天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。


第二十二話 メスにモテるお守り

マユリの部屋。

いつものように男は上司である(くろつち)マユリに呼び出されていた。

「クズ、これをお前にプレゼントしてやろう」

「へぇ、何を頂けるのでしょうか!」

警戒心を全開にさせながらマユリにクズと呼ばれている男はそんな様子を少しも出さず笑顔で対応する。

「これだ」

マユリは懐から何かを取り出し男に手渡す。

男は手の中の物を見る。それは不気味なほど毒々(どくどく)しい緑色と紫色で構成されたお守りだった。

「それはメスにモテるお守りだ。文字通りメスにモテまくるお守りだ」

「……」

男は渡されたお守りをジッと見たまま動かない。

「何だ?嬉しくないのか?」

「え、いえ……涅隊長。彼女のいない僕のためにこのようなものを作っていただき本当にありがとうございます!」

不審がられるのを誤魔化(ごまか)すようにそう言うと。男はマユリの部屋を後にした。

 

 

 

「う~ん」

男はお守りを入念に上下左右と調べていた。しかし調べても調べてもおかしいところは見当たらない。

男はお守りをジッと見る。

「もし僕が涅隊長という人物を知らなかったら、その場で小躍りしているんだろうな」

しかし涅マユリの好意には基本的に裏があることを、男の経験から理解している。ゆえに何かあると思って入念に調べてみたものの怪しいところは何一つ見当たらなかった。()いて言えばお守りのあまりにも毒々しい色だけ。

「考えすぎなのかな」

調べ疲れて男がウトウトと頭が船を()ぎ出した時だった。

 

ブーン!

パンッ!

 

男は叩いた(てのひら)を見る。そこには自分の血を吸ったばかりの蚊が潰れていた。掌に蚊が吸った自分の血が平がる。

自分の掌を見ながら男は(つぶや)く。

「もう肌寒くなってきたというのにまだ蚊がいるんだな。蚊取り線香出そうかな?……いや、もう時期が時期だしたまたま季節はずれの蚊がここに来ただけだろう」

時計を見るともう日付が変わっていた。

「いけないな。もう寝ないと」

そういうと男は床につく。

 

ブーン!

「……」

ブーンブーン!

「…………」

ブーンブーンブーン!

「………………ッ!」

 

ブチッ!

部屋を飛び交う蚊の大群に男がキレた。

「ゆっくり寝させろや!蚊の分際で!!」

怒りで我を無くした男は蚊取り線香をつけるという選択肢を忘れて飛び回る蚊を追い回す。

こうして男は一晩中部屋を飛ぶ蚊の駆除に追われて寝ることが出来ず、仕事に支障が出たのは言うまでもない。

 

 

 

 

「最後に涅マユリが教える雑学だよ。蚊は人や動物から血を吸う虫だ。通常の餌は、植物の蜜や果汁などの糖分を含む液体だ。だがメスは卵を発達させるために必要なタンパク質を得るために吸血をするんだ。血を吸うのはメスだけというのはちょっと驚きだね。聡明な読者諸君はなぜ私がクズにあのお守りを渡したかもう気づいているんじゃないかな?ではごきげんよう」

 




蚊取り線香たいてねればいいのでは。というご意見を頂いたので『怒りで我を無くした男は蚊取り線香をつけるという選択肢を忘れて飛び回る蚊を追い回す。』という文を付け足しました。

上記のような疑問を持たれた方には大変申し訳なく思っております。この場を借りてお詫びいたします。

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