天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

5 / 192
この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

あと今回登場する発明品は鏡霞水月(きょうかすみすいげつ)です。藍染惣右介(あいぜんそうすけ)の斬魄刀、鏡花水月(きょうかすいげつ)ではありません。


第五話 鏡霞水月(きょうかすみすいげつ)

(くろつち)マユリにクズ呼ばわりされている男はかつて自分が所属していた親しい四番隊の人間と酒を飲んでいた。

「あぁ、何もないって言っても仕事は山積み。休暇なんて(すずめ)の涙。そんな状態で行けるとしたらこうして店で酒を飲むことぐらい。……どうせならどっか遠くに行ってドッ!というような刺激が欲しいぜ」

「ホントホント。俺達いっつも仕事して酒飲むか、家で寝るか、近場で遊ぶか……。その繰り返しだもんなぁ」

「……」

かつての同じ隊にいた二人の愚痴を、男は黙って聞いていた。

 

翌日。

「涅隊長。申し訳ないのですがこちらの書類にサイン……うぉっ!?」

マユリの部屋を訪れた男は目の前の光景に腰を抜かす。なぜならば見慣れたマユリの部屋はまるで毒蛇などの危険生物が生息していそうな密林と化していたからだ。

「おやクズ。どうかしたかね?」

密林の奥からひょこっと見慣れた奇怪な顔の隊長が現れる。そのことに男はホッとため息をついた後尋ねる。

「あ、あのところで、涅隊長……ここは隊長の部屋ですよね?なんでこんな密林に?」

「ああこの風景のことかね?」

「風景?」

男が「どういうことですか?」と聞く前にマユリは机に置かれた鏡に触れる。すると先ほどまで薄暗かった密林はいつものマユリの部屋に戻った。

「狐につままれた、って顔をしているな。まあクズに正解を求めたところで一生かかってもわからんだろうから種明かしをしてやる」

そう言ってマユリは鏡を手に取る。

「これは鏡霞水月(きょうかすみすいげつ)といってな。好きな光だけを集めることが出来、自分の思うような蜃気楼(しんきろう)を生み出すことができる代物だ……何だね、クズ?妙な顔をして」

「い、いえ……」

あ、今日はドラ○もんじゃないんだ。と言えず、男は固まっていた。

「ん?」

男はマユリの言葉を思い出す。

(さっき隊長はこう言っていたよな?『好きな光だけを集めることが出来、自分の思うような蜃気楼を生み出すことができる』って)

男は恐る恐る尋ねる。

「あ、あの……涅隊長。その鏡花水月(きょうかすいげつ)、じゃなかった。鏡霞水月ってさっきの密林以外の風景も出せたりするんですか?」

「ん?まさか……この鏡霞水月がさっきの密林しか風景が出せない……そう言いたいのかぁッ!?」

「ち、違います!そんなことはありません!!涅隊長ともあろうお方がそれしか出来ないなんてあるわけないじゃないですか!!!よ、尸魂界(ソウルソサエティ)(いち)の天才科学者。最強最高の偉人!!!!」

こうして褒めちぎった男は密林以外にも風景は映し出せることの確認と貸してもらえることに成功したのだった。

 

さらに翌日。

「おい。どうしたんだよ突然」

「見せたい物ってなんだよ?」

「まあ見ててよ。これから日常にはない刺激的な光景を見せるから」

マユリから鏡霞水月の使い方を聞いた男は鏡を操作する。

部屋はあっという間に暗くなり、

「ギャアオオオォォォッッッ!!」、「グルルルルッ!!」、「ギギギギガガガッ!!」

「「「ウギャアアアアアアアァァァァァァッッッ!!!!!」」」

異種多様な見る者を恐怖に陥らせるおぞましい容姿の怪獣に三人は囲まれていた。

そして不運なことに鏡霞水月が故障。解除が出来なくなってしまった。

結局三人は鏡霞水月のバッテリーが切れるまで恐怖の光景を見せられることとなった。

 

後に三人はこう言った。

「「「やっぱり普通が一番いい!!!」」」

 




今回の発明品の元ネタは藍染惣右介の斬魄刀、鏡花水月です。

「流水系の斬魄刀で、霧と水流の乱反射により敵を撹乱させ同士討ちにさせる能力を持つ」と偽っていた。→ということは蜃気楼みたいなものか。ということでこの話を思いつきました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。