の課長代理兼作戦指揮官。『教授』は『サードアイ』によって、『答えのある疑問ならほとんどの疑問にすぐ答えを導き出せる』という能力を手に入れた。


教授はその能力を用いてミノルの世界の科学技術力を遥かに上回る技術で『ルビーアイ』を倒すための武器や兵器を始めとした様々なアイテムを開発しており、ミノルのスマートフォンも特課謹製。バッテリーは他の端末よりもかなり長持ちで、防水防刃防弾という優れ物だ。しかしその技術力をも遥かに凌駕するような学園都市の科学技術。それが武器に反映されたら·······


「話を戻すぜい。ウツやんもさっき見ただろうが、銀行強盗達が使った『能力』についてだ」


『能力』


何度も言うようだがミノルが知っているそれは宇宙から飛来した謎の有機生命体、『サードアイ』が寄生した事により発生する物だ。その存在は日本政府の上層部が秘匿しており、『サードアイ』保持者でない限り一般人は知る由もないはずだ


だが、ここ学園都市の住人はまるで『能力』の存在が当たり前の日常であると言うかのように平然としていた。それはミノルにとっては異様な事で、例えるなら外国とかで誰もが普通にハンドガンとかを携行しているのと同じ事であり······


「そもそも学園都市の特徴と言えるものはその学生の街だとか壁にくまなく覆われていて独立国家状態だとか科学技術が外部より数十年進んでいるとかそんな小せえ事じゃない」


「え·········?」


ここまで聞いた話だけでも随分ブッ飛んだ街だという感想が拭えなかったのだが、それを『小さい』と言い捨てた土御門にまたもや認識や常識の差異のような物を感じたミノル。そんな風に思ってるとは土御門も思っていないのか、それが至極当然のように土御門は続ける


「言っただろう?『能力』だよ。この街は、その卓越した科学技術で人工的に、『科学』で『超能力』を生み出しているのさ」


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『科学』で『超能力』を作る。ミノルから見ればそれはとても矛盾してるように感じてしまうのだがそれも仕方がないだろう。
ミノルの世界では『超能力』なんていうのは『科学』では証明出来ない事を指すのであり、世間からしてみれば非科学的。オカルトチックなどと言われている物のはずだ。『科学』で『超能力』を生み出すなどと言われてもにわかには信じる事が出来ない。いっそ『サードアイ』と同じく非科学的でオカルトチックな力だと説明してもらった方が信憑性があるだろう


「とりあえず学園都市の説明はこれだけあれば充分だと思うんだぜい(ガツガツ」


「何というか····予想を遥かに超えたぶっ飛んだ街ですね······(モグモグ」


そして現在、ミノルと土御門は仲良くご飯タイムに突入していたのだった。運ばれてきた当初はあまり食事の出来るような気分では無かったが、その暴力的なまでに鼻孔を擽る匂いに思わずフォークが進んでしまった訳である。最初の土御門への警戒はどこに行ってしまったのか、それは誰にも分からないだろう。そうこうしてる内にミノルと土御門の皿から料理が消えたので、それを見計らった土御門がお冷を飲みながら言った


「とりあえず学園都市の説明は終わった事だし、次の議題に移ろう。今のウツやんの危機的状況打開についてだにゃー」


「うぐっ」


今のミノルの危機的状況というのは恐らく金銭的問題と、住むところが無いホームレス状態の事だろう。いずれも早急に対処したい問題ではあるのだが、金銭的な問題ならまだしも住居の問題については元の住所も土御門の言っていたIDも持っていないのでそっちの解決にはかなり策を練らなければならない····と思っていると、


「そんなウツやんの悩みをスッキリスッパリ解消する素晴らしい案があるんだにゃー」


再びニヤニヤとした笑みを浮かべた土御門を怪訝に思っていると、サラリといきなり爆弾を投下してきた


「ウツやんには俺が通ってる学校に行ってもらうぜい」


「·······は?」


思考が止まった。それはもう完璧に思考がホワイトアウトし、土御門が言っている言葉の意味を噛み砕いて理解するまでにたっぷり10秒もかかった


「は、はあ!?」


ここがファミレスという事もすっかり忘れて机を両手でバン!!と叩きながら立ち上がるミノル。ちなみに店の人の注目を集めている事も気付いていない


「まぁ、驚くのも無理はないかにゃー」


「何を穏やかに言ってるんですか!?僕としてはすぐに帰る方法を模索して·······」


「帰る方法、そんなのあるのか?」


これまでのふざけたような口調と態度とは違う。まるで鋭利な刃物のような鋭さを有したその声音に背筋が凍り、足が固められたように動かない。そんな凄まじいプレッシャーがミノルを覆い、侵食していく。これで確信した。土御門元春という男はただのチャラい男ではない。恐らくミノルなんて比べ物にならないぐらいの経験を積んでいるのだと


「それは········」


「それに学園都市には奨学金制度というのがあって、能力のレベルを測る『身体検査(システムスキャン)』と、学校への編入手続きをすれば月に生活費が貰えるんだ。勿論学校の寮にだって入れる。とりあえず帰る方法が見つかるまでこの街に滞在するって事でいいんじゃないか?」


確かにその『身体検査(システムスキャン)』とやらを受けて編入し、月の生活費が貰えるのなら金銭面の問題と居住空間の問題点は無くなるだろう。けどそれは、元の世界へと帰るという目的が遅くなってしまうという事でもあってーーー


「まぁ、無理にとは言わない。けど·····」


土御門はニヤニヤとした笑みでは無く、柔和な表情でミノルに言った


「何かを成し遂げるにはまず自分が生きなければならない。俺はそう思うぜい?」


「··············」


言葉はない。けど意志は伝わったのか、土御門はミノルにメモ帳程度の大きさの紙を渡した。それと何かが入ってる封筒も


「じゃあなウツやん。最終的に決めるのはお前だ。とりあえず悔いのない選択をしろよ〜」


手をヒラヒラとさせて踵を返した土御門を、ミノルは最後まで見ている事しか出来なかった




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「あんな感じでよかったのか?」


土御門はスマートフォンを耳に当ててミノルをこの世界に送った張本人、『学園都市統括理事長』アレイスター·クロウリーへ現状の報告をしていた


「あぁ構わない。これで『幻想殺し(イマジンブレイカー)』と
孤独者(アイソレータ)』の両方を手中に収められる。君は引き続き『監視』してくれ·······それにしても珍しいね。君があそこまで肩入れするとは」


「フン·······気が向いただけだ。切るぞ」


スマートフォンを操作し、アレイスターとの通話を切る


「そうだな·····お前の『計画(プラン)』に翻弄されるには惜しい奴だよ。アレイスター」


土御門の独り言は夜風に攫われて、誰にも聞こえることなく消えていった



テスト週間に入りそうなので次は遅くなりそうです。高評価頂けると単純な作者は喜びます