天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。


番外編 我輩は竹馬棒である

我輩は竹馬棒である。名前はまだ無い。

我輩は技術開発局というところで尖兵計画(スペアヘッド)の代わりに作られた馬と竹との交配種(ハイブリッド)として生まれた。あの薄気味悪い化粧をした顔の男、(くろつち)マユリという男に作られた。一目見ただけで凶悪な男だと感じた我輩は男の部屋から逃げ出した。その直後、我輩は運命の出会いをする。

逃げ出した我輩を掴んだ男、葛原(くずはら)粕人(かすと)。これが我輩の主との出会いだった。

我輩は驚いた。我輩は跳躍力やスピードにそれなりの自信を持っていた。にも関わらず主は全力で逃げ出した我輩を初見で掴んだのだ。まぐれかもしれないが、その時の我輩は驚きを隠せなかった。

凶悪な男の部下だった主。凶悪な男は我輩のデータを取るために主が責任を持って我輩を管理するようにと我輩を押し付けた。

主はしぶしぶながら了承し、我輩を迎えてくれた。

 

始めて主の部屋に来た我輩はあまりの狭さに驚くしかなかった。部屋の広さは畳一つ分。布団を敷けばそれだけで畳は見えなくなってしまう。部屋の高さは2mほど。天井に取り付けられた本棚には数冊の書物。様々な器具が置かれた凶悪な男の部屋と比べればその差は歴然だった。

主は我輩に何かを命令するわけでもなく人参をくれた。凶悪な男は我輩を生み出すとすぐに色々と命令した。仕方がなく命令どおりのことをしてやったら「何だそれは!?」と怒り出す。

思い出すだけで腹立たしい男であった。

その点主は心優しい男だった。まだ何もしていない我輩に人参をくれたばかりか、我輩の立場を考えて夜に散歩に連れて行ってくれた。

主を乗せて夜風を切った感触は今も忘れず我輩の心に刻まれている。

そんな楽しい夜が終わり、朝が来た。

「じゃあ行ってくるよ。おとなしくしていてくれよ」

そういい残し、主は部屋を後にした。

主がいなくなった部屋で、我輩は部屋を物色する。部屋にあるのは綺麗に畳まれた布団に天井に取り付けられた本棚と書物が数冊。そして壁にかけられた服。これしかない。

我輩は鼻を鳴らす。

匂いは天井と床下から漂う。我輩は天井を覗く。そこには胸の大きな女の裸がたくさんある書物だった。

次は床下を見る。そこには今は懐かしいテレビとビデオデッキ、ビデオテープがあった。ビデオテープを入れると天井の本同様胸の大きな女が動く映像が映し出されていた。

馬と竹の交配種である我輩には理解できない代物だった。

後片付けが終わるのとほぼ時間に主が帰ってきた。

「すまない。ちょっと寄り道をしていたから遅れた」

そう言って主は人参を我輩の前に置く。

「お前もただの人参だけだと飽きるだろう。数種類買ってきたから食べてくれ」

我輩は残らず食べる。人参にも色々あるのだと知った。

あぁ、主に引き取られてよかった。

 

 

 

我輩はそう思わずにはいられなかった。

 

 

 

 

 




竹馬棒のその後と葛原粕人の部屋の様子を書きたくてこんな話を書きました。

男を見ていると、「あぁ自分って幸せなんだ」と思わずにはいられないです。

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