甘くない偽物の恋   作:鼻眼鏡26号

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おひさしぶりです。


本当におひさしぶりです

もっと頑張ります。





6話

「おーい…おーい優!」

 

 

「はっ!…ど…どうした楽」

 

 

「いや…話終わったし戻るんだよ。」

 

 

「お…おう。」

 

 

どうやら俺はあの言葉を聞いて以降少し意識が離れていたようだ。

しかし、こうなっては俺の恋が叶う確率はほとんど無くなってしまった気がする。

まぁ今考えてもどうしようもないけれど。

 

 

部屋に戻ってから勉強を始めるが楽は小野寺が気になって仕方ないようで先程から落ち着かない様子でそわそわしていた。

 

 

そして隙間から楽を見ているヤクザさん達。

 

 

勉強に戻りたくても気になると事が多すぎて集中が出来ず頭を抱えた。

 

 

「?…大谷くんまたわかんないとこにあるの?」

 

 

「え?…ま…まぁ証明問題がめんどくさくてな。」

 

 

「あー確かにね〜でそこはねーーー」

 

 

桐崎は待ってましたとばかりに張り切って問題の解き方を解説してくれた。

俺もこの桐崎のご厚意に応えるため無理やり頭の切り替えを始めて勉強に力を入れるようにした。

そのおかげもあってか無事に問題プリントを全て終わらせる事ができたのである。

 

 

「だああ〜終わった〜もう無理!」

 

 

頭を使った疲れから俺は倒れ込んだ。

その隣では桐崎が満足からか満遍の笑みでニコニコとしていた。

 

 

「桐崎さんまじで助かったわー俺一人でやってると考えると恐ろしいわ。…ありがとうございました。」

 

 

「ふっふっふ〜こちらこそ〜」

 

 

そんな上機嫌の中楽の部屋の扉が開いて楽ん家のヤクザさんが楽に内緒話のように要件を話していた。

 

 

「わかった……うちの庭にある蔵から茶葉取りに行くからハニー、着いてきてくれるか?」

 

 

「ええ〜なんで私が〜」

 

 

「なんか2人で来て欲しいらしいぞ」

 

 

「…それなら俺が代わりに行こうか?勉強ばっかで身体ガチガチだから動きたいし。」

 

 

2人の話を聞いて俺は自分が行くと提案する。身体を動かしたいのは本当であるし正直さっきの出来事についてあまり考えたくなかったからだ。

 

 

「だとよ…俺と優でちょっと行ってくるわ。」

 

 

楽も早く行きたいのか決断しそのまま部屋から出ようとすると。

 

 

「………やっぱり私も行く。なんか悪いし。」

 

 

桐崎は立ち上がり顔をむすーとさせて着いて来た。

 

 

「まぁ2人も3人も変わらないだろう。」

 

 

「そうだな。よしさっさと行こうぜ。」

 

 

素直じゃ無い桐崎に俺らはいじることもせずだが微笑ましく思わずニヤついた。

廊下を歩いていてなんども思っていたがやはりかなり広い家だなと感じていた。

 

 

「こんだけ家が広いとさ迷ったりするのか?」

 

 

「まぁ何年も住んでるからいい加減覚えたけどちっちゃい頃はしょっちゅう迷ってたな。」

 

 

そんな雑談を俺と楽で話していてその後ろに桐崎が着いてくる。

そうして庭に出ると

 

 

「広っ!…池とかあるし。」

 

 

「鯉もいるわね。なんか自分の家自慢してる感じが鼻に付くわね。」

 

 

「俺何も言ってねぇよ!?」

 

 

そんな漫才をしていると

 

 

「悪りぃちょっと手洗い行ってくる。蔵はあの建物だから扉開けといて待っててくれ。」

 

 

「うわぁレディの前で下品な男ね。」

 

 

「まぁ…人の生理現象さ大目に見てやれ。」

 

 

楽が手洗いに向かって行って、俺たちは楽に言われた通り蔵の扉を開けた。

 

 

「………」

 

 

「ん?桐崎さん?どうしたんだぼーっとして。」

 

 

「えっ!?えーと…あのー…く…暗いところ苦手で。」

 

 

「へぇーそっか…じゃあ入り口で待ってていいよ。俺はちょっと中見て見たいし。」

 

 

「うん。そうさせてもらうね。」

 

 

それにしても桐崎が暗いところが苦手だなんて可愛いところもあるじゃん。そう思いながら蔵に入ると壺から色んなものが置いてある。

 

 

「俺の部屋より広いとかまじかよ。」

 

 

蔵の中は高さも広さも10人入っても大丈夫な広さでぶっちゃけここ片付ければ人住めるんじゃねと考えもしていた。

 

 

「きゃっ!」

 

 

ドンッ!ガチャンッ!

 

 

「桐崎!?」

 

 

桐崎の悲鳴が聞こえ振り返ると押されたのかその勢いで俺に抱きついてきた。俺は桐崎を受け止めると蔵の扉が閉まり鍵がかけられていた。

 

 

「桐崎さん…怪我ないか?」

 

 

扉について調べる前に桐崎が怪我をしていないかを確認を優先させた。受け止めたとはいえ怪我をしていないとは限らないからな。

 

 

「う…うん…平気…それよりも私たちここに閉じ込められちゃったの?」

 

 

「その様だな…扉から鍵が締められる音が聞こえたし。一応見てみるか。」

 

 

俺が扉を調べようと桐崎を離し向かおうとすると桐崎が背中にくっついてきた。

この状況でこんな事されると勘違いしてしまうがその考えはすぐに考えなくなった。

桐崎の震えが背中に伝わってきたからである。

 

 

「そっか…暗いところが苦手だったよな。」

 

 

「ごめんなさい…でも怖くて。昔、洗濯機にはまって動けなくなってから暗いところが苦手なの。」

 

 

なぜはまってしまったのか気になるところだがこんな状況で聞くことではないと思った。

 

 

「でも、ちょっとだけ頑張れるか?扉を確認したいから。」

 

 

「うん…頑張ってみるわ」

 

 

こうしてゆっくりと桐崎の歩幅に合わせ歩き扉を調べるが。

 

 

「やっぱり開かないか。多分楽が来てくれるからそれまで座って待とうか。」

 

 

「うん…わかった。早くこないかな。」

 

 

手洗いに行っている楽が気づいて来てくれればさすがに開けてくれるはずと信じて待つ事にした。

座る際俺はポケットからハンカチを取り出して地面に敷いた。

 

 

「ほら…桐崎さん座っていいよ。」

 

 

「え…でも…。」

 

 

「大丈夫だよ。後で洗えばいいことだし。それに女性を地べたに座らせるわけにはいかないからな。」

 

 

これは修行旅行で訪れた紳士な国で教わったことである。

 

 

「ありがとう…後で洗って返すね。」

 

 

「おう。」

 

 

こうして納得した桐崎は座って俺もその隣に座る。

 

 

「そうだ。前に行った国で、暗い所を怖くなく感じさせる方法があるんだ。試しにやってみようか?」

 

 

「そうなんだ。…やるだけやろうかな。」

 

 

正直話題がなくて困っていた所で暗い所だったのを思い出し砂漠での出来事を思い出していた。

 

 

「なんたら砂漠でキャンプしてた時なんだけど。」

 

 

「色々と突っ込みたいけど聞かないでおくわ。」

 

 

「その時に夜の星空が凄くてな、今でも寝れない時に思い出して寝る様にしてるんだ。だから、桐崎さんも自分が見た一番綺麗な夜景を、目を閉じて思い出してみればリラックスはできるよ。」

 

 

「うーん…あんまりこれと言って感動するほどの夜景は無かったからな〜」

 

 

「そっか〜……そうだ、来月にある行事の遠足でみんなを連れて星空見に行こうよ。」

 

 

「…うん、見に行きたいな。友達もいる事だしね。」

 

 

こうして話していて桐崎は笑顔になっていた。

 

 

「そうさ、こんな暗い蔵よりも、もっと広くて綺麗な星空なんだ誰かと一緒に見れば感動も倍増するもんさ。」

 

 

「うん…凄く楽しみになって来た。」

 

 

そんなこんなで話し込んでいると扉の外から

 

 

「優!ハニー!無事か!?」

 

 

「楽!…ああ、2人とも元気だぜ!扉に鍵がかかっているみたいなんだ開けられるか!?」

 

 

「すまねえ…なんかうちのが鍵を無くしたらしく壊すから少しだけ待っててくれ!」

 

 

「了解。気長に待ってるよ。」

 

 

「さっさとしてよね!」

 

 

「わかった!!」

 

 

その言葉を最後に楽はどこかに走って行った。

 

 

「桐崎さん、だいぶ落ち着いたね。」

 

 

「うん…まだちょっと怖いけど大谷くんがいるからだいぶ楽になったわ。……ありがと。」

 

 

「!…どういたしまして。」

 

 

桐崎の笑顔を見て俺は顔が熱くなるのを感じた。

 

 

 

 

 

その後、鍵を破壊して外に出ると楽とその家のヤクザさん達が謝罪にきてお詫びとしてお茶菓子をもらいその日の勉強会は解散となった。

 

 

 

 

自宅

 

 

 

「約束…か。」

 

 

部屋の窓を開け春の優しい風が当たる。

空は曇っていて星空は見えないがあの時の桐崎の笑顔が頭から離れなかった。

 

 

「楽しみだな。…星空。」

 

 

 






遅れてすみませんでした。

今のモチベーションを保ちながら頑張ります。

感想、指摘待ってます。

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