第2話 個性把握テスト
雄英高校 1ーA教室前
緑谷出久は教室の前で、なかなか扉を開けることが出来ずにいた。
あまり学校というものに良いイメージを持っていなかったからだ。
思い出されるのは中学時代、無個性だというのが理由で虐められることも多かったため、まともな友達すらいなかった。
だが緑谷はもう無個性ではない。OFAという個性を得、無事雄英に入学することが出来た。
雄英高校ヒーロー科は偏差値79の超進学校、そこにいる生徒たちも皆ヒーローに相応しい、いい人ばかりに違いない!
必ず友達をつくってみせる!
(あ、でも怖い人たちとは同じクラスになりませんように……!)
オールマイトに祈りを捧げつつ、意を決して扉を開けたその先にはーーーーーー
「おい、てめえどこ中だこら!端役が調子に乗ってんじゃねえぞ!」
「はあ?端役はそっちの方だろ?つーかお前ヘドロ臭くねえか?近寄んじゃねえよ、臭いが移る」
「ああ!?臭いなんざとっくに消えてるわボケ!」
「いやー、まだなんか臭うぜ?具体的に言うと、負け犬の臭いがなぁ!」
「殺す!」
「上等だぁ!」
「君たち、喧嘩はやめないか!雄英生たるもの、ヒーローとしての自覚をもってーーー」
(オールマイト、僕はもうダメかもしれません……)
「個性把握テストを始める」
「あと最下位は除籍な」
そんなこんなで始まった個性把握テスト。最下位は除籍という理不尽な宣言にも関わらず、それぞれが個性に合った種目で次々と高記録を出していくのは、流石は雄英生と言ったところか。
だが、どの種目でも自らの個性を活かせない者たちも少なからず存在した。
その一人の中に、グリードはいた。
「よっ強欲ヒーロー、調子はどう?」
「あ?お前確か……あん時の」
「その節はどーも。あの時助けてもらった受験生だよ」
「……その話はすんじゃねえよ」
「ぷふっ、あんたあれだけ威勢良く突っ込んでいったのに、結局0ポイント敵倒せないまま試験終わっちゃったもんね……ぶふっ!」
「うるせえ!笑うな!」
『グリード少年!ライバルである他の受験生を助けるその気概や良し!だがムキになって0ポイント敵に固執し続けたのはいけない。時間制限のある試験だ。すぐには倒せない敵だとわかったなら怪我人を連れて遠くまで離れる、それだけであの子を助けることが出来たし、君も残り時間で他の仮想敵を倒してもっとポイントを稼げたことだろう。冷静な判断が出来なかったところはマイナスだ。それとーーーーーーえ?巻きで頼む?…………まあ、そんなわけで!来いよグリード少年!ここが君のヒーローアカデミアだ!』
「でもあんたがアレを引きつけてくれてたおかげでウチは助かったわけだし、元気、だしな、よ……」
「笑い堪えてんじゃねえよ!個性の相性が悪かったんだよ!ただでかいだけの張りぼてかと思ったら、思った以上に堅い装甲してやがるしよ……」
「あー、あの時遠目から見てたけど、あんたの個性って『硬化』だっけ?」
「ああ、正確には『炭素』だけどな。体内の炭素の結合度を変化させて硬化させてんだ。まあ、このテストじゃ使っても意味ねーけどな」
「分かるわー、ウチの個性も体力テストじゃほとんど意味なくってさー、有利な個性持ってる奴が羨ましいわホント」
「硬化以外にも使い方はあんだが、そっちも使いようねーし、このテスト全然合理的じゃねーよ」
「あはは、それな〜」
「っと、次俺の番か。またな、えーっと……」
「あ、名前まだ言ってなかったっけ?ウチは耳郎響香」
「耳郎か……。じゃあな!退学になんなよ、耳郎!」
「バーカ、自分の心配してろっての」
個性把握テスト 最終順位
グリード 7位
耳郎響香 17位
「だっはっはっは!お前退学ギリギリじゃねーか!」
「う、うっさい!どっちみち除籍嘘だったからいーだろ!?」
グリードの順位は障子の一個下、切島の一個上です。
ちなみにヒロアカ二次小説恒例、
不在の煽りを受けたのは尾白くんです。
あと、あの少女の正体は耳郎ちゃんでした。
サバサバしてるように見えて意外と乙女なところもある耳郎ちゃん可愛いよ……