甘くない偽物の恋   作:鼻眼鏡26号

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ようやく夏休みになった気分


お久し振りです。


15話

楽と鶫の決闘から数日経ったこの日。

俺は楽の家に来ていた。

 

 

1週間の謹慎を受けた2人はちゃんと家にいるようでしっかりと反省してる様子が通話アプリで伝わって来ていた。

そんな中まだ夏ではなく風が冷たい日にプールに飛び込んだせいか楽は風邪をひいたらしい。

まぁ、自業自得ではあるが原因としては俺のせいでもあるので、こうして見舞いに来たのだ。

 

 

ピンポーン

 

 

インターホンを鳴らした家は相変わらずの大豪邸でその凄さに毎度圧される。

 

 

「こんにちわ〜一条楽君のお見舞いに来ました。」

 

 

「おお〜前に来た坊ちゃんの友人ですかい。どうぞどうぞあがってくだせぇ。」

 

 

ドアから顔を出した強面ヤクザさんはその顔とは裏腹に優しく対応してくれた。

開けてもらった玄関を入ると女子物の靴が二足あった。

 

誰か来ているのか。

そう思った途端部屋の奥の方から声が聞こえてきた。

 

 

「ねぇねぇ、お粥って何入れればいいのかな?蝮とか?」

 

 

「私色々持って来たの。それ全部入れよっか。」

 

 

声の元は2人だがたった一言話していた内容である程度予想はついていた。

あの2人には本格的に料理を教えないとまずい気がした。

靴を揃え俺は声のする方へ向かい。

 

 

「全部入れちゃおっか。」

 

 

「栄養にも良いしね。美味しはずだよ。」

 

 

「んなわけねぇだろ。」

 

 

「「!?大谷くん!?」」

 

 

どうゆう思考回路でこの鍋の中のダークマターを美味しそうに見えるのだか。

 

 

「病人にいかにも胃に悪そうなものを食べさせて悪化させる気か。…ちゃんとレシピ通りに作って栄養のあるものを作るんだ。」

 

 

俺は、ダークマターと見た目綺麗なお粥を隣に置いてお粥を作ら始める。

まずは鍋に水を張りお米を入れ銀杏切りにした大根も入れ弱火でじっくりと煮込みます。味付けにだしの素や塩を入れしょっぱ過ぎないように味見する。

 

 

「まぁ…こんなもんだろ。」

 

 

「え?これだけ?…青汁は!?黒酢にレバーと納豆とひじきとか!」

 

 

「お味噌は!サプリは!栄養ドリンクは!?」

 

 

「初心者特有の隠し味を入れたがるやつだが、その材料はな〜」

 

 

もうこの2人に台所は立たせてはいけないな。

とにかく、なんの問題もなくお粥を作りそれを楽の部屋に持っていく。

扉を開けた途端に楽は、涙ながらに礼を言いながらお粥を食べた。

おおよそ、2人の調理の腕前を知っていたからこその涙だろう。

 

しばらくすると楽は眠りにつき3人のうち1人が残ろうということになり、小野寺が潔く立候補し小野寺を残して俺と桐崎さんは帰り道につく。

正直、小野寺が残る事には思う所もあるが、ここで俺がわがままを言うのも違うと考えなんとか納得した。

 

 

そんな桐崎さんとの帰り道

 

 

「ねぇ、大谷くんちょっと私の家に寄ってかない?」

 

 

「へ?今から?」

 

 

突然のお誘いに驚くが桐崎さんのその目はまっすぐこちらを見ていた。

 

 

「鶫がねどうしても大谷くんにお礼を言いたいってここ最近ずっと言ってたから…どうかな?」

 

 

理由を聞いてちょっとがっかりだが最後の一言と首を少し曲げる動作があまりにも可愛いくて全てが吹き飛び

 

 

「ぜひ、行かせてもらいます。」

 

 

即答だった。

こうして俺は桐崎さんの家に2度目の訪問となった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

やはりでかい。

前も思ったが豪邸過ぎて周りとの違和感が半端無い。

 

 

「ほら、ボーっとしてないで行こ。」

 

 

「お、おう。」

 

 

桐崎は俺の手を掴み笑顔で引っ張る。

ヤベェ…スベスベで柔らかくて…とにかくやばいな。女の子の手は。

あれ?俺、こんな変態な感じだったか?

 

自分の新たな一面を発見しながらも、豪邸に入ると。

 

 

「お帰りなさい!お嬢!!」

 

 

「たっだいま〜」

 

 

「お…お邪魔します。」

 

 

強面の皆さんが玄関前に並んでいて、その光景もかなり迫力あり俺は圧された。

 

 

「鶫は、律儀にずっと部屋に居るから行きましょ。」

 

 

「いや、律儀だな本当に。」

 

 

自宅謹慎なんて学生にとっちゃ遊び放題で、すぐにでも外に繰り出すつーのに。

そして、広い廊下を歩き色々豪華な感じなのだが着いたところは、周りと一切雰囲気の違う扉があった。

 

 

「え?まさかだけど、ここ鶫の部屋なのか?」

 

 

「ううん…部屋は別にあるけど、確かクロードが言うには反省部屋なんだって。」

 

 

あの人が言う反省部屋ってなんか拷問部屋を思い浮かぶな。

 

 

「鶫〜入るわよ〜」

 

 

「お…嬢ぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 

部屋から飛び出でくる鶫を桐崎は抱きとめる。

涙目で鼻水を垂らす鶫は、そんな顔なのに可愛いく見えた。

やばい今日の俺はちょっと変態性が強いぞ。

 

 

「はいはい…頑張ったわね。あともう少しで学校に行けるんだから頑張って。」

 

 

「ううう…はい。頑張ります。」

 

 

そう言って桐崎は、鶫の頭を撫でてその鶫は撫でられて嬉しいようで小動物のような笑みを浮かべる。

おいおいおい、今日は俺をキュン死にさせにきてるな。

こんな可愛い同級生が目の前でこんな状況を見させられて、俺は放置か?

 

 

「ほら、今日は鶫がお礼を言いたいって言ってた大谷君を連れてきたんだから。」

 

 

「へ?…あ…ああ。お…大谷様。」

 

 

「おう…久しぶり。…今回は悪かったな。あの決闘提案したの俺だし。」

 

 

「いい…いえいえ…そ…そそそんな、今回は私の不手際で起きた出来事でその上命まで救ってもらって。…本当にありがとうございました。」

 

 

そう言って鶫は桐崎から離れ俺の前に来て、頭を下げた。

しかし、気になるのは先程から目を合わせようとしないことだ。

 

 

「まぁ、無事で何よりだ。生きてさえいればいいさ。」

 

 

俺は、返事と同時に丁度いい高さにあったから鶫の頭を撫でる。

 

 

「っ!?……お…大谷様!?」

 

 

「お…おう、わりぃ丁度いい高さにあったからさ。…つい。」

 

 

「いっ…いえっ大丈夫です。…………むしろ、よかった。」

 

 

「ん?…そうか。」

 

 

「………」

 

 

後半の方は小声で何を言っているか分からなかったが大丈夫そうだ。

一瞬本気で焦ったがな。

…そりゃ、同学年の男子に突然頭撫でられてみろ。イケメン以外許されないからな〜

 

 

その後、桐崎さん家で夕飯をご馳走になり、半端ない豪華な料理に幸せな気分だった。







やべえな。
そろそろ原作読まないと分からなくなってきたぞ。

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