天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。


登場人物紹介
仏宇野(ふつうの)。葛原粕人の四番隊時代の同僚。『第五話 鏡霞水月』に登場していた同僚の一人。



第二十四話 メスにモテるお守りその2

マユリにクズと呼ばれている男の首には毒々しい赤色のお守りがぶら下がっていた。もちろん彼の趣味ではない。そして基本的に彼は信心深くない(死神が神や仏を信じるのもおかしな話だが)。

そんな彼がなぜそのようなものを首からぶら下げているか。それはマユリに「おい、クズ。このメスにホレるお守りを明日まで身につけていろ」と言われたからだ。お守りを体から離したら最後、爆発して木っ端微塵になる爆弾付きで。

「おそらくこのお守りは前回同様、動物や虫のメスに惚れるような仕組みなのだろう。だが、対応策はある!」

そう言って男はスプレーを取り出す。

「これは以前(くろつち)隊長が作った女嫌香を僕が効果を薄くしたもの。効果は薄いがその分微調節が可能になった。もしメスゴリラだろうが来ようともその時にこの女嫌香を吹きかければ大丈夫。これでメスにホレるお守り対策はバッチリだ!」

ふと男はあることを思い出す。

「あ、しまった。今日は親友の仏宇野(ふつうの)の結婚式だった」

不幸を招く上司に気を使いすぎた男は急いで礼服に着替え花屋に向かった。

 

 

 

一時間後。

花屋に向かった男は親友に渡す花を店員に選んでもらっていた。

「これなんていかがでしょう?」

「ありがとうございます。今日はめでたい日なんですよ。友人が結婚する」

「そうですか、おめでとうございます」

その時だった。

「泥棒ぉッ!!」

声のする方へ振り返ると、そこには女性から財布を盗んだひったくり犯の姿が目に入る。

「待ってぇ!」

男は逃げるひったくり犯を追う。幽世閉門の力で強くなった男は瞬く間にひったくり犯に追いつき財布を奪い返す。

取り返した男は花束を持ったままひったくり犯に背を向けた。

その時だった。

「このぉ、ウオオオオオオォォォォォォッッッ!!」

ひったくり犯の声に男が振り返る。

 

グサッ!

 

「え……」

男は膝から崩れ落ちる。腹部を見るとそこにはメスが深々と腹に突き刺さっていた。見る見るうちに赤いシミが広がっていく。

「あ、ああ、……アアアアアアァァァァァァッッッ!!」

自分が取り返しのつかないことをしたことに気づいたひったくり犯は青ざめた顔でその場から逃げて行った。

 

 

 

「う、ウグッ……ウゥッ!」

式がつつがなく進行していく中、男は刺された所を抑えながら結婚式場へ足を運んでいた。

そして。目の先にあったベンチに寄りかかるように座る。

式場での儀式が終わったのか、会場にいた人々が外に出て花婿を胴上げしていた。

「あ、葛原(くずはら)!」

胴上げから解放された佛宇野と視線が合うと、男は親友に向けて笑顔で手を振った。

「葛原。来てくれたんだな。ありがとう」

そう言って花婿は男の隣に座る。

「あぁ」

花婿は元気のない男の様子に気づく。

「どうした。顔色が悪いぞ。ちょっと待ってろ」

立ち上がろうとする親友を男が袖を掴んで止める。

「……なに、例によって涅隊長にな……」

その理由に納得して座った親友と一緒に顔を上げる。

「空が目に染みるなぁ。綺麗な空だ」

「ああ、俺達が守ってきた……青空だ」

二人は互いに視線を合わせる。二人とも前線とは程遠い後方支援が主だったが、それでも全力を尽くし貢献してきた。その自負が混じりけのない純粋な笑顔を作った。

「ありがとう、仏宇野」

「あぁ!」

「集合写真撮ります!皆さん集まって下さい!!」

カメラ係の号令に男を除く全員が集合写真を撮ろうと集まる。

「あれ、葛原くんは?」

花嫁の言葉に、仏宇野が男の方へ視線を向ける。

「疲れているみたいだな、そっとしておいてやろう」

男は刺された所を気づかれないように、さりげなく抑えながら笑顔で手を振ってこたえる。

「はい、撮りますよ!」

 

カシャ!

 

幸せそうに写真に写る皆の姿を見届けると、男は腹部に刺さるメスを見ながら呟いた。

「メスって、刃物の方の、メス……かよ…………」

苦笑した葛原(くずはら)粕人(かすと)はそう呟き……

 

 

「――――」

 

 

静かに目を閉じた。

 

 

 




もうすでに分かっている方はいらっしゃるとは思いますが。本作の元ネタは鳥人戦隊ジェットマンの最終回のシーンです。

映像から文章化の難しさを感じました。

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