とある世界の選択異譚《ターニング·リンク》 作:タチガワルイ
新キャラ(?)がわんさか出てきます。
『シュタゲ世界のあのキャラ、禁書世界に合わせるととどこら辺のポジションになるの?』って辺りを楽しんでいただけると←
「──くそ、まだ追ってくるか!」
「岡部!余所見してないで──っ、見つかった!」
紅莉栖、インデックスを引き連れ、全力疾走する。路地裏を右へ、左へ。一息つけると思ったら人影を見つける。
そして走っての繰り返し。
先程までファミレスで涼んでいた筈が、何故気がつけば再び追いかけられている。
「くそ、まさかファミレスにまで踏み込んでくるとは思わなかったぞ!」
「そ、それだけ相手は本気ってことなんじゃない!?」
「ねぇねぇ、ちょっと、おなか、減ったかもなんだよ····」
「「早くない(か)!?」」
しかし包囲網とは恐ろしい。どの路地裏からも出ることができないまま、疲労が限界に達し1歩も動けなくなったところで鬼ごっこは終わった。
全方位6人から銃を突きつけられる俺達3人。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、…」
「目標、1…目標、2…確保」
「……………!?」
この、声。この、言い方。まさか…!?
6人の後ろからゆっくりとした足音。
前方の2人がこっちに銃をむけたまま道をあける。
「………また、お前か…ッ!」
真っ黒のライダースーツ。長く波打つ金髪。小さめのメガネ。ガラケーは持っていないのか。代わりに拳銃を持っている。
見間違うはずか無い、
見違える訳が無い。
俺が『閃光《シャイニング》の指圧師《フィンガー》』と名付けた、ラボメンナンバー005。
──この世界線では''そちら側''らしい。
「桐生、萌郁……!」
「……ッ!?」
無表情に僅かに動揺が走る。
「……どこで、仕入れた……情報だ」
打って変わって鋭い声音で低く尋ねる。
「岡部!何する気よ」
紅莉栖が小声で囁く。
「分からん、だがなんとか場を持たす。その間に隙を見て逃げろ」
「岡部はどうなるのよ」
「なんとかする」
なんとかって、と言い募る彼女を視線で止める。
「………分かった」
「何を…コソコソやっている……?」
ゆらりと銃口が上がる。
「待て桐生萌郁。…いや、閃光の指圧師、シャイニング・フィンガーよ!俺を忘れたわけではあるまい?」
「……知ら…ない。それに、…その、変な名前…はなんだ」
銃口を突きつけながら静かに言う桐生萌郁。だがこれでいい。話に食いついたのならばこちらのものだ。
「何?お前の真名、シャイニング・フィンガーを忘れたとな?その閃光が如く煌めくお前のメール捌きを俺はしかと見ていたぞ。そして!何より桐生萌郁、貴様は我が未来ガジェット研究所のラボメンだ!今からでも遅くはない、再加入すると言うのならば、話は聞いてやろう」
盛大に両手を広げ高らかに宣言する。
同時に、二人を背後に隠す。俺達は『捕獲対象』だ。つまり、即刻殺されることはないということ。ならば逃げようはあるはずだ。
「…何を、言って…!」
「んん?何を言っているとはこちらの台詞だぞシャイニング・フィンガーよ!さぁIBN5100は見つかったのかな!?機種変をすると言っていたが本当か!?そして」
これで、動揺して手元が狂えば儲けものだ。
半ば賭けのような祈りをこめていい放つ。
「──未だに顔も見えぬFBに心酔しているのかぁ!?」
「貴様…!」
引き金が引かれようとした瞬間──。
「ナイス時間稼ぎだよ、岡部倫太郎!」
頭上から、声が。直後。
「うぎゃぁ!?」
一つの悲鳴を皮切りに、一秒の殺戮がそこで起きた。
何があったかさっぱり分からないが、取り囲んでいた男達が軒並み倒されていた。
今、ここに立っているのは両手を広げたまま固まる俺と、インデックスを庇う紅莉栖。
その数m目の前では小銃を構えたバイト戦士と、拳銃を持つ桐生萌郁が睨み合っている。
俺は、どうすればいい。
半年ほったらかしてましたね!
すみません!