甘くない偽物の恋   作:鼻眼鏡26号

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この小説は私がこんな設定のやつ読みたいなと考えて作った作品です。
2つの小説同時進行で書く為更新が遅いです。

それではスタート




1話

料亭 おおたに

 

俺の名前は大谷 優(オオタニ ユウ)この実家である料亭おおたにの一人息子でもちろん目指すのは料理人である。

料理は楽しく幼い頃から親に料理を教わりそれなりの腕前にはなっているはずだ。

 

そんなことより現在の季節は春まともな中学時代を送れなかった俺にしてみれば楽しみでした方がないのだ。

 

それは始まりの季節。……なんて恥ずかしいセリフを言えるほど今の俺はとても浮かれて居た。

 

高校こそ友達を作り可愛い彼女を作ってリア充ライフを送ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と先ほどまで息巻いていたけれど校庭にリムジンが止まりそこから現れるヤクザとその中に1人で同じ制服を着た生徒であろう人。

 

そんな光景を朝から見てしまいただでさえ不安な高校生活をより不安にさせる存在がそこにはいた。

 

絶対あれはこの学校を牛耳る存在だと思い俺はその日から誓った彼には近寄らないようにしようと。

 

 

1年C組 教室

 

 

誓いを立てていた俺は自分の不運さに嫌気をさしていた。

なんで同じクラスなんだヨォォォォ!!

 

自分のクラスの教室は名前順で机が並ばれていてはじめは一番後ろの席でよかったなと思っていたけれど自分の列の一番前にその人物は座った。

 

先ほどの自己紹介で知ったが彼の名は一条 楽と言って彼自身からはヤクザのようなオーラを感じなかったが能ある鷹は爪を隠すという言葉を思い出して未だ警戒を緩めなかった。

意外にも中学時代で世界を股にかける料理修行(強制)でジャングル生活をした時の野生動物に対する野生の勘なども役に立っている。

 

ちなみに料理修行ってのは親が勝手に俺を送り出し中学時代3年間の内単位に支障がない程度で世界中を回されたのは今となってはいい思い出である。

 

まぁそんなこんなで頑張ろうと思い日にちを過ごす。

 

 

 

 

一ヶ月後

 

 

 

こうして一ヶ月も過ごすと周りも友達などを作り各々が学園生活を送っている。

 

俺も家庭科の調理実習で料理の腕前を披露すれば友達を作ることが出来たのである。一番の驚きはそこに一条楽も含まれていることである。

一条楽はどうも料理が得意らしく俺の料理の技術についてよく質問をして来たりなどとよく話すようになりそこから彼の家庭事情やら色々と聞いて苦労してるのだなと自分は感じた。

 

 

そんな日々を送ったある日

 

 

それはなんてことない朝の通学路である。

今日は時間が結構ギリギリで走りながら向かういつもの通学路

 

 

野生のチーターを追いかけるために鍛えた走力が役立っているところ学校に到着すると後ろから黒リムジンがやって来た。

いつ見てもすごい送迎だなと思いながら中から出てくる人物を見た。

 

 

「「「行ってらっしゃいやせ!!!」」」

 

 

この小説の記念すべき第一声がヤクザの掛け声なんてと思いながらも送り出された生徒が俺に気づき向かって来た。

 

 

「朝っぱらから大変だな…楽」

 

 

笑いをこらえながら言う俺に

 

 

「笑い事じゃあねぇよ…優……ったく朝から変なものを見る目で見られるから嫌だったのに。」

 

 

「嫌だとか言っても乗ってくるところを見るとそうは見えないがな」

 

 

「はぁー…無下にするわけにはいかないからな。」

 

 

そんな朝のなんてことないその日俺の人生を大きく左右する物語が始まろうとしていた。

その始まりは学校の2メートル以上ある壁を超えて現れたのである。

 

 

「へ?まじで?」

 

 

「優…どうしッ……ぶへッ!」

 

 

その存在は壁を越えると着地地点にいた楽の顔面に足をつけて着地した。

そこにはすらっとした体型で長く綺麗な金髪でトレードマークのような大きなリボンをしていた美少女であった。

 

 

「ごめん…遅刻しそうだったから…ゴメンねー!」

 

 

それだけ言うとそのまま学校に走って行った。

 

 

「あーその…なんだ…ドンマイ。」

 

 

「な…なんて…女だ」

 

 

そんなこんなで俺たちは自分の教室へと向かう。

 

 

1年C組

 

 

「おいーす…おはよう。」

 

 

俺は元気よく教室の扉を開けてその後ろを楽も傷だらけで不満げな顔で入る。

 

 

「おはよー…優に楽も…ってうわっ!?」

 

 

「一条君!?どうしたのそのケガ!」

 

 

最初に言葉を発したのは舞子集で楽の幼馴染であり親友だ。

俺としてはなかなか読めない奴という印象だ。

 

そして次に声を発したのは小野寺小咲楽とは中学からの同級生であり誰にでも心優しくそれでいてとても可愛い。ちなみに楽は小野寺に恋をしている。言ってはいないが俺も一目惚れして小野寺に恋をしているのである。

 

 

「鼻血出てるよ…絆創膏貼るから」

 

 

小野寺が自分のバックから絆創膏を取り出し楽の鼻に貼る。

ちなみに楽は真っ赤な顔をして震えていて俺はそれを羨ましそうに見ていた。

 

 

「なぁなぁ優…なんで楽はあんな怪我したんだ?」

 

 

「ああーそれがな「そうだよ聞いてくれよ!」…話遮んなよ。」

 

 

説明しようとしていた俺に被せて声を上げる楽は相当ご立腹のようだった。

 

 

「はぁ?女通り魔にやられた?…バカ言えようちの学校の塀は2メートル以上あんだろ。それを飛び越えて膝蹴りってどんな女の子だよ。」

 

 

「本当なんだって!なぁ!優!」

 

 

話を信じてもらえず一緒に見ていた俺から証言を取ろうとして考える楽は俺に聞く。

 

 

「俺も見てたよ。あの体の身のこなし方是非ともうちの部活に欲しいと思ってる。」

 

 

「まじか。優が言うならマジらしいな。」

 

 

「おい集…それだと俺の言葉には信用ないって聞こえるぞ。」

 

 

「はっはっはー……そんな事より今日来る転校生は女の子だぜ。しかも噂では美少女だとか。」

 

 

「話晒しやがった。」

 

 

楽と集が談笑していると小野寺が

 

 

「あれ?大谷君って部活入ってたの?」

 

 

「あれ?知らなかったっけ?優は料理研究部に入ってんだよ。」

 

 

小野寺の疑問に急に集が答え余計小野寺を困惑させた。

 

 

「え?料理研究部なのに体の身のこなし方?」

 

 

「優の料理研究部は材料を買うんじゃなくて現地調達だからな。」

 

 

「おう…この前イノシシを使った鍋食ったぞ。イノシシ素手で捕まえんの大変だったわ」

 

 

「「「え?」」」

 

 

俺の発言に事情を少し知っていた集すら揃って3人が驚いていた。

 

 

そんなこんなでホームルームが始まり担任のキョーコ先生が進行させて全員が待っていた転校生紹介となって

 

 

「よーし今日は転校生を紹介するぞー…入って桐崎さん」

 

 

「はい」

 

 

先生の呼び声に反応して返事をするその女の子が入って来ると生徒全体がおおーと歓声をあげる。

そこに居たのは

 

 

「初めまして!アメリカから転校してきた桐崎千棘です。母が日本人で父がアメリカ人のハーフですが日本語はこの通りバッチリなので皆さん気さくに接してくださいね!」

 

 

自己紹介を終えると同時に見せる笑顔でクラス全体が歓声をあげた。

 

 

「それじゃ取り敢えず席に座ってーー」

 

 

「「あーーー!!」」

 

 

楽と桐崎は互いを確認して急に大声をあげた。

ちなみに桐崎は俺にも気づいたようであった。

 

 

「あ…あなたさっきの「さっきの暴力女!」…へ?」

 

 

楽の言葉にクラスメイトがざわつく

 

 

「ちょ…!何よ暴力女って!!」

 

 

「さっき校庭で俺に飛び膝蹴りを食らわせただろ!」

 

 

「ちゃんと謝ったじゃない!」

 

 

2人は大声で口喧嘩を初め周りはポカーンとして居た。

ちなみに俺は部活勧誘の言葉を考えていた。

そんな中楽はおおよそ女の子に言ってはいけない言葉を放った

 

 

「この…猿女!!」

 

 

ピシッ

 

 

まさに人がキレる時の音が聞こえた気がした。

 

 

「誰が猿女よ!!」

 

 

そのまま桐崎は楽に顔面に拳を打ち付け楽を吹き飛ばした。

ポカーンとした雰囲気の中俺は気絶している楽の元に寄り

 

 

「…今のは楽が悪いよ」

 

 

クラス全体がうんうんと頷いていた。

 

 

 

 

授業前の休み時間

 

 

 

「俺は大谷優…桐崎さんよろしくな。」

 

 

「へ?…あ…うん…よろしく。ってそれよりどうしてくれんのよ!恥書いちゃったじゃない!」

 

 

先ほどのことがあってかクラスメイトは誰も近寄らなくて楽が桐崎に廊下に連れ出されて行くのを見て俺もついて行きついでに自己紹介もした。

そして現在絶賛楽に詰め寄って怒りをぶちまけていた。

 

 

「普通逆だろ!俺は膝蹴りに殴られてんだぞ!」

 

 

「あんたのせいでこっちも迷惑してんのよ!華々しく高校デビューを飾るところだったのに!」

 

 

「しるか!手を出したのはそっちだろ!」

 

 

「まぁまぁ…2人とも一旦落ち着けって」

 

 

俺の制止も聞かず喧嘩を続ける。

そんなところに

 

 

「おやおや〜何々?あんたら3人知り合い?それなら丁度良かったわ」

 

 

キョーコ先生が言った言葉はこうなった。

 

 

楽 桐崎 優

 

 

と桐崎を挟むような席となった。

 

 

「「ええええーー!」」

 

 

「なんで俺がこいつの隣に。」

 

 

2人は驚き声を上げるが俺は何故2人は机を並べて席に着いてから急に驚いたのかを不思議に思った。机運んでる時静かだったのに。

 

 

「「断固抗議する!!」」

 

 

「申請は却下されました。」

 

 

「じゃあよろしくな一条と大谷〜」

 

 

そう言ってキョーコ先生はそのまま戻って行った。

 

 

「まぁ取り敢えず3人仲良くやろうぜ。」

 

 

「「大谷君(優)はいいけどこいつとは嫌だ!!」」

 

 

「息ぴったりじゃん。」

 

 

俺は2人を見て喧嘩はしているがまあまあ仲良くなりそうだなと考えていた。

 

 

「あーー!無い!!俺のペンダントが無い!!」

 

 

考えにふけっていた俺の隣で楽が大声を上げた。

 

 

「あーそういえば桐崎さんが楽に膝蹴りをした時なんか飛んで行ったの見たな。」

 

 

「え!?じゃあ!あの塀のあたりか!おいお前も探すの手伝え!」

 

 

「はぁ?なんで私がそんなもの探すの手伝わなきゃなんないのよ。」

 

 

「お前の膝蹴りでなくなったのは優の証言でわかってんだ…それだったらお前が探すのが筋ってもんだ。」

 

 

「なんですって!?………ハァ…で?どんなペンダントなのよそれ?」

 

 

「チェーンの先に錠がついたやつで。」

 

 

「え?」

 

 

楽が説明していると話を聞いていた小野寺が反応した。

 

 

「ん?どうした小野寺?」

 

 

「え?…あ…多分勘違いだと思う。」

 

 

「そっか」

 

 

「あの一条君私も探すの手伝おうか?」

 

 

小野寺の優しさは誰にでも平等で全く関係ないのにそれでも手伝おうとするそれがいいところだと俺は思う。

 

 

「いや…小野寺は手伝わなくて大丈夫だ探すのは俺とこいつだけだからな。」

 

 

「俺も部活ない日なら探すぜ。なんせ目撃証言があるから推測程度は出来るぜ。」

 

 

「悪りぃ助かるわ優」

 

 

「…分かったじゃあそれ探す代わりに今後私に学校の中で話しかけないって約束してくれる?」

 

 

桐崎は探すのは了承したが楽に条件を出した。

 

 

「あ…大谷君は別だからね。」

 

 

「お…おうそうか。」

 

 

「だいたい私嫌いなのよ過ぎたことをぐちぐち言う男って。器の小さい男と友達なんて思われたくないしね。」

 

 

「おー分かったよやってやる望むところだ!」

 

 

と2人は互いに了承するとキョーコ先生が

 

 

「そうだひとつ言い忘れてたよ一条…桐崎に学校のことを色々教えてやって欲しいからさ桐崎と同じ飼育係にしたからよろしく。」

 

 

こうして2人は珍獣博物館である飼育係に任命され渋々了承していた。

 

 

こうして楽のペンダント探し始まった。

 

 

2日目

 

 

なんやかんやで2人は喧嘩をするものの話はしていた。

 

 

「ほれ…さっきの現国のノートだお前全然取りきれてなかっただろ。お前の事は嫌いだが困ってる奴は放って置けないからな。」

 

 

「………話しかけんなって言ったハズだけど?…余計なことしないでくれる?」

 

 

そうして桐崎は歩き去って楽は煮え切らない顔をしていた。

 

 

「ハァ…まぁ楽のやった事は間違ってねえよ。お前のそうゆう所はいいと思うぜ。」

 

 

俺は楽にフォローを入れるようにして不満を爆発させないようにした。

 

 

そんなこんなでペンダントは見つからず7日目

 

 

最近ギャングやヤクザが活発化しているこの頃

互いの仲の悪さからそろそろ来るであろうと感じていたその日が来てしまった。

 

 

「桐崎さん遅かったね。」

 

 

俺は言葉をかけてそちらを向くがその顔はストレスが末期の時の顔だとすぐに分かった。

 

 

「もーー我慢できない!!やってられるかこんな事!!」

 

 

「な…なんだよ急に」

 

 

「…………」

 

 

俺は2人から一歩下がり見守る事にした。

どうなるかは大体想像はつくけれど。

 

 

「クラスメイトから変な噂されるわ……探し物も見つからないわ!やってられるか!!」

 

 

「…ふざけんな!!てめーの過失でもあんだろうが!!」

 

 

「ちょ……2人とも…「小野寺ストップだ」!?…大谷君?」

 

 

止めに入ろうとしていた小野寺を俺は止める。

 

 

「ここらであいつらに言いたい事言わせてやれ。じゃないとあいつらにストレスでおかしくなっちまう。」

 

 

「でも!」

 

 

それでも喰い下がらない小野寺だがそれよりも先に楽の限界だったようで。

 

 

「うるっせえな!!!だったらもう探さなくていいからどっか行けよ!!」

 

 

その声と同時にポツポツと雨が降り出した。

 

 

「………分かった。」

 

 

桐崎は静かに歩き去って行った。

その後は雨が降り出したためそのまま解散となった。

誰1人として話はしなかった。

 

 

10日目の放課後

 

 

俺は部活を早めに切り上げて校舎を歩いていると無くしたであろう塀の近くに人影を見つけた。

俺はその人物に会って話すために向かう。

 

 

「………探さないんじゃなかったの?」

 

 

「!?…お…大谷君か…びっくりした。」

 

 

「悪かったな。……で?見つかりそう?」

 

 

俺の言葉に桐崎はなぜか慌てだして。

 

 

「へ?…なな…何が?」

 

 

「いや…誤魔化さなくても分かるから。」

 

 

「だ…だよね〜………ハァ…まじで見つかんない。」

 

 

「……ねぇ…見つかったらどうすんの?」

 

 

「そ…それは……どうしよう。…直接なんて無理だしな〜投げればいっか。」

 

 

「…ん?……そしたらさそれに手紙でも括り付けて一応は謝っときなよ。」

 

 

そう言いながら俺は近くの木に登る。

 

 

「……分かってる…でもな〜全然見つからない。」

 

 

桐崎はそう言って地面に寝転がる

 

 

「…そうでもないよっと。」

 

 

そうして俺は木のてっぺんから飛び降りて桐崎の前に着地した。

 

 

「うわっ!……ちょっと大丈夫なの!?てか何してたの!?」

 

 

「……どうやら見つからないのはカラスの所為だったみたいだな。…ホレ。」

 

 

そう言って桐崎に投げ渡したのは

 

 

「あ!…あいつのペンダント。…そりゃあんなてっぺんだったら見つからないわね。」

 

 

「じゃあ…後は頑張ってね。」

 

 

「うん……ありがとう大谷君。」

 

 

それから次の日に桐崎は楽に確かに投げ渡したしこの件は終わった。

 

 

ここから俺の人生は少しずつ確実に予想だにしない方向に向かって進んでいた。

今の俺には知る由もなかった。

 

 

 

 




五千文字近く書いてる…長いな。

今後二度とこんなに長く書きたくないな。

感想指摘待ってます。

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