とある世界の選択異譚《ターニング·リンク》   作:タチガワルイ

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お待たせしました。
完全に超電磁砲×シュタゲですね·····。


理論解除のゲストハッカー

__2010.8.10.12:30:09__

 

 

 

「よっしゃ来たァ!天下の学園都市も僕にかかれば昼飯前だっつーの!」

 

トドメのエンターキーを叩き込み、最後の読み込みを終わらせる。

 

わずかなロード画面の後、画面に現れたのは1枚の監視カメラの映像。爆発炎上したバスを俯瞰する視点で、這う這うの体で逃げていく4人の男女が若干荒い画像に映っていたが、見ま紛うことなく僕らだった。

 

「すっご……」

 

モニターを食い入るように見つめていた初春さんが思わずと言ったふうに漏らす。

 

「伊達にスーパーハッカー名乗ってないので。キリッ」

 

椅子を華麗に回転させ初春たんに向き直ると、親指でドヤ顔をキメた。

 

ジャッジメント117支部の事務室の奥で頭を掻きむしっていた女の子は初春飾利(ういはるかざり)と名乗った。

 

彼女は例のバス爆発について調べていたらしく、付近の監視カメラ映像を取り寄せたのだが、その映像が不自然に人の姿を消していたことに気が付き、修復とデータ改ざんを行った人物の特定を行っていたのだそうだ。

ま、それも僕がたった今見事やっつけたワケなのだが。

 

「これ、ど、どーやったんですか!?」

 

「ちょっとリンク先弄っただけっつーか、こまけーことは全部''コイツ''がやってくれたっつーか。……ショートカットキーごと省略してスクリプトで自動処理しちゃうとかバケモンすぎだろjk。流石学園都市。萌えますわぁ〜」

 

「え、リンク先を弄っただけ……?いやいやそんな簡単な問題ではなかったはずですよ!?いや、それよりそもそも、これは学園都市製の中でも最新型、それも『風紀委員(ジャッジメント)』支給用の特殊仕様ですよ!?『外』のあなたが何故扱えるんですか(・・・・・・・)····!?」

 

絶句している初春たんを横目に口笛を吹く。

 

死んでも言えないが、実は学園都市製のこのPC。知っていた。

 

故意か過失か分からないが、ハッカーのバイト業界の中では割とプレミアで取引されている機種だ。1度バイトの一環で中身を覗いたことがあったのだ。

 

「それは初春たん、企業秘密だお〜」

 

「たん···!?」

 

「初春たんは初春たんっしょ?」

 

「い、いえいえ私のことは「初春さん」か「初春」と呼んでくださいよ!?『たん』ってなんですか『たん』って!?」

 

「ん〜?じゃあ僕にハッキングで勝てたら考えてあげてもいいお〜?」

 

「ぐ、ぐぬぬぬ···」

 

愛すべき将来有望なロリをいじって悦に浸っていると、遠くで扉が開いた。

 

と、同時に声が聞こえてきた。

 

「ほーう?これが『ジャッジメント第117支部』か、実にアジトらしい風貌ではないか!第2のラボとしたいところどぅあ!?」

 

反射的に振り返ると、入口で両手を広げていた男が後続に背中を押しやられていた。

 

「岡部、いいから早く入りなさいよ」

 

 

 

「牧瀬さん、いつもこの人ってこんなんなわけ?」

 

「短髪ーポテトまだなの?」

 

「だから初対面なのに短髪言うな!ポテトは後で用意するから!」

 

がやがやと複数の声があとから続くのを、奥の給湯室で聞きつけたまゆ氏が飛び出した。

 

「あー!オカリン!大丈夫だった〜?」

 

「まゆり!」

 

白衣の男__オカリンはまゆりに気付くと、飛びついてくるまゆりを受け止めてなにやら話していた。

 

「あ、あの人達って····ってあー!」

 

初春たんが呆然と呟きかけたのに、唐突に叫んだ。

 

「牧瀬さん!牧瀬さんじゃないですか!お久しぶりです!」

 

「うぇ!?」

 

まさかの知り合いでござった!?

牧瀬氏もこちらに振り返ると、笑顔を作った。

 

「あら、初春さん。久しぶりね」

 

「こちらこそ!あの時はお世話になりました!」

 

「いえ、私はちょっと手助けしただけだから···」

 

「そんなことありませんよ!牧瀬さんがいなかったら__」

 

「あーはいはい、そこまでよ、初春」

 

牧瀬氏の手を取ってまくし立てる初春たんに割り込んだのは茶髪の短髪のおにゃのこ。お胸は····ふむ、ないな。

 

そんなことを遠巻きに眺めて考えていると、不意に視線を白衣に遮られた。

 

「無事に逃げ仰せたようだな、ダルよ。ケガはなさそうで何よりだ」

 

__正直、いつもの調子の声が聴けて嬉しかった。

 

なにせ、あの時のオカリンは、かなり切羽詰まっていて、怖かった。それだけに、このウザイ厨二病は···正直安心する。

 

「当然だろjk。僕はスーパーハッカーなのだぜ?」

 

「大方まゆりに連れ回されたのだろう、メタボめ」

 

 

「ヒョロもやしに言われたくないお」

 

「誰がもやしか!」

 

お互いの体型を貶しあった後、オカリンが「さて」と空気を切りかえた。

 

「話がある。今後の方針に関わる重大な案件だ。全員で集まった以上、今しかタイミングがない」

 

フッ__と、一瞬あの眼に戻った。

 

だが直ぐにそんな雰囲気をかき消すと、僕に背を向けて両手を広げた。

 

「おい貴様ら!いつまでだべっている、只今より出張版円卓会議を始めるッ!」

 

『えんたくー?』『円卓なんてあったっけ?』『いえここには無いですね···』『岡部···』『まゆしぃお茶いれるねー』とそれぞれがそれぞれの反応に合わせて「オカリン、ここまで来て円卓はないっしょ···」と呟きながら、僕はシートを立った。




今回は合流回でした。
登場人物が急増したので書き分けが大変でした!
あと何気に出てきたな御坂さん。探してみよう!

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