第3話 グリードの個性
ヒーロー基礎学。
No. 1ヒーロー、オールマイトが担当を務める実戦訓練を主とする科目だ。
1ーAの第一回の授業は屋内対人戦闘訓練、ヒーローチームと敵チームに分かれて行う模擬戦だった。
その第1戦、緑谷&麗日チームVS爆豪&飯田チームの試合は、手に汗握る展開の連続だった。
そして一戦目から白熱した勝負が繰り広げられたこともあり、その熱に当てられたのか、後の試合でも非常に白熱した勝負が繰り広げられていた。
第4戦
ヒーローチーム:グリード&葉隠
敵チーム:轟&障子
轟焦凍は圧倒的だった。
建物ごと凍らせる大氷結を放ち、一瞬でヒーローチームの二人、葉隠とグリードを氷漬けにしてしまった。
相方の障子は巻き込まないように屋上に避難してもらっており、核兵器を守るのは轟1人だけだ。それでもこの結果、轟の実力は新入生のなかでも頭一つ飛び抜けていた。
だが、誤算がなかった訳ではない。
「この短時間でここまでたどり着いたのは褒めてやるが、相手が悪かったな」
そう、目の前で氷漬けになっている男、グリードは訓練開始から僅かな時間で核兵器のある部屋までたどり着いたのだ。
部屋に入った瞬間に氷結を発動させたため事なきを得たが、かなり肝を冷やした。
近接戦闘に秀でた個性を持っているものは得てして高い身体能力を持っているが、コイツは今まで見てきたなかでもかなり上位に位置するだろう。
コイツの相方は葉隠、索敵に秀でた個性ではなかったはずだ。
恐らくは個性を用いずに離れ業をやってのけた目の前の男に対して、轟は得体の知れなさを感じた。
「おいおい、もう勝ったつもりか?」
そう言い放ち、氷漬けになった今も不敵に笑ってみせている。
ハッタリだ。奴の個性では氷から脱出することは出来ない筈だ。
「訓練終了までそのまま大人しくしてろ。無理に動けば四肢がもげるぞ」
「ヘヘッ……俺との会話にかまけてていいのか?ーーー背中が留守だぜ」
「ッーーー!」
勢いよく後ろを振り返るが、何も無い。
騙されたと思い、グリードへと向き直るがーーー
ーーーそのグリードが目の前まで迫ってきていた。
「オラァッ!」
「なっーーー!」
0距離まで接近してきたグリードに対して、轟は個性ではなく近接格闘で対応する。
殴りかかってきたグリードの拳をなんとか受け流し、距離をとった。
「へへ……俺の勝ちだな」
気づけば轟の右手には確保テープが巻かれていた。
全く気づかなかった。目の前の男が、格闘戦の実力で自分より上回っているのは明らかだった。
だが、轟はそれどころではなかった。
「てめえ……何考えてやがる!?」
グリードには右腕と右足が無かった。
グリードは凍らされていた右半身の四肢、右腕と右脚の膝から下を引きちぎり、拘束から逃れたのだ。
「やかましぃ、ヒーローをなめんな。この程度でくたばってたらヒーローだなんて名乗ってらんねえだろ?」
「そんなこと言ってる場合じゃねえだろ!早くリカバリーガールをーーー!?」
轟は目を見張った。
グリードの四肢が再生していくのだ。
「俺の個性は単なる硬化じゃねえのさ、俺は『炭素人間』。身体を構成している炭素、そいつを自由自在に操れる。炭素の結合度を上げて硬化させることも、逆に柔らかくすることも出来る。身体の再生なんかお手の物だぜ」
足の再生が終わると、グリードは悠々と歩き、核兵器に触れた。
『ヒーローチーム、WIN!』
※修正前
父親から受け継いだ個性『炭素』:体内の炭素の結合度を変化させることが出来、それにより体をダイヤモンド並に硬化させることが可能。
母親から受け継いだ個性『超再生』:即死さえしなければ、臓器や四肢の欠損さえ再生させることが出来る。これといったデメリットのない非常に強力な個性。
ちなみに再生と硬化は同時には扱えない。また、グリードの母親は彼が生まれてすぐに行方不明になっており、男手一つで育ててくれた父親にはかなり感謝している。
と言う訳で、グリードのもう一つの個性はホムンクルス特有の能力『超再生』でした。
ところでヒロアカって、二つ個性を持った人間って『異形型+発動型』が殆どで、爆豪や轟みたいに発動型の個性が二つ個性が混ざった場合も、噛み合った個性ばっかですよね。
今作品のグリードみたいなタイプは珍しいのかな?
※修正後
読者の方のご指摘を受け、グリードの個性を『炭素人間』に変更しました。