岸田)それでですね、カクガクシカジカ。
雷人)それはひどいですね。後輩に対する扱いもひどいですし、何より自分が思うに先輩というものは常に後輩の尊敬に値する存在であり続けるべきです。それなのに、その先輩は自己管理というものが出来ていらっしゃらないみたいですね。いやっ、ちょっと待ってください。
岸田)(話が長いなぁー。いつまで続くんだろう。)
雷人)先輩はわざとだらしがない姿を後輩に見せることで自分のようになってほしくない、つまり反面教師のような考えを持っているのではないでしょうか?
岸田)あのさー、ひとつ言っていいですか?
雷人)なんですか?
岸田)その言い方やめてくれませんか?もっと普通に話して欲しいんだけど。
雷人)えっ!でも、父さんは初対面の人にはとにかく真摯に丁寧に話せって言われたからで.....。
岸田)とにかくやめてください。なんか、バカにされてる感じがするので。
雷人).......。
岸田)えーっと、なんかごめんね。でもね、あなたも悪いと思うよ。私をからかってさぁ...。
雷人)黙れよ.....。
岸田)へっ?
雷人)俺だってさ好きでこんな言い方で話してんじゃねぇんだよ。
岸田)いやいや、急にどうしたの。キャラ変わりすぎたよ。さっきとはまるで違う。
雷人)単刀直入に言わせてもらうよ。なんで、さっさと先生に言わないんだよ。
岸田)言ったんだけどさぁ、外部コーチからその子を、巡って言い争いになったんだ。結局、言い負かされて今ではコーチの言いなりになっちゃったらしいけど。だから、それから物事を決める度にコーチから承諾をもらわなきゃダメらしいよ。
雷人)なるほど、ちっぽけな事件より大きな目標を取ったのか。
岸田)どういうこと?まさか、私のことなんてどうでもいと考えるようにしたの?
雷人)そのまさかだよ。ちなみに、言い負かされたのは①今回の件が公になれば顧問やコーチの管理体制に問題があったとして評価が下がる。②事件を気にせず大会優勝という目標に全員の意識が向けば自然と嫌がらせはなくなる。③もし、好成績を残せばコーチの知名度は上がるし顧問も評価アップ&時の人になれる。ということを吹聴されたんだろ。
岸田)本当に中学生なの?そこまで考えが思いつく?
雷人)刑事ドラマを親から無理やり見せられてるんだよ。それで人間の内面のドロドロさを知らされた挙句父さんの仕事上の話とか聞かされてるからな。だから、ほかの中学生よりは客観的に物事を捉えられるんだろうな。
岸田)お父さんの職業は何なの?
雷人)警察官だよ。
岸田)お父さんが、警察官なのに刑事ドラマを見せてるの?
雷人)ああ、おかしな話だろ。でもな、一緒に見ながら父さんから「私にも似たようなことがあった」って話し始めるんだ。
岸田)へぇー。じゃあ、もう一つ質問していい?
岸田)なんで、さっきいきなり口調を変えたの?
雷人)あっ、いやっ......。その.....。
岸田)なによっ!男でしょ。もう少しはっきりいいなさいよ。単刀直入に言いなさいよ!
雷人)分かったよ。実はな、悟られたくなかったんだ。本当の自分を。
岸田)どういうこと?
雷人)俺、一年前まで親がいない子供たちを預けて育てる施設言わばNPO法人の下で育てられたんだ。
岸田)ちょっと待ってよ。今のお父さんに拾われたの?
雷人)っていうか最後まで聞いてくれ。
岸田)ゴメン。
雷人)毎日が、楽しかった。施設で育てられてたから多少学校で嫌がらせを受けてたけど、そんなのが気にならないくらい。でも、ある時平穏な日常は壊されたんだ。メガショッカーによってな。
岸田)でも、それが本当の自分を悟られたくないこととどう繋がるの?
雷人)殺されたんだよ。目の前で友達も先生もみんな奴らの手によって。しかも、その前に建物が放火にあってパニック状態の時に奴らは現れたんだ。
岸田)えっ....。
雷人)幸い俺を含めた3人は脱出したけど途中でバラバラになった。その後本当の父親、今の父さんに会えた。でも、当時の俺は重症だったらしく加えて精神的にかなりやられていたらしくPTSDと診断されて長期の入院を余儀なくされた。
岸田)......。
雷人)あの頃に比べて精神的には今はだいぶマシになったが、今も度々蘇る。だから、少しでも忘れようとあんな丁寧な言い方で話してたんだ。少しでも、社会的に必要なこと・公衆道徳そして徹底した教育で忌々しい過去を忘れようとしてな。でも、やっぱダメだな。馬鹿にされるとどうしても癖で前の言い方になっちゃう。
岸田)いいんじゃない、それで。
雷人)えっ?何でだよ。思い出したくないんだよ。俺はあんなことを。(ペシンっ!)岸田さん?
岸田)駄目だよ、忘れちゃ。忘れようとしちゃ。あなたのかけがえのない、心が許せる人達だったんでしょ。
雷人)そうだけど。
岸田)私、昔ある人に言われたの。「人は目に見えなくなってもいつもそばにいる。君が思い続ける限りその人は君の胸の中で生き続けるんだよ。」っ
てね。
雷人)なんだよ、借り物の言葉じゃないか。(今にも泣きそうな声で)
岸田)そうだよ。だから、私なりの言葉で言わせてもらうよ。「忘れちゃダメなんだよ。死んだ人達はあなたの思い出でしか生きられないんだから!」
雷人)ごめん、本当にごめん。人として最低な自分を叱ってくれて。(声が裏返りながら)
岸田)男がみっともなく泣かないでよ。はい!深呼吸して。
雷人)それとさぁ、あの.....。
岸田)今度はどうしたの?
雷人)岸田さんの相談に対して答えるはずだったのにごめんなさい。
岸田)気にしないで、あなたの過去壮絶すぎてなんか自分の悩みなんかちっぽけみたいに、
雷人)ちっぽけなんかじゃないだろ!
岸田)濱野くん....。
雷人)これ以上先輩たちに中学校生活めちゃくちゃにされてもいいのか!俺は、これ以上岸田さんが悲しむのを見たくないんだ!
岸田)そうだけど、私はどうしたらいいのか分からないの。まだ、私達は1年生だけど退部するにしても高校受験の面接で言われそうだし、なにより入部するにしても中途半端じゃん。
雷人)そういうことか、なら話は簡単だ。岸田さん
雷人)俺のところに来い!!!
岸田)へっ??
(エーーーーーーーー!?)(まさかっ!告白!?)
銀魂の止め絵のBGMを流しつつ
雷人)前から思ってたんだけどさ、この作品のメインヒロインって誰なんだ?
岸田)当然、主人公は濱野だけど読者も分かっていないんじゃない?
石井)もちろん、私でしょ。だって、私が濱野君と契約することで(バコっ!)何すんのよ。岸田さん!
岸田)何ネタバレしようとしてんのよ。最近出番が減っているからって!
雷人)ここ最近の話だけ見ると洋乃がメインヒロインだよな。
石井)イヤイヤ、中学校編だからでしょ!当然私がメインヒロインですよ!第一、出番の多さだけで決めるのはおかしいでしょうが!
岸田)思い切って投票する?
雷人)やめとけ、まだ10話なんだぞ。何より、話の流れだとまだ2日しか経ってないよ。
石井)そもそも作者が悪いのよ、素人だから。
雷人)止めろよ、メタい発言するの。作者ディすんな。余計出番減るぞ。
岸田)そうそう、そうやって作者の逆鱗に触れてフェードアウトしなさいよ!
雷人)止めろ、洋乃!物騒なこというな!もう、ツッコミしてもキリがねぇーー!
おわり