天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

今回の話は皆様の涅マユリ像が崩れる可能性があります。そうなった場合先のお詫びもうしあげます。


番外編 涅マユリの敗北

この日。(くろつち)マユリにクズと呼ばれている男、葛原(くずはら)粕人(かすと)はおかしかった。

「クズ。補肉剤の改良をしたいから貯蔵庫から――」

「涅隊長。そうおっしゃると思いこちらに」

そう言って男は補肉剤の原料が入ったビンをマユリに手渡す。

「ほう、今日は準備がいいじゃないか。では早速――」

改良するための実験を始めよう。そう言おうとした時だ。

「涅隊長。差し出がましいことだとは思ったのですが、自分が補肉剤の改良したものをここに」

そう言って男は先ほどとは別のビンをマユリに手渡す。

「僕の計算が正しければ、隊長がいつも使われている補肉剤の数分の一の量で同等の威力を発揮します。そして注射器も小型化させたものがここにあります。そして作る値段もはるかに安価に。これで補肉剤を大量に所持することになると思います」

男はその液体が入った注射器を技術開発局局長である上司に手渡す。

「ほうぅ、クズのお前が、か?」

自分が開発した発明品のモルモットとしか見ていない男の自信満々な顔に、マユリは試すように笑うとわざと傷をつけたラットに男が手渡した改良型を注射した。

そして男の言うとおり、傷だらけのラットはわずかな量の液体で肉が見る見るうちに盛り上がり、ものの数秒で元の姿へと戻っていった。

「……これは」

男が言った言葉通りの結果に、マユリは感心する。

「ほぉ。クズでも数ヶ月研究所にいれば、一つくらい私を唸らせる研究結果が出せる、と言ったところか。数ヶ月でこんな改良品を作るとは……珍しく褒めてやらねばならないな」

「あ、ありがとうございます」

おそらく十二番隊に配属されて始めての上司の言葉に、男は頭をかいて照れる。

そして男は「お言葉ながら」と口を開く。

「ちなみに。その補肉剤の改良する方法を思いついたのはついさっきです」

「……ッ!」

「ちょ、ちょっと……涅隊長!何で刀を抜いているんですか!?」

いつもの自分を斬る笑顔でゆっくりと刀を抜く上司に、男は腰を抜かす。

「私は嘘を言われるのが大嫌いでね。とくにお前みたいな隊の底辺にいるような男が私に嘘をつくなど……」

「い、いえ!本当です!!だって十二番隊(ここ)に来て数ヶ月、ろくに休みがなく部屋と仕事場を行き来していた僕に、研究する時間なんてあるわけないじゃないですか!!」

 

ピタッ!

 

男の発言にマユリの手が止まる。

マユリは男が休みの日でも事あるごとに男を呼び出し実験を行っていた。その休みのなさは労働基準法に完璧にひっかかるほどだ。

男が普段からこのように結果を出していれば、すぐにそれなりの席に抜擢(ばってき)していたはずだ。

「ん?」

技術開発局局長はあることを思い出す。

(そう言えば昨日男に動物変身キャンディというものを作って食べさせて凍えるような寒さの川に叩き落したなぁ。比較的泳ぎが苦手とされるゴリラの形のキャンディを食べさせ実験は成功。その後高熱を出していたな)

「もしや……」

マユリはある考えにいたる。

「クズ。そのままジッとしていろ」

そう言ってマユリは男の額に手を当てて

 

ボォッ!

 

「ギャアッ!?」

灼熱にも匹敵する額の熱で手が引火。急いで水があるところに走り去った。

「おかしな隊長だな」

自分が風邪によるギャグ補正で頭脳が活性化しかつギャグ補正で耐熱化しているに気づかず、男はマユリが散らかした部屋を綺麗に掃除するのであった。

 

 

 

翌日。

バカは風邪をひかないという俗説通りに男は元に戻ったのであった。

 

 




書いた人間が言うのもアレですが。男は何で生きているのでしょうか?

ちなみに今回のオチに使った発火ネタの元ネタは吉田正紀先生の『イフリート〜断罪の炎人〜』に登場する石刀(いわと) ユウです。(人体改造によって感情が高ぶると体温が1000度ほどに上昇してしまう身体にされたキャラクター)

そしてマユリが作った動物変身キャンディの元ネタはドラえもんの動物ドロップです。

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