甘くない偽物の恋   作:鼻眼鏡26号

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取り敢えずスタート






4話

桐崎を料理部に勧誘してから少し経ったこの日

今日は調理実習である。

 

 

結局あの後桐崎は三人とも仲良くなってどう接すればいいのかもわかったようで友達を作って楽しそうであった。

部活所属はしないが偶に顔を出したいと提案して来て俺は当然拒否することなく了承したのである。

 

 

「さてさて…俺の本領を発揮する場がやって来たぜ。」

 

 

「全員分を本当に作るの?」

 

 

「当然じゃないかサイズは小さくなっても全員分作るよ。」

 

 

話しかけて来たのは小野寺の親友の宮本るり。集と同じく何を考えているのかわからないがいい奴だ。

そしてすごい大食いである。

 

 

俺自身テンションが上がっていつも以上に張り切っている。

今クラスではバレンタインのように好きな人にケーキを渡すという流れがある。

 

 

もしかすると小野寺が渡してくれるのでは?と考えたりもしてたとえ貰えなくても自分は渡そうと思って全員分を作るという名目で作る。

 

 

そんな考えをしていた俺の目の端で捉えたものがあった。

 

 

「!?…桐崎さん!それだと薄力粉全部こぼすよ!」

 

 

「へ?」ドサッ

 

 

桐崎が持っていた薄力粉の箱から薄力粉が全部落ちて測りに落とした。

 

 

「………90グラムってこのくらいかな?」

 

 

「うそでしょ!?それで続けるの!?」

 

 

「い…いやーちょっと多いみたい」

 

 

「でしょうね!」

 

 

そんな漫才じみたことをしていると桐崎は涙目になってへたり込んだ。

 

 

「じ……実は私って……不器用なの!!」

 

 

「……ごめん…知ってる。」

 

 

「仕方がないでしょ!私ちまちました作業すると体がむず痒くなるの。」

 

 

桐崎はコロコロと感情を変えてぐちぐち言うが内心楽しそうに見える。

 

 

「そうだ!大谷君手伝ってよ。料理人が手伝ってくれると絶対いいの出来そうだしそれにあのもやーじゃなくてダーリンにギャフンと言わせてやれるわ。」

 

 

「お…おう。まぁいいけど。」

 

 

最初はそんな感じで軽い気持ちで請け負ったがこれが思いの外大変だった。

 

 

「卵をボウルに入れてかき混ぜて」

 

 

「わかったわ!」

 

 

元気よく返事をする桐崎だが卵を割らずにボウルに入れそのままかき混ぜ殻を取る作業をする羽目になった。

 

 

「生地を焼くのよろしくね。」

 

 

「わかったわ!」

 

 

「そのフライパンは何に使うのかな?」

 

 

紆余曲折あり出来上がったケーキはどうすればこんな物が出来るのかと思わせる黒いスポンジケーキが出来た。

 

 

「…………うっ」

 

 

出来上がった黒いスポンジケーキを見て涙を浮かべた。

周りも誰も何も言わず言葉をかけられなかった。

 

 

「………これは魔法か何か起きてるな…普通に食えるぞ。」

 

 

俺は何のためらいなく味見をして普通に感想を述べた。

 

 

「え!?マジかよ…優」

 

 

近くに居た楽が驚き慌てて黒ケーキを一口食べると

 

 

「うめぇ…」

 

 

「だろ?……魔法か何か起きてるのは確かだけど不味くはねぇよ。………あ!…桐崎さんが楽の為に作ったケーキ一番に食っちゃった。」

 

 

事に気付いてももう遅かった。

俺は桐崎に謝るも桐崎は俺から顔を逸らした。

 

 

「べ…別にいいわよ………手伝ってくれたんだし。」

 

 

そのままそっぽを向いて何処かへと走り出してしまった。

 

 

「し……しまった絶対に怒ってる…あれ。」

 

 

「………まぁそっとしといてやんなよ。」

 

 

落ち込む俺に集が肩に手を置いて言った。

 

 

 

 

桐崎side

 

 

 

調理室から逃げ出した私は正直なんで逃げたのか自分でも分かってなかった。

別に恥ずかしいわけじゃない自分の作った物にも美味しいって言ってもらえて嬉しかった。なのになんでこんなにも自分の鼓動が早くなるのだろう。

 

 

「………え」

 

 

鏡で見る自分の顔は真っ赤になっていた。

 

 

 

 

優side

 

 

「んん〜気を取り直して作るの再開するか、考えても仕方ないし。」

 

 

俺は全員分のケーキを再び作り始めてそこまで凝ったものでは無いからあっという間に作り終えて配り始めた。

 

 

「ほら宮本に小野寺のも……宮本のやつは大きくしといたぞ食い足りないだろうから。」

 

 

「………」ゲシッ

 

 

「痛え!何すんだよ宮本」

 

 

宮本は無言で俺の足を踏みつけた。

 

 

「ありがたいけど一言余計よ。」

 

 

「あ…あはは…ありがとね大谷君」

 

 

「お…おう。」

 

 

小野寺に笑顔で感謝されて俺は直視ができずにいると

 

 

「あれあれ〜照れてんのか〜」

 

 

集が後ろからすっと顔を出していじり始めた。

 

 

「………」ギリギリ

 

 

「無言でアイアンクローやめてください!お前の洒落にならない痛さだから!!」

 

 

集の頭を痛めつけたら取り敢えず解放してケーキを渡した。

 

 

「楽これはお前のと桐崎さんのな」

 

 

「お……俺が渡すのかよ。」

 

 

「頼むよ」

 

 

「わ…わかった。でも殴られたらお前にありとあらゆるイタズラ仕掛けるからな。」

 

 

「小さいなおい」

 

 

まぁそんなこんなで調理実習が終わった。

 

 

そして楽は案の定殴られて俺に机を前後ろ逆にする。上履きの裏に両面テープを貼る。廊下で肩が当たるなどの陰湿なイタズラをしたけてきた。






何というか遅くなりましたね。

何だからやる気というものが起きないのですよ。

感想指摘を待ってます

なるべく頑張ります。

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