天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。


番外編 粕人は一方的に恨みを買ってしまったようです

「俺は、俺はあの男に負けているのか!」

がっしりとした体格の長身の黒髪男が自室の机を感情に任せて叩いた。

眠八號誘拐事件で自分より下だと思っていた男がお遊びで作った罠に太刀打ちできなかったことを、今年十二番隊に入った兵間は引きずっていた。

葛原粕人が東空座町に赴任した後、兵間が粕人の仕事のほとんどを請け負うことになった。

最初は不満だったが「あの男よりも素早く丁寧に確実に行い俺の方が実力が上だと証明してやる」と望んだ。

 

その考えはもろくも打ち砕かれた。

 

マユリに研究素材を現地調達してこいと言われたがそれらがマンドラゴラの根やオリハルゴンの鱗などどこに行けば取れるのか分からない物ばかりだった。

100kg以上はある実験機器の運搬や掃除、清掃、提出書類の作成、調査任務、結果報告書の作成と多岐にわたった。

なにより大変だったのは眠八號のお守りだった。「どうせ子どもだから適当にやっておけばいいだろう」と考えていたが、そうはならなかった。

粕人は夜など空いた時間があれば眠八號に本の読み聞かせをしていた。あの男でも出来たのだからとやってみると「面白くない!つまらない!」とへそを曲げられてしまった。

 

あの男にも出来て俺には出来ない。

 

その事実に兵間はショックを隠せなかった。

そして兵間の止めを刺したのは技術開発局の人間だった

とある夜。

兵間は阿近を始めとする十二番隊の隊員達と居酒屋で酒を飲んでいた。

「ん?兵間。どうした?酒が進んでないじゃないか」

眉毛のない上司に、男は愚痴を漏らす。

「阿近さん。あいつ……いえ、葛原さんは十二番隊に必要な存在なんですかね?」

 

ピキッ!

 

その言葉に十二番隊の面々は氷のように固まり、

「「「そんなことない!」」」

と否定する。

「葛原はよくやっている!!(涅隊長の実験体という任務を!!!)」

技術開発局№2の阿近(あこん)がそう言えば

「そうだ!あいつが十二番隊(ここ)に来てくれたおかげでどれだけ俺達が楽になったか(涅隊長の怪しい実験の実験体になる不安から開放されて!!)」

鵯州(ひよす)も続く。

「あいつがいない十二番隊なんて考えられないぜ(涅隊長への生贄的な意味で!!)」、「葛原さんのおかげで僕らがどんなに楽になっているか(涅隊長のストレスのはけ口が僕らにいかなくなったから)」、「あいつは本当によくやっているぜ(涅隊長の実験のモルモット的な意味で!!)」

次々と感謝や賞賛の言葉を送る技術開発局の面々に、兵間の心はズタズタに切り裂かれた。

 

 

 

後にこの出来事をきっかけに兵間の粕人への対抗意識が増加。現世から戻った粕人に刃を向ける事件に発展するのだがそれはまた別の話である。

 




粕人対兵間は東空座町編が終わったら投稿します。

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