甘くない偽物の恋   作:鼻眼鏡26号

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あれ?ニセコイに保健の先生っていたっけ?

わからないから名前だしてないけど。





14話

クラスは一通り騒いで一旦はキョーコちゃん先生になだめられホームルームを始めるが全員がそわそわし出し話も上の空ホームルームが終わると一斉に全員が鶫に群がって行った。

 

 

しかし、鶫はすぐに桐崎さんの所に行き群衆に巻き込まれていた。

 

 

「しっかし、どうしてあんな格好してるんだろうな?」

 

 

「あいつの趣味なんじゃねぇかな?」

 

 

「いや2人とも何言ってんだ?今あいつが言ってただろ?制服がなかったんだってよ。」

 

 

俺と集の会話に楽は分かっていないようだった。

まぁ、楽が鶫を男だと勘違いしているのはわかるが集はどうして気づいたんだ?

 

 

「あーあーそう言う事。そりゃ仕方ないよな!仕方ない!」

 

 

「??んだよ気持ちわりーな。」

 

 

楽には黙っとくわけか、面白そうだし俺も言わないでおくか。

 

 

それからと言うもの、鶫はまるで執事のように桐崎さんをお世話していて俺から見ればそう見えるが、他からすると男女がいちゃついてるようで、それを見て回りはざわつく。

 

 

気づけば昼休み

 

 

「今日は屋上で食うか。…教室うるさいしな。」

 

 

流石に一挙一動で反応して大声は席が隣の身としては、耳が痛い。

うちの高校は珍しく屋上に出入りが可能な学校で、柵は決して高くない為あまり柵には近づかないようにとは言われているが、その近くに椅子が置いてあると言う謎の設置だ。

 

 

「食ったら眠くなってきた。」

 

 

俺は屋上扉の上で寝っ転がり晴天の太陽が心地よい暖かさを体に感じていた。

 

 

ガチャッ

 

 

どうやら誰かが来たようだ。しかし、眠い為頭が働かなかった。

 

 

「なんだよわざわざ場所まで変えて…」

 

 

「いえ…どうしても一つハッキリさせておきたい事があるんです。……お嬢の事を本気で愛していらっしゃいますか?」

 

 

話からするに楽と鶫だなこれは。

 

 

「バッ……ったりめぇよ」

 

 

ごもるなよ。

 

 

「どのくらい愛しているんですか?」

 

 

「そりゃもうとんでもなく愛してるよ…」

 

 

「本当に?」

 

 

「もちろん!!」

 

 

「お嬢のためなら死んだっていい?」

 

 

「おう!当然その覚悟だ…!!」

 

 

いや嘘つけ。

あんまり桐崎さん絡みの話は今はあんまり聞きたくないんだよな。そして思考をやめて少し仮眠をしようとした瞬間心地よい暖かさが一瞬にして無くなり体が冷えた。

 

 

「…そうですか安心しました。…では死んで下さい。」

 

 

その言葉と同時に俺も飛び起き楽に銃を突きつけようと動き出した鶫の腕を掴んだ。

 

 

「なっ!?…大谷様?」

 

 

「優!?…と…とりあえず助かったのか?」

 

 

「あっぶね〜ギリギリセーフだな。」

 

 

俺は掴んだ腕を引き手に持っている拳銃から弾を抜いた。

 

 

「ハァ…どうせ銃はこれだけじゃないだろうが、こんな物騒な事は学校じゃやめてくれないか?」

 

 

「し…しかしこれはお嬢に関わる事でーー」

 

 

「やめろっての!」ゴンッ

 

 

「ッ!?…痛い!」

 

 

まだぐちぐち言いそうな鶫に俺は頭突きをかまして手を離した。

こいつは幼い頃からずっと桐崎さんの為に捧げて来たものだから忠誠心は凄いからな。

 

 

「ハァ…そんなに納得がいかないなら放課後になんらかの勝負でもして白黒ハッキリさせろよ。」

 

 

「な!?…何言ってんだよ優!」

 

 

「それは名案だ!一条楽!貴様にお嬢を賭けて決闘を申し込む!!」

 

 

「まず本人に了承得てから賭けろよ。」

 

 

「わかった!聞いてくる!」

 

 

そう言って鶫は全速力で走って行った。

 

 

「イヤイヤ…マジで何してくれてんの優!!俺があいつに勝てるわけないだろ!」

 

 

「まぁ決闘で殴り合いとかだったら勝ち目は無いだろうが、それ以外で戦えばいいだろトランプとかさ。」

 

 

「イヤ万が一負けでもしたら街が火の海だぞ!」

 

 

「………まぁ頑張れ。」

 

 

「オイ!!」

 

 

結局その後、鶫からちゃんと了承を得たと話があり放課後に決闘が決まった。

まぁ放課後プール掃除の俺には関係ない事だが。

 

 

 

 

 

放課後

 

 

俺は担任のキョーコちゃん先生と屋外プールに来ていた。プールには水が張っていた。

 

 

「キョーコちゃん先生…マジで俺1人なの〜」

 

 

「大丈夫大丈夫。掃除って言ってもプールサイドをブラシで磨くだけだからな。」

 

 

「いや、まぁまぁ広いからね?」

 

 

「じゃあ、後で見にくるからな〜サボるなよ〜」

 

 

そう言ってキョーコちゃん先生は、ブラシとバケツを俺に放り投げ去って言った。

 

 

「ハァ…これ普通事務のおじさんとかだろ。」

 

 

俺はぐちぐち言いながら手を動かしかつての修行僧時代の掃除を思い出しながら今行われているであろう決闘について考えていた。

たしかに、かなり無責任な事をしてしまったよな…後で飯でも奢るか。

そんな事を考えていると

 

 

ドドドンッドンッドドンッ!!

 

 

「銃声!?あいつらマジかよ!」

 

 

急に聞こえて来た銃声に俺は屋外プールの柵に顔をつけて校庭を見るとそこには生徒がたくさん集まっておりその中には楽と鶫の姿はなかった。

 

 

ガラッ

 

 

今度は校舎の方から聞こえて来てそこを見ると

 

 

「マジかよ。」

 

 

校舎三階の窓から飛び降りる二つの影…楽と鶫であった。

校舎の高さは3階だと地上からだと約7〜8メートルほどそこから落下すれば運が良ければ骨折、最悪は死亡。

2人はそれを知ってるからかプールに向かって飛び降りているのだがそれでも死ぬ危険がある。

 

 

プール着水で勢いを殺したとしてもプールの底は深くても1.4メートル、スタート位置近くでは0.9メートルと浅い為3階から飛び降りて高校生男女の体格でも、勢いが殺される前に底に激突し打ち所が悪ければ脊髄が損傷してしまう。

 

 

俺は、急いで2人の落下予測をして勢いを無くすため2人に向かって跳躍し掴む、落下の力の方向を下から横に変えプールに着水をした。

 

 

ドボーンッ!

 

 

そして、水中で2人の様子を見ると楽は意識があるようではあったが鶫は完全に意識を無くしていた。

溺水での対処を思い出し俺はまずは鶫の脈拍を確かめると着水での衝撃がショックで止まっていた。

そこからの対処は水中での人工呼吸で俺は一度水上に顔を出して息を吸いまた潜り鶫の鼻つまみ口から呼吸を送る。

それを2回、3回と繰り返しようやく水上のプールサイドに引き上げた。

声をかけても未だに鶫の意識が戻らないためプールサイドにいた楽に。

 

 

「楽!今すぐに保健室に行って先生を呼んでこい!あと他の奴に頼んで119に電話!!それとタオルとAEDを持ってこさせろ!!」

 

 

「え?…わ…わかった。」

 

 

「…急げよ!ここからは時間との勝負だ!」

 

 

楽を走らせ俺は鶫を仰向けにさせて胸骨圧迫を開始する。

胸骨圧迫は、腕をしっかりと伸ばして肩が横から見て垂直になるように、腕で押すのではなく体重をかけるように押し込み5センチくらい沈むように行う。

これを30回行う。これは毎分100回以上のテンポを維持して行うのが非常に重要である。

次には人工呼吸を2回。

この時頭を少し上に向けさせ気道を確保してから行わなければならない。

 

 

心肺蘇生法を行なっていると校庭にいた生徒達が集まって来ていた。

 

 

「っ!?鶫!!」

 

 

鶫の様子を見て1番に桐崎さんが走って来て涙を浮かべながら膝から崩れた。

 

 

「お…おい…あれやばいじゃねぇの?」

 

 

「せ…先生呼ばないと。」

 

 

生徒達はただならぬ状況に困惑して少しずつ騒ぎになっていった。

 

 

「鶫!!鶫ぃぃ!!」

 

 

桐崎さんの泣き声を隣で聞きながら俺は心肺蘇生法を続けた。

その甲斐があったか

 

 

「ガハッ…ゴホッゴホッ……ハァ…ハァ…あれ?ここは?……お嬢。それに大谷様。」

 

 

「つ…鶫ぃぃぃぃ!!」

 

 

鶫は意識を戻してそれを見た桐崎さんは鶫に抱きついた。

 

 

「ハァ〜〜終わった〜」

 

 

俺も緊張の糸が切れたように横に倒れ込んだ。

今はまだ6月、濡れている服には寒い季節であった。

 

 

「優!!先生連れてきたぞ!!あとAEDも……ってあれ大丈夫っぽい?」

 

 

「大丈夫っぽくても後は私の仕事だよ。」

 

 

やって来た楽は保健の先生をちゃんと連れて来ていた連れて来ていた。

 

 

「じゃあ、後はお願いしますよ先生。」

 

 

「ああ、君もよくやったよ。」

 

 

「あ…あの私まだここにいてもいいですか?」

 

 

「邪魔しなければ大丈夫だよ。」

 

 

俺は歩き出し楽が持って来ていたタオルで自分を包んだ。

 

 

「あ…あの大谷くん!」

 

 

後ろから桐崎さんに声をかけられそちらを向くと。

 

 

「鶫に代わって言うけどありがとう。」

 

 

「生きてれば何でもいいよ。」

 

 

「本当にありがとう」

 

 

桐崎さんの顔は涙でボロボロだがとても可愛く美しかった。

俺はそれを直視できずタオルで顔を隠し去ろうとしたら。

 

 

「あの優…俺からもありがとう。…俺じゃ何もできなかっーーー」

 

 

「歯くいしばれ…楽」

 

 

「へ?…ぐはっ!!」

 

 

謝って来た楽に俺は顔面に1発強めの拳を打ち込んだ。

 

 

「1発だけで勘弁してやるから…反省しろよ。」

 

 

「…本当に悪りぃ。」

 

 

それから俺と楽は何も言わずに俺はその場から去って今日持って来ていた体操着に着替えてその日を終えた。

 

 

次の日、クラス全員に反省文が渡され楽と鶫には1週間の謹慎が言い渡された。




なんか後半から心肺蘇生の教本みたいになってる。

モノホンの人工呼吸の現場ではキスしてるとか考えるよりも困惑するんだよね。

これニセコイだよな?

感想、指摘待ってます
飛び込みには気をつけましょう。

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