とある世界の選択異譚《ターニング·リンク》   作:タチガワルイ

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遅くなりましたッッッ!!

すみません。今回も話がややこしくなっていくこの話。
お付き合い頂けるとありがたいです。

さてさて、今回は禁書···というよりは超電磁砲とのクロスオーバーになってますね。
世界観は同じだから問題ないのです!


※時系列上次話よりも前となるので、挿入させてもらいました。


状況待機のプロブレム

 __2010.8.10.12:03:17__

 

 目覚めると見慣れない白い天井だった。

 それはアレか。病院オチッスか。

 

 「あ、ダル君起きた~」

 

 いきなり横合いからニュッと突き出てくるまゆ氏。

 何がなんだか分からないまままゆ氏に「ここどこ?」と聞こうとするが、まゆ氏はさっさと頭を引っ込めてどこかに「くろちゃん、ダル君が起きたよ~」と呼び掛ける。

 誰ッスか、くろちゃん。猫?

 

 いまだにぼやけている意識の中で、誰かが「くろちゃんはやめてくださいまし!」と言いながら駆け寄ってくるのが聞こえた。

 

 「──やっと目覚めましたか。お怪我はありませんの?」

 

 ニュ、と横合いからツインテールの少女が顔を覗かせる。

 

 

 

 その瞬間、僕の意識は完全に覚醒したッ!

 

 

 

 「怪我はナッシング!僕は今、モーレツに感動しているッッッ!!」

 

 「なんですの!?」

 

 異能美少女、キタコレ!!

 

 突然跳ね起きた僕から慌てて体を離すツインテールのオニャノコ。

 改めてよく見てみると、最初の印象よりずいぶんと華奢に見えた。

 

 「ダル君おはよ~」

 

 戦々恐々としている少女の横でまゆ氏がのほほんとしている。

 

 「はぁー···路地裏でネット弾なんか使われているのですから、どんな危険人物かと思ったらとんだ変人でしたわ···」

 

 やれやれとツインテを振る少女は、なんとか気を取り直したのか、改めてこちらに向き直った。

 

 「はじめまして、(わたくし)風紀委員(ジャッジメント)の白井黒子と申しますの。以後お見知りおきを」

 

 「黒ちゃんだよ~」

 

 「その呼び名はやめてくださいまし!」

 

 すかさずまゆ氏が当然のように仇名をつけていた。

 しかし、「黒ちゃん···お姉様に呼ばれるなら···アリですわね···ふふふ」と呟いている辺り、僕と同じ臭いがする。

 

 「僕は橋田至だお。スーパーハッカーなのだぜ。キリッ!」

 

 「ダル君だよ~」

 

 「まゆ氏テンプレ乙!」

 

 僕がソファから立ち上がったところで、事務所の扉が開いた。

 

 「ふぅ~やっぱり空振りねぇ····あら、目が覚めたの。具合はどう?」

 

 「至極超健康的な変態とお見受けしますわ、固法(このり)先輩」

 

 肩上のセミショート黒髪を揺らす巨乳美人。制服がまた萌えるッス。

 

 「変態、ねぇ·····あんまり人を見た目で判断s

 

 「僕はスーパーハッカーダルシィ☆だお☆ちなみに彼氏いない歴=年齢だお!」

 

 「前言撤回。変態だわ」

 

 「HENTAIじゃないお、HENTAI紳士だお!」

 

 変態か否かの論争は白井氏にまで飛び火し、結局僕が『変態です』と認めるまで終わらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 「──つまり、貴方達には他にも連れがいた、と言うことね?」

 

 「そうだお」

 

 「となると、少々厄介ですわね····」

 

 僕からの説明を聞き終えると、固法氏と白井氏が難しい顔をして黙り込む。

 

 どうやらここは第7学区の『風紀委員(ジャッジメント)第177支部』という場所らしい。学園都市の交番のようなものである。

 気絶した僕らを回収した後、不良少年らを追いかけたのだが相手の能力によるのか、逃げられたらしい。

 

 「その友達の名前は?」

 

 「岡部倫太郎ッス。白衣で、リュック背負ってるから多分かなり目立つはずだお」

 

 「白衣····科学者ですか?」

 

 「違うよ~オカリンはねぇ、世界をこんとんに導くマッドサイエンティストなのです~」

 

 「はぁ···?」

 

 固法氏と白井氏が不審げに眉をひそめる。

 そもそもな話、『外部見学者』である僕らがいきなり拉致被害に遭うのも異常なのだ。

 そこに『マッドサイエンティスト』など変な名称を持ってこられても困惑するだけだろう。

 仕方なく僕がフォローに回った。

 

 「オ、オカリンは白衣が好きなだけの一般人だお。『学園都市』とはなんの関係も無いお」

 

 二人は暫く考え込んだ後、目線でなにかを会話すると、事務所の更に奥に一言、「初春ー!少し出掛けてきますわ!」と大声で叫んだ後、「少し調べてきますわ。二人はまだ暫く、ここで待機しておいてくださいまし」と言って出ていった。

 

 「…オカリン、見つかるかなぁ?」

 

 バタン、と閉じたドアを見つめてまゆ氏が不安げに呟く。

 

 「分かんね。……でも、簡単に捕まるオカリンじゃないっしょ」

 

 そう言いつつも、今日のオカリンは確かに、変だった。

 突然知ってるはずの事を知らないと言い出したり、こちらが知りもしない言葉を出したり。

 特に『学園都市』を知らないのは驚きだった。八王子学園都市なんぞ、僕は知らない。

 なによりも、バスが爆発したときのあのリアクション。

 驚くよりも先に、逃げることを優先した。

 あの目を、僕は忘れることができない。

 

 『ダル』

 

 そういって僕を見つめた彼の目は、『何かを見てきた目』だ。それも、ヤバイ部類の情報を。ハッキングを通じて幾らか仲間が出来るようになった時、時々あんな目をしているヤツがいた。

 

 「ダル……君?」

 

 まゆ氏の不意をついた言葉に、現実に引き戻される。

 

 「ん?なんぞ?」

 

 「今、すっごく怖い顔してたよ?」

 

 まゆ氏が心配そうに覗き込んでくる。

 僕は咄嗟に変態を演じた。

 

 「いや、もしラボに家探しが入ったら僕の嫁が攫われかねないなとか妄想ナウなのだぉ!はぁ、はぁ」

 

 「またまたぁ~、ダル君は変態さんですねぇ」

 

 「HENTAIじゃないお!HENTAI紳士だお!」

 

 そうやって言い合っていると、突然「あ~~~!!」と絶叫が事務所の奥から聞こえてきた。

 ビクリ、と肩が震える二人。

 なんぞ、誰の声!?

 

 「だ、誰の声~?」

 

 「わ、わかんねッス····」

 

 しかし、ふと思い当たる事があった。

 そう、白井氏は別れ際、誰に何を言っていたか。

 

 『初春ー!少し出掛けてきますわ!』

 

 そう、初春、という人物だ。

 僕はまゆ氏にそこにいるように言うと、ゆっくり立ち上がる。

 

 「あーもう!なんなんですかこの画像!?証拠は何もない····なのに明らかにこれは『消されてる』!誰ですか、こんな巧妙な工作をしたのは!?」

 

 キーボードを打つ音が聞こえて来ることから、どうやらその人物はネットで情報を収集しているらしい。

 声からして、少女?

 そんなことを考えている間に、僕は仕切りの向こうに顔を覗かせた。

 

 「うーん····画像データには足跡なし、これはもう工作源をたどるよりも、実際に仕掛けられた改竄を戻す方が簡単····?」

 

 頭に花飾りをつけたロリ体型の少女が足をパタパタさせていた。

 

 

 

 

 

 ································天使ッスか?

 




キャラ崩壊は大丈夫だろうか····?と何度もアニメを見直しながら書いた今話。

白井、固法、初春ときたらもうあとはあの子しかいないよね!
そう、御坂美琴!
もう一人?もう一人は多分当分出ません(バッサリ)。
次回はオカリン達がこれまた派手にやらかします。
では、お楽しみに!

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