甘くない偽物の恋   作:鼻眼鏡26号

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ニセコイ??





9話

桐崎side

 

 

気がついたら私は物置工場に居た。

だんだんとどうしてこうなったのかを考えられるようになった。

帰り道の車で事故が起きてそして2人が撃たれーー

 

 

「う…おぇぇぇぇ。」

 

 

腹から込み上げてくるものを私は戻してしまった。

 

 

「うわっ汚ねっ!」

 

 

「大方死体を思い出して吐いたんだろ。うちらの業界じゃ日常茶飯事だってのに、相当な温室育ちのようだな。」

 

 

「温室って事は余程大事にされているんだろうぜ。」

 

 

「そりゃあ、ボスの娘だもんな。」

 

 

思いっきり吐き出してまた周りを見たら、周りには複数の男達が囲んで居た。それぞれが鉄パイプや腰には拳銃などと絶対に一般人ではないのがすぐにわかった。その中に明らかにこの人達のボスが風格でわかった。

その男はハットをかぶっていてその人の身なりだけスーツであったことですぐに分かった。

 

当然、私のケータイは無くなってて椅子に縛り付けられいる。

 

 

「ううう……だ…誰なのあなた達は。」

 

 

体は震えて恐怖でどうにかなってしまいそうだったけど、私は声を出し尋ねた。

 

 

「温室育ちの嬢ちゃんには俺たちの事噂すら知らないようだな。」

 

 

「嬢ちゃん、あんたはこのマークを一度でも見たことあるかい?」

 

 

そう言って見せたのは服についてるバッジでそこには黒カラスのマークがあった。

 

 

「……み…見たことないわ。」

 

 

「やっぱりか。…これは俺たちが所属していた組織のマークさ。」

 

 

「……所属していた?」

 

 

「なんとなく察する事は出来るでしょう。君の今置かれている状況とかさ。」

 

 

「……うちなのね…組織を……潰したのって。……」

 

 

なんとなくわかってしまった。

私の家はマフィアで抗争など起こし血生臭い事を行なっていたりしている。私はそれを知らないで育ってきた。

この人達は、私の知らないところで私の家の人達に潰されて、復讐として私は拉致されてしまった。

 

 

「頭の回る嬢ちゃんで助かるよ。…分かってはいるが一応、言っておくとあまり暴れない方が痛い目に遭わなくて済むからな。」

 

 

「わ……私は死ぬの?」

 

 

「それは嬢ちゃん次第だぜ。」

 

 

私はその言葉を聞いて全身に鳥肌が立った。

その言葉は私が彼らの意にそぐわなければ直ぐに殺されるという事だった。

私の家を恨むような人達だ。殺す事なんて何とも思わずにやれるのだから私には死が近くにいるという事にさらに恐怖を感じた。

 

 

「…………‥」

 

 

恐怖のあまりについに声を出す事すら出来なかった。

悪い夢なら早く覚めてほしいと願う。そう考えてから私は目を閉じて思った。

 

 

助けて……と。

 

 

誰でも良かった。助けてくれるなら誰でもいい。

 

 

助けて!

 

 

そう願った途端

 

 

ダンダンッ!

 

 

遠くから銃声が鳴った。

 

 

「一体何が起きた!!」

 

 

「敵襲だ!!…気をつけーーー。」

 

 

ここはとても広い倉庫でたくさんの物を挟んだ遠くからその声が聞こえた。

 

 

「今の奴がやられたって事は見張りも全員やれてる筈だ。ここに数人残してあとは、敵を探して来い。」

 

 

ボスである男が、指示をして部下に探しに行かせてこの場には2人が残った。

 

 

ドンガシャンッ!!

 

 

探しに向かった男達が視界から消えてから、すぐに何か大きな物を落とした音が鳴った。

 

 

「おい!どうした!!」

 

 

ボスが音のなる方に向かって数歩歩いて声を出していると私の隣にいた男が私の視界外に首を絞められ声を出さずに連れ去られた。

 

私は怖くなった。未だ姿を現さない謎の存在に対して。

私を助けに来たのか目的も不明であることがとても怖かった。

 

 

「!?…おい、嬢ちゃん俺の部下はどこ行った。」

 

 

「!?……………」

 

 

その言葉はとても冷たく冷酷な声で私はそれを聞いただけで声が出なかった。

 

 

「どこかって聞いてんだよ!!」

 

 

「……っ!?」

 

 

痺れを切らしたボスは私の額に銃口を突きつけた。

私の額に当たる冷たい物体に怖くて目を瞑る。

でも、その感触はすぐになくなった。

 

 

「女の子に向けるべきもんじゃねえな。」

 

 

「!?テメェ!何モンだ!……」

 

 

「危ねぇだろうが。」

 

 

「ゴホッ……や…やめーーー」

 

 

ガシャンッ!!

 

 

そんな音が聞こえて気づいた。

今目の前に誰かがいる。

この組織を1人?で倒してしまった人がすぐそこに。

 

でも、同時にその声に聞き覚えがあった。

 

 

「大丈夫か?…桐崎さん。」

 

 

私はその声に救われた。

聞き間違いではない、友達を作るのに苦労してた私に変な友達を作る場をくれた人。一緒にケーキを作ってくれた人。暗い所に一緒に居てくれた人。私の事を考えて居てくれた人。

 

目を開けるとその彼は……大谷君が目の前に居た。

震える手で私の頭に手を置き笑顔で居てくれた。

 

 

 







注意、高校生がこんな事出来るわけねぇだろ!などと言う感想はお断ります。
書いてる私が一番そう思ってるので。


次回、何故そこに彼が居たのかを書きたいと思います。

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