ノブリスの策略で死んだオルガ・イツカは異世界で第二の人生をスタートさせる。彼にあるのは頼りになる悪魔とフリージアを使った一発芸。様々な人たちと出会い、大切な仲間を得ていく中で、いつしかオルガはこの世界の秘密を知る。古代文明の遺産を受け継ぎ、お気楽な世界の王たちと力を合わせながら、彼はのほほんと世界を巡っていく。




ウソだよ(真実)

1 / 1
例のアレを適当に設定考えてちちんぷいぷいと書き綴ったもの。


異世界オルガ

「よう、ミカ」

「オルガ。こんなところにいたんだ」

 

真っ白い空間で三日月・オーガスがそう言った。

ワインレッドのスーツに180弱の身長。服越しでも分かるほど鍛えられた体に、逆立ちした白髪。

スーツの上から羽織った濃いグリーンのジャケットは三日月が着ているものと同じだ。

 

「行くか」

 

ジャケットを翻し、オルガが光の先へ歩き出す。「うん」と軽く返事をした三日月はそれに付いていき、二人は光に消えた。

 

 

 

 

 異世界オルガ

 

 

 

 

頬を風が撫でる感覚でオルガは目を覚ました。

冷たいコンクリートの感触が背中から伝わり、見上げる景色は左右に壁が建つ青空。

そこから少し目を横にずらすと、壁に背中を預けて座る三日月の姿があった。

 

「起きたんだ」

「ああ……。ここはどこだ? 地獄にしちゃあ、随分と狭いな」

「どこかの街みたいだよ。あっちから人の声とか、食べ物の匂いがするし」

 

カーゴパンツのポケットから火星ヤシを取り出して口に咥えた三日月はそう言う。

 

「街……? なあミカ、変なこと聞くけどよ。俺たちは……死んだ、よな?」

 

夕焼けの記憶がフラッシュバックし、背中にむず痒い幻痛を覚えたオルガは三日月に問うた。

火星ヤシを咀嚼し、飲み込んだ三日月は「うん」と短く応える。

 

「あれじゃない? 昭弘が言ってたよ。人は死んだら生まれ変わるって」

「生まれ変わり、か……」

 

オルガはそう言い終わると、小さく笑った。

三日月は首を傾げ、

 

「どうしたの、オルガ」

「いや。生まれ変わってもミカと一緒だな、ってさ」

「おれは嬉しいよ」

 

「それに」、と三日月は続けながら()()()()()()

ギョッとするオルガを他所に、三日月は右手と右足を確かめるように動かした。

 

「身体も元通り動くようになったし」

「そうか……。そりゃ、よかったな」

 

差し出された右手を掴み返し、オルガは立ち上がった。

スーツに付いた汚れを叩き落とし、一息つく。

 

「……これからどうするか」

「そういえば、さっきあっちから人の声がしたよ」

 

そう言って三日月は通路の先を指さす。

少しの間考えたオルガは、

 

「じゃあ行ってみるか。この場所を詳しく知れるチャンスかもしれないしな」

「そうだね」

 

オルガは三日月に向けて握りこぶしをかざす。

それを見た三日月は小さく笑い、同じように握りこぶしを作ってオルガの手にぶつけた。

 

「頼りにしてるぜ、ミカ」

「うん」

 

 

 

 

 1

 

 

 

 

「約束が違うわ! 水晶鹿の角、金貨一枚! そういう話だったはずよ!」

「確かにそうだったが……。見ろ、ここに傷があるだろ? 傷物に金貨は払えねえな。だから報酬は銀貨一枚だ」

 

暗い路地裏に銀貨が一枚舞い、袋小路の奥に佇む二人の少女の足元に転がった。

それを見た少女……エルゼ・シルエスカは端正な顔を怒りに染めて対面に立つ男二人を睨みつける。

 

「あんたたち初めっから……! もういい、お金は要らない。だから角を返して」

「おっと、そうはいかねえ。これはもう俺たちのもんだ。返すつもりはねえぜ」

「だったら力ずくでも返してもらう」

 

エルゼはそう言い、構える。

「お姉ちゃん……」、と怯えた声を出すのは背後のリンゼ・シルエスカだ。

 

「大丈夫、負けるわけないんだから」

「へっ。おもしれえ。後悔させて――」

 

男がそう言い、懐からナイフを取り出したところで――。

 

「なんだよ、行き止まりじゃねえか」

「でも、人はいたよ」

 

新たな人影が角から現れた。

一目で上質と分かる服を着た白髪の男に、汚れたグリーンのジャケットを着た少年だ。

白髪の男、オルガとエルゼ、リンゼが目が合い、次いでナイフを持った男たちと目が合う。

 

「なにやってんだお前ら。強姦か?」

「あぁ!? てめえらには関係ねえよ、とっとと失せろ!」

「そういうわけにもいかねえんだよ」

 

オルガはそう言い、ポケットから手を出した。

 

「俺たちは話を聞きたいだけだ。落ち着け」

「どうやら痛い目見てえようだな……!」

 

男はターゲットをエルゼからオルガへと変え、ナイフを構える。

そのまま走り出し、空にナイフを振りかぶって――。

 

「ッ!?」

 

振り下ろされた手は途中で止められる。

間に割って入った三日月が男の腕を握りしめていた。

 

「なにこれ」

「てめえっ……! 放せ!」

「これは、なに?」

「あ゛、っつ……!」

 

握りしめる力が徐々に強くなり、耐えきれなくなった男はナイフを落として痛みに悶えた。

それを見たもう一人の男が、

 

「この野郎!」

 

と息巻いて三日月に迫る。

が、それを阻んだのはオルガだった。

片手で的確に顎と首を締め上げ、ゆっくりと持ち上げる。

 

「落ち着けよ。なにも捕って食おうなんて言ってねえだろ」

 

「な?」と顔を近づけてオルガは小さく告げる。

必死に頷こうとする男を見、オルガは手を放した。

 

「ミカ」

「うん」

 

オルガの声に、三日月は手を放す。

掴まれていた個所を擦る男は「クソッ」と吐き捨て、逃げるように路地裏から消えた。

 

「あ、ありがとう」

「別に礼なんざいい。俺たちは降りかかる火の粉を払っただけだ。それより……」

 

興味がなくなったように火星ヤシを食べ始めた三日月を横目にオルガは、

 

「話を聞かせてくれ」

 

と告げた。

 

 

 




いや~きついっス(素)


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。