天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。


第三十話 路傍石

「ふふふ」

(くろつち)マユリは自室で笑っていた。マッドサイエンティストの手には、石を模した表面を持つ半球型の帽子があった。

「これは路傍石(ろぼういし)。名前の通り被れば路傍の石の如く、周りから一切認識されなくなり、自身の存在を完全に消すことができる。その効果は絶大でどんなにハデに暴れ回っても誰にも気づかれない。 隠密行動をするにはこれ以上ない発明品だ!」

マユリは自らが作った発明品を自画自賛する。

「さて」

マユリは路傍石に何か仕掛けを(ほどこ)すと、路傍石を机の上に置いて部屋を後にした。

 

 

 

数分後。

「涅隊長。少しお聞きしたいことが……あれ?」

マユリにクズと呼ばれている男がマユリの部屋を訪れたのだがあいにく本人は不在だった。

「参ったな。急いで相談したいことだったのだが……ん?なんだこれは?」

男は机の上に置かれた石を模した表面を持つ半球型の帽子を手に取る。

「なんかドラ○もんの石○ろ帽子みたいな道具だな……ちょっと、被ってみようかな」

好奇心に負けて、男はその帽子をかける。その瞬間。

「――――ッ!?」

男は四肢が麻痺して動けなくなり、その場に倒れた。

(こ、この痛み……覚えがあるぞ。これは疋殺地蔵(あしそぎじぞう)の時の痛み!)

男の指摘どおり、マユリは路傍石のロックを外さず被った場合四肢を動けなくするように施していたのだ。

路傍石は、声はもちろん体臭や足跡すら気づかれない。そのため悪用に使えば完全犯罪のし放題であるが、今回のように帽子を外すことが出来なくなった場合は本当に誰からも気づかれなくなってしまう。

(やばい万が一ここで毒ガスでもまかれて死んだら一生誰にも気づかれず野晒しにされ、踏みにじられ……という考えたくもない!)

「そうだ、煙で散布する殺虫剤をまくのを忘れていたヨ」

(「ま、待ってください……涅隊長!」)

路傍石で声が聞こえない状態になっている男の声が届くはずもなく、マユリはマユリ印のバル○ンをいくつも部屋にしかけて部屋を後にする。

マユリ印のバ○サンはジワリジワリと部屋にいるダニなどの動きを止め、緩やかに死へといざなっていく。

虫よりもはるかに大きい=効きが遅い男にとっては真綿で首を絞められるようなものだった。

 

 

 

こうして男はゆっくりと死に、幽世(かくりよ)閉門(へいもん)によって自室で復活するまで、誰一人男の行方を知らずにいた。

もっとも。ちょうど死んでいた期間が男の休みだったため誰も男がいなくなったことに気づかなかったわけだが。

 


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