本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
前作の『番外編 葛原粕人はフランダースの犬の世界に行くようです』の後日談的な話です。
マユリの自室。
「ふふっ。そろそろ死んだ頃かな?」
児童文学世界通り抜けフープで『フランダースの犬』に行くように設定した
「『クズ。このフラフープを通り抜けるんじゃないよ』という張り紙を否応なく見ざる位置に置いたんだ。最近智恵をつけてきたクズだがクズはクズ。禁止されるとつい行動したくなるカリギュア効果で間違いなくフープを通る。そして時間は主人公とその愛犬が大聖堂で死ぬ直前に設定しておいた。あのクズの性格からして見殺しには出来ないはず」
あいつか帰ったらどんな実験をしようか。そんなことを考えた時だった。
「ンンッ!!」
マユリの頭に100万ボルトの閃きが走る。画期的な発明を思いついたのだ。
奇怪な顔の隊長は忘れる前にそのことを紙に記した。
「よしっ、誰か!クズを――」
と自身がクズと呼ぶ男を呼ぼうとして、止まる。
「そうだ。あのクズは児童文学世界通り抜けフープの向こう側にいるんだった。しょうがない。どうせあと数時間だ」
そう言って余裕の表情で残りのお茶を飲むマユリ。しかし、
「あのクズめ!いつになったら戻ってくるんだ!!」
その余裕の表情は5秒で崩れた。
「だからあの男はクズなんだ!人が今すぐにでも人体実験をしたいのに近くにいないなど。あいつは自分の存在価値を何だと思っているのだ!!」
いても立ってもいられなくなったマユリは部屋を飛び出した。
ネロとパトラッシュが元気を取り戻した所を見届けた男は地面に倒れこんでいた。
「……し、死神が……死んでいく者の代わりに死ぬなんて……笑い話にもならないな…………」
「――――」
ゆっくり目を閉じた。
雪は最初から男がいないことにしたかったかのように横たわる男の身体を覆い尽くした。
その時だった。
男の身体を包み込むように光が振り注いだのは。
(ふ、死神の僕が今度は天使に誘われるのか?)
原作の最後を思い出し、男がゆっくりと目を開いた時だった。
「クズ、貴様はこんなところで何をしている?」
男は口を開いたまま絶句する。そこにいたのは
「く、く、く……涅隊長ォォォォォォッッッ!!」
天使ではなく奇怪な顔をした男の上司、涅マユリ本人だった。
「クズ。これからお前を私がさきほど思いついた発明品の実験体になってもらう。グズグズするな!」
そう言ってマユリは男を移動式の牢屋に放り込む。
「痛い!な、何を……!?」
「ワオオオォォォォォォンンンッッッ!!」
二つの首を持つ犬が男を閉じ込めた牢屋を引っ張って空に向かって走り出した。
こうして男は自分を迎えに来てくれた隊長と共に、実験室という名の天国へと旅立っていきました。