天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。


東空座町編第三話 粕人は十二番隊の先輩に会うようです

東空座町某居酒屋。

「ったく、うちが出てこんかったらあんたはどうなったのかわかってへんやろ?」

「いえいえ。猿柿さんがいなかったら僕は死んでいたかも――」

「かもじゃないわぁ!死んどったわ、このハゲェ!」

「あ、はい……」

東空座町を担当する小柄な男、葛原(くずはら)粕人(かすと)は苦笑いを浮かべながら話を聞いていた。

数時間前。粕人は交差点で車を衝突させていた虚を発見、すぐさま魂葬を行った。しかし粕人は気づいていなかった。実はその虚が、双子が一体の虚となったもので魂葬したのはその片方だということに。

殺気に振り返った時、片割れの虚は粕人の目前まで迫っていた。そのような状態であっても粕人は右手を柄に置いた。得意の居合で切り払うつもりだった。しかしそれは未遂に終わった。

「おんどりゃあっ!」

その掛け声とともに大きなギザギザの刃をした大剣の形をした斬魄刀、馘大蛇(くびきりおろち)を振り下ろした金髪ツインテールの小柄な女性、猿柿(さるがき)ひよ()によって倒されたからだ。

その後自力で何とかなったとはいえ助けられた粕人は突然現れたひよ里に自分が十二番隊第二十席であることを自己紹介した瞬間、「十二番隊が何あんな雑魚に苦戦しとんねん!十二番隊もうちが()った時と比べて質が落ちたなぁ!」と激怒された。

数分の罵声の後、粕人は「ここじゃあアレやから近くの店で話しよか!」と近くの居酒屋に連れて行かれて今に(いた)る。

「ったく。お前みたいなハゲが席官なんて……ほんま十二番隊は大丈夫なんかぁ?」

「あ、はい。そうですね……」

酒で顔を真っ赤にさせたひよ里に粕人は苦笑いを浮かべながら相槌を打つ。

「だいたいうちが副隊長だった時も大概だったけどな。喜助(きすけ)は色んな仕事をうちに押し付けるし、あの(ハゲ虫)も自分が技術開発局の副局長だからって副隊長のうちを顎で使いよってからに!」

そう言って八重歯とそばかすが特徴的な赤いジャージ姿の女性は目の前の焼き鳥をごっそり掴んで食いちぎる。

「おい、クズ!お前も飲まんかい!」

「あ、はい……」

徳利(とっくり)を持ったひよ里の前に、粕人はお猪口(ちょこ)を出して酒をついでもらうと一気に飲み干す。

元とは言え目の前の女性は十二番隊前隊長の浦原喜助、現隊長の(くろつち)マユリ、現副隊長の阿近らと共に技術開発局を立ち上げた大先輩である。

技術開発局の(いしずえ)を築いた女性ということもあり、粕人は言いたいことを抑えて黙って話を聞いていた。

 

 

 

一時間後。

「ヒック、えぇか!お好み焼きはたこ焼きと並んで関西料理の定番中の定番や!ヒィックッ!お好み焼きを上手く焼けん奴はなぁ、戦いも研究も出来へん!分かったかぁ、粕人!」

「は、ふぁい……わはひはふぅは、ひほひふぁん!(は、はい……わかりました、ひよ里さん!)」

ベロンベロンに酔っ払ったひよ里は意味不明な精神論を教え込み、同じように酔っ払った粕人は涙と鼻水まみれになりながら偉大な先輩の言葉をメモする。

「なぁ、お好み焼きを上手く焼けることと戦いと研究。これってどう関係するんだ?」

「そ、そんなの私に聞かれても分からないデス……」

サングラスにさまざまな方向に分かれたアフロヘアの愛川(あいかわ)羅武(らぶ)と、大柄で寸銅な有昭田(うしょうだ)鉢玄(はちげん)はそんな二人を離れた位置で見ていた。

 

 

 

その後粕人は現地駐在の間猿柿ひよ里の指導の(もと)、お好み焼きを教わり現地駐在任務が終わる頃には本場関西人の舌も(うな)らせる関西風(・・・)お好み焼きを習得した。

後日行われた男性死神協会の昼食で粕人はひよ里に教わった関西風(・・・)お好み焼きを披露。広島風(・・・)お好み焼きが好きな射場(いば)鉄左衛門(てつざえもん)の逆鱗に触れたという。

 




タイトルが新章になっていました。この場を借りてお詫び申し上げます。

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