本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。
皆様の思う阿近像が壊れるかもしれません。そうなった場合先にお詫び申し上げます。
瀞霊廷大衆居酒屋の個室。
「葛原。この間は本当に申し訳なかった」
十二番隊副隊長にして技術開発局副局長、阿近は目の前の男に頭を下げた。
「あ、阿近さん。頭を上げて下さい!」
十二番隊二十席で技術開発局雑用総責任者兼
「あれは僕がちゃんと『眠さんと一緒に秘密基地を作るために裏山に行っています。夕方までには帰ります。』と書いていればあんな事態にはならなかったのですから」
「……そうか、そう言ってくれると助かる」
目の前の男に促され、頭を上げた阿近の心は軽くなった。
言葉足らずの手紙という落ち度はあったものの、眠八號のために動いた男を労うどころか怒りに感情を任せた挙句、愛娘に性的虐待をされたと怒り狂う上司に身柄を差し出した自分達を。そして誤解のまま数日間
「よし、葛原。ここは俺が奢ろう。好きな物を頼め!」
「あ、じゃあお言葉に甘えて」
そう言いながらも粕人は高い物を頼まず、様々な物を頼んで食い散らかすこともなかった。
逆に粕人に罪悪感を持っていた阿近の方が酒を飲むほどだった。
数時間後。
「いやぁ、すまなかった。本当にすまなかった」
「あ、はい……」
完全に酔っ払う上司を支えながら、粕人は居酒屋を後にした。
「本当に、本当にすまなかった……」
「もう謝らなくていいですよ。僕もこうして阿近さんとサシで飲めた上、奢ってもらって。本当に嬉しかったんで」
日ごろの感謝の言葉を述べながら、ふらつく上司を支える粕人。
隊舎に戻ろうと道中を進む二人。と、粕人が突然立ち止まった。
「あ、阿近さん。ちょっと……」
肩を貸していた上司を壁にもたれかからせると、粕人は後ろを振り向いた。
そこには中年の死神が立っていた。
「何か御用ですか?」
「いえいえ。大した用じゃない」
笑顔で尋ねる小柄な男の問いかけに、中年男も答える。
その瞬間。中年死神の身体が真っ二つに割れ、そこから
「死神、食ッテヤル!食ッテ――」
シャキンッ!……ザクッ!
目の前の小柄めがけて振り下ろした鎌が宙を舞い、地面に突き刺さった。
地面に突き刺さる自分自身の鎌を見て、虚は自分の手首を見る。そこにあるはずの手首はなかった。黒い液体がブシュー!と噴き出す。
「アアァ!ウゥ……ウワアアァァァッ……!?」
残った鎌の手を普通の手に変えて黒い液体が流れ出る手首を押さえる。
「ナ、ナンダ。コイツ……ハッ!?」
体内に寄生し内側から対象者を喰らう虚、パラサイトイーターが見た最期に見た光景。それは氷のようにも愛する者を失ったかのようにも見える哀しい目で、自分の首を閃光のような居合いで斬り落とした男の顔だった。
「うぅ、葛原。俺はもう飲めんぞ……」
「いや、もう店出たので飲めませんよ……」
虚が消滅したのを見届けた粕人は、再び泥酔する上司に肩を貸して何事もなかったかのように隊舎に戻っていった。
ふと葛原粕人が虚と戦ったどうなるのだろう、と思ってこんな話を書いてみました。
阿近さんって深酒するんですかね?
登場人物
パラサイトイーター
瀞霊廷に忍び込んでいた両手をカマキリのような手をした虚。
中年死神に寄生し内側から根こそぎ食い散らかすと、新たな寄生主を求めて粕人達を襲った。粕人の居合いの前に敗れる。
11月8日
とある方に『メノスでもない虚に瀞霊廷への侵入許すとか、門番とかの皆様ハラキリ案件』というコメントを頂きました。
パラサイトイーターの潜伏能力が凄かった、・・・ということにしていただけると幸いです。