雷人)どうですか、泊さん?この人の容態は?
泊)大丈夫だ。気を失っているだけだ。
如月)良かったな。まぁ、あの野球部員が逃げ出したからどういうやりとりがあったかは分からないな。
雷人)そういえば、戦う前にこの人あの部員にいじめられていたらしいですよ。おまけに、顧問からも。
フィリップ)とんでもないなぁ。彼らは。本当に人間なのか?まぁ、これまで翔太郎と解決してきた事件にも似たような人達はいたけど。
翔太郎)それより、今回は厄介なケースだな。
雷人)どういうことですか?
翔太郎)このメモリを見てみろ。俺とフィリップが倒してきたドーパントのメモリと形は似ているが、変な紋章がある。これは、普通のメモリとは違う。
雷人)具体的にどう違うんですか?
ベルトさん)ある事件で似たようなメモリを回収しりんなと共に解析した結果、人間の悪の部分というより心の闇を増幅するシステムが搭載されていた。そして、1度使うだけで内に秘めている闇を表にさらけ出し本人の意思と反して体が暴走してしまうんだ。
雷人)なるほど。んっ?誰だ!
如月)どうした雷人!
雷人)誰かが見ていた、そんな感じがするんです。
翔太郎)そいつは厄介だな。ツイッターとかで拡散されちまうかもな。
フィリップ)雷人君はまだSKRに所属していないんだよね。
雷人)はい...。
原則として、SKRに配属されていない生徒が無断で変身してしまった場合、周りに危害が及ぶとして最悪のケースでは退学だけでは済まない。
雷人)まさかの高校生活、BadEndか。(檀正宗風に)
泊)まぁ、物的証拠もないしなにかあっても以前所属していた旨を話せば大目に見てくれるさ。
翔太郎)なぁ、改めて聞いていいか?雷人。
雷人)なんですか?
翔太郎)電話で話していたが、本当にSKRに入るつもりなのか?
如月)そうなのか?お前の執事は確か、保留とか言ってたぞ。
雷人)具体的にいうと、戦う専門は自分だけでみんなにはバックアップをしてもらおうと考えてます。もちろん、純粋に自分たちの場所を守りたいと思っている人だけで。今日、改めて思いました。生活のためにこのSKRに志願したことはおかしいって。大切な人とかけがえのない平穏な日々を過ごせるはずなのに。
如月)雷人にも大切な人はいるだろ。
雷人)いえ、俺にはそんな人...もういないんです。大切な人はもう一人もいないんです。
泊)えっ。
雷人)だから、その人には光差す道を歩いてこれからもいい人生を過ごして欲しい。俺は自分への罰も兼ねて泥沼のような人生でも構わないんです。死ぬまで戦い続けますよ。
バコーーーン!!
雷人)!?
如月)バカヤローー!お前が過去に何をしでかしたか分かんねぇけどよ。もっと自分を大事にしろ。全部一人で抱え込むんじゃねぇよ。
翔太郎)俺とフィリップは以前、自分たちの身勝手な行動のせいで大切な人を失った。でも、今こうして生きているのはその人の遺志を代わりに2人で成し遂げようとしているからだ。罪滅ぼしのつもりだろうがな、1人じゃなにもできないぞ。
フィリップ)雷人君、今の君は昔の照井と似ている。自分の中にあるごく一部分の感情に囚われて周りが見えなくなっている。あまりに危険だ。
泊)そうさ、例え何をしようと今の心理状態じゃフルスロットルで戦えないぞ。
雷人)確かに言っていることは正論ですけど、皆さんには守りたい人がいるからみんなで戦おうと言えるんですよ。信じ会える仲間がいるからそんなこと言えるんですよ。
俺が守りたかった人は2ヶ月前に殺されたんですよ。目の前で!!しかも親友に!!俺、誰も信じることなんて出来ないんですよ。
ダダダダダ
フィリップ)待ちたまえっ!!どこへ行く?
如月)よせっ、今は一人にさせよう。それより、2ヶ月前の事件について調べてみよう。
翔太郎)そうだな。今のまんまじゃ平行線だからな。こっちがよく事情を知った上でもう一度話すしかないな。どうした、泊?
泊)あいつとは1年ぐらい交流しているけれど、あんな姿見たの初めてだ!
翔太郎)俺たちに話してない。何かのせいなのか?
翌日
松原)起立!礼! おはようございます!
如月)実は昨日ある生徒がドーパントに襲われる事件が起きた。
ザワザワ
如月)幸い、怪我はなかったけれどみんなも気を付けるように。それじゃ、出席を取るぞ!
2限休み
雷人)あのー、岸田さん。1つ相談があるんですけど。
洋乃)えっ!(そっか、二人の時はタメ口だけどこういう時は丁寧語使うのか)何ですか?
雷人)今日の放課後、岸田さんが所属しているSKRを見学したいのですが、大丈夫ですか?
洋乃)えぇ。大歓迎ですよ。
雷人) (あ〜、タメ口で話してぇけど周りからカップるみたいに思われそうだしな。)
洋乃) (いい加減、丁寧語使うのやめてくれないかな?調子狂うんだよ。)
木嶋)なぁ、雷人!今日、昼飯一緒に食わねぇか?奢ってやるからよ。
雷人)ありがとうございます。
松原)いやいや、そんなかしこまらなくていいからさ。
石井)ねぇ、リーナ。昨日、彼変身してたわよね。仮面ライダーイクサに。見た感じ、確かに適合者だと思うけど......。
リーナ)どうしたの?なかなか複数人相手に互角以上にやり合うなんて並大抵のライダーじゃないでしょ。
石井)そりゃそうだけど。
石井)本当に彼は魔術師の家系の息子なの?
リーナ)実はねぇ、怪人と話している時に私見ちゃったの。首の裏、うなじ辺りに薄くだけど黒い紋章があったの。
石井)そうなの!?
リーナ)間違いないって。
石井) (だとしたら何でブレスレットの時、初めて見たような顔で驚いたのかしら、魔術師の家系ならば一度は見たことがあるはずなのに。
そして、昼休みついに雷人の父親が明かされる!
翔太郎とフィリップが守りたかった人はおやっさんですもんね。でも、やっぱり若さゆえなのか一人で突っ走ってますね、雷人は。ちなみに、木嶋と松原は、男子生徒です。冒頭で戦いを見てたのは、まさか石井さんだとは。