天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

涅マユリのイメージが大きく崩れる可能性があります。そうなった場合先にお詫びいたします。


番外編 阿近は涅マユリに葛原粕人の給料についての相談をするようです

 

「隊長。一つ相談したいことが」

「何だね?」

額に角を生やしているような強面(こわもて)の男が奇怪な顔の上司に声をかけた。

「いえ、たいしたことではないのですが。この間葛原の給料明細を見る機会がありまして……葛原は隊長の実験(・・)に付き合っているわけじゃないですか。にも関わらず給料があまりにも低いような……そんな気がしたので」

「あぁ、そのことか」

さほど興味のなさそうにマユリは続けた。

「あいつはさほど危険なことをせず定時で帰っているように私が改ざんしているからな。給料が並の平隊士なのは当たり前だ」

「……」

(おい、今この人とんでもないこと言っているよ!)

部下の労働を上司が不当に改ざんしている。その衝撃的な真実を耳にして、十二番隊三席は思わず固まりその場に立ち尽くす。

(いや、ここで引く訳にはいかん!)

上司の愚行を止めるのも自分の務め。強面の三席は今すぐ逃げ出したい衝動を抑えつけながら、言葉を選びながら上司に苦言を(てい)する。

「いや、葛原にしていることって労働基本法などに引っかかるでしょう。それでなくとも危険手当くらいはつけてあげないと他の者にも示しがつきません。山本総隊長や他の隊長の耳に入ったらただではすみませんよ」

「私がそんなミスをすると思っているのか、お前は」

真剣な顔で部下を諭すマユリの言葉に、阿近は「この人に反省とか思いやりいう文字はないのか」という言葉を呑み込む。

(考えろ、俺!どうしたら葛原のためになる……)

下手に目の前の上司を刺激すれば自分にも被害が出る。

「阿近。私は忙しいからもう話はいいか?あぁ、誰か私に『マユリ様のファンです!どうかこれ食べてください!!』という従順な信者はいないものか」

(信者……それだ!)

説得する方法を思いついた阿近は一度心を落ち着かせて話しかける。

「涅隊長。『隗より始めよ』ですよ。《昔の中国で、郭隗(かくかい)という男が(えん))昭王(しょうおう)に『どうすれば賢者が集まってくるか?』と求められた際、『賢者を招きたければ、まず凡庸な私を重く用いれば私よりすぐれた人物が自然に集まってきます』と答えたと伝えられています。葛原の給与を見直せば我々凡人が隊長を見る目も変わり隊長に心酔する者も現れるはずです!》

「ふむっ」

阿近の言葉にマユリは一考する。

「なるほど。確かに人気投票を見ても凡人どもは私の素晴らしさを理解していない。まぁ、天才とは凡人には理解されない生物だ。それは自明の理と言えよう。ならば天才が凡人に理解させるために努力することも必要だろう。わかった。クズの給料については考えておこう」

 

 

 

後日。葛原粕人の給料が少しだけ増えた。

 


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