甘くない偽物の恋   作:鼻眼鏡26号

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オリジナルの話は作るのが難しい。
作家さんの素晴らしさを感じる瞬間だ。




12話

これは夢だ。

夢だと自覚してここにいる。

 

 

ここは、かつて俺が偶然訪れた最後の国で紛争地域であった。

街のどこかで銃声が聞こえる街。

ここでは、誰が死んでもおかしくない場所、そんな所に中学生の俺が居たのは現実を知ろうと思ったからだ。

 

 

こんな紛争があっても他の国では知らん顔、戦争は醜いとか言ってる奴は現地にほとんど来ない。

 

 

この紛争は俺が居たくらいでは止まらない。

俺が感じたのはこの世のどうにもならない事が沢山ある。

 

 

「星を見に行こうよ」

 

 

そう言えばあの国に居た彼女はどうなったんだっけ?

 

 

 

 

 

桐崎宅 寝室

 

 

目が醒めると見たことのない天井であった。

窓の外を見ると暗くてまだ寝れそうだなと思いベットに再び横になるが。

 

 

「いや!ここどこだよ!」

 

 

ベットから飛び起きた。

 

 

「おお!?起きた様だな、ちょっと待ってろ呼んでくるからよ。」

 

 

「え?誰!?」

 

 

同じ部屋には強面な男性がいて扉から出て行った。

しばらくすると、部屋に沢山の強面男性が入ってきて大所帯となっていた。

 

 

「あ!覗き魔!」

 

 

「んなっ!?な…なんて名前で呼ぶんだ!」

 

 

「く…クロードさん…」

 

 

「ち…違うあれは護衛であって」

 

 

仲間への釈明に追われるプールの見学場所で鼻血を流して見ていた銃刀法違反の外国人も居た。

 

 

ドドドドドドッ!

 

 

今度は廊下の方からもの凄い足音が聞こえ勢い良く扉が開いた。

 

 

ドガンッ!

 

 

ドアを開けるとは思えない音が聞こえる方を見ると。

 

 

「ハァ…大谷くん!大丈夫!?怪我してない!?どこか痛いところとかない!?」

 

 

「大丈夫だから!揺らすのやめて!」

 

 

息が上がってテンションが高い桐崎が勢い良く俺を掴み揺らしてくる。どうでも良いが彼女の自宅なのだろうから部屋着も結構ラフであるが可愛かった。

 

 

「大変申し訳ございませんでしたぁぁ!!」

 

 

「今度はなんだ!」

 

 

今度はブレザーを着た男顔の女性が現れジャンピング土下座をかました。

いつのまにか部屋はわらわらと人で溢れていた。

そうこうしていると急に周りが静かになった。

 

 

「ボス…彼が目をさましました。」

 

 

「ああ…わかってるよ。それより千棘と彼と3人にしてくれるかい?」

 

 

その言葉に周りの人達と土下座の彼女もぞろぞろと歩いて廊下に出て行った。

先程から感じていたがこの人は言葉で表せないオーラを持っていた。

 

 

「さて、大谷くん。まずはじめに…ありがとう。私は千棘の父…アーデルト・桐崎・ウォグナーだ。この度は娘を救ってくれて本当にありがとう。」

 

 

桐崎の父であるアーデルトさんは俺に頭を下げ感謝の言葉を並べた。

 

 

「い…いえ、その友達を助けるのは当たり前のことなんで。放っては置けませんでしたし。」

 

 

「……ありがとう。」

 

 

ベットの側にいた桐崎さんは俺の言葉に顔を赤くしてそっぽを向いていた。

その姿に俺は本当に彼女は可愛いなと思っていたが、同時にフラれたからすぐに次に乗り換えようとしている自分に嫌気がさした。

 

 

「しかし、君は何故あの時あの場所に居たのかい?それに、君が相手をしたのは曲がりなりにもギャング達だ。彼らを見た限り全員を絞め落としているその技術も何処で手に入れて居たのか、とても気になるよ。」

 

 

「あ〜、まぁ時間もありますし話しますとーーー」

 

 

俺はそこから、フラれた勢いで走ったことや(流石に相手の名前は伏せて)、自分がかつて回った世界でさまざまな事を習ったことも話した。

 

 

「ふむ…偶然にしても良く出来ている。」

 

 

「!?パパ…彼は…大谷くんは嘘をつくような人じゃないわよ!!」

 

 

「千棘…わかっているよ。でも仕事柄一応全部を信用は出来ないんだ。」

 

 

そういえば桐崎さんの家って確かギャングなんだよな。

まぁ俺は裏の世界については足を踏み入れるようなことはしたくないけど。

 

 

「あの一応聞きますけど…締め上げたあのギャング達はどうなりました?」

 

 

「………あまり聞かない方がいいよ。…君たちは若いんだから。」

 

 

俺の質問に優しく答えてくれるがその声にはドス黒い感情も含まれていた。

さすがはギャング達のボスというだけあって迫力が違かった。

 

 

「さて…今日はもう遅いからここに泊まっていくといい。君の親にも連絡はしておいてあるからね。」

 

 

「え…あ、はい。ありがとうございます。」

 

 

手回しの早さに驚きながら俺はお礼を言うとアーデルトさんは部屋を出て行って部屋に残ったのは俺と桐崎さんだけだった。

部屋に女の子と2人っきりというシチュエーションにドキドキしながら何も話さずにいると。

 

 

「大谷くん…ありがとう……私、捕まってる時にほとんど諦めてたの…ここで私死んじゃうんだって。」

 

 

そう言って桐崎さんは体を震わしていた。

死にそうになった記憶はまず忘れられる筈はない。

 

 

「でもね。大谷くんが前に来てくれてとても安心できた。あなたといると、とても安心するの。」

 

 

そう言って桐崎さんは俺の手を握る。

震えていた体は少しずつ収まりゆっくりと俺の方にもたれる。

 

 

「え…ちょ…ちょっと桐崎さん?」

 

 

「………」

 

 

桐崎さんは俺の両肩を押して押し倒した。

そしてゆっくりと顔が近づいて来てーーー

 

 

「改めましてぇぇぇぇ!!すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

突然開けられた扉に俺と桐崎さんは勢いよく飛び上がり俺は腕立て伏せを始め桐崎さんはその上に乗っていた。

 

 

「すす…すごいわね!私乗っけても大丈夫なんて!!」

 

 

「鍛えてるからな!!」

 

 

めちゃくちゃな早口で腕立て伏せして入ってきた男装女子はまたもジャンピング土下座とすごい空間になった。

その後、彼女と話し合い仲良くなり今度同じクラスに転校してくるらしい。名前は鶫誠士郎だと…100%男に間違われるなと思った。

 

 

さっきのあの時は深夜のおかしなテンションの所為だと俺は勝手に決めつけた。







フェイタルバレット楽しい

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