天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。



第二十六話 変身カメラ

「涅隊長。阿近さんが気になることが――」

「出来た、出来たぞ!」

阿近から指示をあおいでくれと頼まれた男がマユリの元を訪れると、マユリは歓喜の笑いを浮かべていた。そして男はまたまずい所に出くわしたことを悟り、気づかれないように後ずさる。

だが、目の前の悪魔のような上司にはお見通しだった。

「逃げるんじゃないよ!」

振り替えるや否や、ロケットのように発射されたマユリの左腕が男の首を掴む。

「うおぉぇッ!?く、涅隊長……逃げるなんて」

男は左腕を外すと、逃げられなかったという気持ちを隠して冷静を(よそお)う。

「だ、第一……、隊長の実験体になることが唯一の生きがいである僕が、隊長の素晴らしい発明品に立ち会えて喜ばないわけがないじゃないですか」

「……それもそうだな」

マユリは左腕を外し、左腕に注射をして左腕を復元させる。

「では、私の作品の実験体になることが唯一の生きがいであり輝ける人生のクズに、私が華を添えてあげようじゃないか!」

そう言ってマユリは懐から何かを取り出す。それは変わった形をしたカメラだった。

「当ててみろ、と言ったところでクズだと一生かかっても正解は出ないだろうからこの私が説明してやる。これは変身カメラ。文字通り服を瞬時に着せかえさせられるカメラだ。服の写真かデザイン画を本体にセットして、ファインダーに表示されたその服を人物に合わせてシャッターを切ると、着ている服がセットした服のデザインに変化するというわけだ。どうだ、素晴らしい発明品だろう?」

「ああぁ、つまりはドラ○もんのきせかえカ○ラですね――ッ!?」

男が何かを言おうとしたが、言えなかった。何故ならば目が笑っていない笑みを浮かべながらマユリが刀を抜こうとしていたからだ。

()(むし)れ『疋殺(あしそぎ)――」

「い、いいい、いいえ!凄いです凄いです涅隊長!!写真で撮っただけで瞬時に着ている服が変化するなんて僕ら凡人には永久に思いつかない発想を思いつきかつそれを実現してしまうその発想力と実現能力!!これぞまさしく尸魂界(ソウルソサエティ)の百科事典、涅マユリ!!!」

涙目で祈るように賞賛の言葉を贈る男に、マユリは「よく知っているという意味なら分かるが」と呟きながらも満更ではない笑みで刀を元に戻す。

「だがまだ生物にはためしてなくてね。そこでクズ、一枚写真に撮られろ」

そう言ってマユリは男にそのままジッとしているように命令する。男の危険察知能力が警報を鳴らす。絶対写真を撮られるな、と。

しかし。

(着せかえらえるだけだ。予想できる最悪といえばセットされた写真は裸で、そこを女性死神に見つかる……と言った所か。それなら急いで隠れればいい)

考えられる最悪を想定し、それによって被るダメージを割り出した男はカメラの前に立つ。

しかし男は知らなかった。男の中で最悪でも、現実ではそれ以上の最悪があることに。

「じゃあ撮るぞ」

 

パシャ!

 

「ん?」

男は自分の服を見る。

そこには『夜露死苦』や『喧嘩上等』などの刺繍が施された暴走族風ファッションだった。

「な、何だこれは……ウッ!」

男が一瞬気を失う。そして

「なんじゃい!ワレェ、頭カチ割るぞ!!」

完全に暴走族に変貌(へんぼう)した。

しかし粗暴な男になってしまった男は忘れていた。恫喝した相手が

「ほう。お前ごときが、この私の頭を解剖する(カチ割る)と?」

尸魂界屈指のマッドサイテンティスト、涅マユリだということに。

「あ、いや!……あれは……言葉の綾で…………ヒィッ!!」

不気味な笑みを浮かべメスを取り出す奇怪な顔の上司に、先ほどまでの勢いを失った男は恐怖で腰を抜かす。

 

 

 

その後数日間、男の姿を見た者はいなかった。

 




今回の変身ネタは鳥人戦隊ジェットマンの着せた相手を変身させるファッションジゲンという怪人が元ネタです(作中では警備員をギャング、警察官を暴走族。その他忍者などにも変身させました)。


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