天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。


第三十三話 不幸紙

「出来た、出来たぞ!」

机に汚らしいお札を見て、(くろつち)マユリは不気味な笑みを浮かべた。

「これは不幸紙。これを身につけた者はあらゆる方法で災厄(さいやく)を招くという誰得な発明品だ。逆に考えれば不幸にしたい人物に取り付ければその人物が不幸になるというわけだ。さて、この発明品がどれほどの効果を発揮するか試してみるとするか」

 

 

 

数分後。

「あ、あの……どうかしたんですか?涅隊長……」

マユリにクズと呼ばれている男が不安な顔でマユリに尋ねる。なぜならば男の前にはお茶とまんじゅうが置かれていたからだ。

「なぁに。お前には色々苦労をかけているからな。その(ねぎら)いだ」

「……」

もしこれが普通の上司なら感激しているだろう。しかし目の前の上司は尸魂界(ソウルソサエティ)(いち)のマッドサイエンティストだ。鵜呑(うの)みにすることはできなかった。

(何だ、何をしたんだ?この人は!?)

男は適当に「そうなんですか~」と相槌(あいづち)を打ちつつ慎重にお茶をすすり、まんじゅうを食べる。

「じゃあ涅隊長。そろそろ僕、仕事があるんでこれで失礼します」

(何もなかったな)

そんなことを考えながら、男は上司の部屋を後にした。

……男は気づかなかった。奇怪な顔の上司が男に気づかれないように意味深な笑みを浮かべていたことに。

そして。目の前のお茶とまんじゅうに何か仕込まれていると警戒しすぎて背中に不幸紙が貼られていたことに。

 

その後の男は不幸としか言いようがなかった。研究所に戻れば高圧電流の電線コードが千切(ちぎ)れたため千切れた端を掴まされ、電流の繋ぎにされ真っ黒こげになった。

その後適量の超活薬(ちょうかつやく)で無理やり回復させられた後(『番外編 アニメ『BLEACH』の『護廷十三隊侵軍篇』にクズと呼ばれる男が登場していたら』を参照)、仕事が終わった男は明日の食事の材料を買うため街に出た。そこでも不幸紙に気づいていない男は更なる不幸に襲われた。

買い物途中、蝿を追い回していた店の人に頭を思い切り叩かれた(ちなみに男がいなければ店の人は足を滑らし大怪我をしていた)。

帰り道を歩いていくと居酒屋で大喧嘩していた男達の皿が男の頭に直撃した(ちなみに男がいなければ男の近くを歩いていた子どもに当たり大怪我をしていた)。

隊舎に戻れば腐った床を踏んでしまい床下に転落した(ちなみに男が踏んでいなければ他の隊員が転落し大怪我をしていた)。

最後は給湯室で調理をしていたら火の元が爆発。男は慌てて服を脱いで事なきを得た(ちなみに男がいなければ別の隊員が火だるまになって亡くなっていた)。

こうして男は気づかぬまま不幸紙から逃れることができた。

 

 

「ふう、何か今日は少し(・・)運がなかった日だったな」

そんなことを呟きながら男はペットの竹馬棒と食事をすると(とこ)についた。

 


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