とある世界の選択異譚《ターニング·リンク》 作:タチガワルイ
__2010.8.10.10:30:45__
「あー不幸だ……」
上条当麻は学生鞄を隣に置いて、ベンチで黄昏ていた。
始めに断っておくと、彼は不幸である。
「小萌先生から「バカだから補習でーす」とラブコールされて、行ったら行ったで学校の昇降口が工事で封鎖。校舎半周したと思ったら生活指導の爆乳ジャージに絡まれて、やっと辿りついたら小萌先生が泣きながら遅刻減点を付ける………不幸だぁぁぁあ!!」
繰り返そう。上条当麻は、不幸である。
そんな呪詛をとある公園で垂れ流していた上条に、更なる不幸が紫電を撒き散らしながらやって来た。
「アンタ、そこで何頭掻きむしってんの?」
「………」
「···私が来たことに文句があるようね…?」
頭から迸る稲妻は、慣用句「雷が落ちる」を連想させる。
堪りかねた上条は、「もう取り調べは堪忍下せぇ」みたいな目で紫電少女に言った。
「で、御坂、何しにきたんでせう?」
「よ、用なんか無いわよ。ただ、見かけたから………って用が無かったら呼んじゃ行けないわけ!?」
「ひぃ!?誰がそんなこと言ったよ、なぁ!?」
「あーもー腹立ったぁ!」
少女__御坂美琴__は頭上で撒き散らされる紫電を「掴み」、そのまま上条に撃ち放った。
『雷撃の槍』。最大電圧10億vを誇る大火力の放電現象。その稲妻は掠っただけでも瞬時に炭化させるほどの破壊力を秘めている。
そんな無茶苦茶な破壊現象を、彼女はなんの準備も無しにやってのける。
これが、『学園都市』に7人しかいない『超能力者__レベル5』の威力だった。
『雷撃の槍』は真っ直ぐ上条を貫き、彼を完膚なきまでに吹き飛ばす___筈が。
「いっきなり何すんだよ御坂!」
紫電は上条の右手に触れた瞬間、何かが割れるような音と共に一瞬で掻き消えた。
右手を突き出した上条は既に涙目だ。
「何するんだ、ホントマジで何すんだよ!危うく死ぬところだったじゃねぇか!」
「アンタそう言うけどねぇ!これで私の攻撃何回消し飛ばしたわけ!?」
「知るかよ!お前が突っかかって来るから悪いんだろ!大体俺の『右手』の事話したよな!?」
「イマジンブレイカーでしょ!何なのよそのチート!そんなアンタがなんで『
そう、上条当麻はその雷撃を喰らい、否、喰らう前にその『右手』で雷撃を打ち消した。
『
これが、レベル5第3位、御坂美琴が彼に勝てない理由だった。
「…はぁ、で?アンタそこで何してたの?」
「何もしてねぇよ。ただ休んでただけだ」
「……………」
「本当だって!……んじゃ、俺帰るわ」
鞄を担ぎ直し、踵を返す上条。
「え!………あ、ちょっと待ちなさいよ!」
そんな上条に慌てて駆け寄る御坂。
この数時間後に地獄が始まるなどと、まだ誰も気づいていない。
そんな『学園都市の日常』が広がっていた。
カミサカの日常回です。
キャラ崩壊起こしてたらごめんなさい····←