本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
今回の話は皆様の感想を見て『男がマユリを倒せるのか?』と考えたのがきっかけです。
皆様のマユリ像が壊れなければ幸いです。
瀞霊廷某所。
マユリにクズと呼ばれている男は上司である
『クズ。私に刃向う割には随分と臆病じゃないか。そんな距離からではお前は攻撃できまい。それともお前は私が怖いのかい?』
『怖い?えぇ、怖いですけどね』
男はあっさり認める。
『涅隊長と僕の実力の差は歴然。隊長の間合いに入ったら最後、超人薬や思考を停止させる薬をいつの間にか投与させられたり、疋殺地蔵で四肢を封じられたり色々されますからね』
『だったらさっさと降伏したらどうかね?まぁ、私に刃向った時点でお前が八つ裂きに終わるのは目に見えてはいるが』
獲物を狩る満面の笑みを浮かべるマユリに対して、男は冷や汗を流しながら少しだけ微笑む。
『
そう言って男は刀を抜いて頭上に
『涅隊長。僕がさっきまで逃げていたのは隊長の攻撃範囲がどれほどのものかの最終チェック。そして、その攻撃範囲外ギリギリから隊長を仕留める殺害距離がどこなのか。それを調べていたのですよ』
冷や汗を流しながら話す男に、マユリは楽しそうに笑う。
『ほう、お前が。クズのお前が……この私を殺す?大きく出たものだな』
笑顔の裏にマグマのように怒りが沸き立っていることを知りながら、男ははっきりと言い放つ。
『では隊長。この僕、
男がそう言うと頭上に掲げられていた斬魄刀は男の手から離れてみるみる内に上昇していき、止まる。
そして刀が重々しい城門のような形に変化した。
『!?』
その門に危険を察知したマユリは背を向けて逃げようとする。
『隊長、ムダですよ』
男の言葉が引き金になったのか、重々しい黒い城門は一気に左右に開く。開かれた城門は周囲の物を飲み込み始めた。
『なっ!?』
マユリは自身の斬魄刀を地面に突き刺して踏ん張ろうとする。しかし城門の吸引力は少しずつマユリの身体を引っ張っていく。
『無駄ですよ。隊長。幽世開門は周囲の物を全て吸い込むだけの力があります。そして吸い込まれたら最後、死の世界である幽世に連れて行かれ二度と生きて戻ることはできない』
『お、おの……れ、クズの、分際……でぇ……ッ!?』
もはや憎まれ口を叩く余裕もないほど、奇怪な顔の隊長は追い詰められていた。深々と刺したはずの斬魄刀は今にも抜けそうなほどグラグラしており黒い城門に吸い込まれるのは時間の問題だった。
「わ、わかった……私の負けだ!だから、もう止めろ!」
「騙されませんよ、隊長。僕が隊長を倒す方法はただ一つ。隊長が知らない強力な技で倒す。それしかないのですよ。隊長ほどの頭脳を持つ者なら対処法を考え付くでしょうから」
男に考えを見透かされたマユリは苦虫を潰したような顔で男を睨みつける。
『うぅ、うぅ……も、もう駄目だ……アアアアアアァァァァァァッッッ!!』
そして遂に。刀は地面から完全に抜け、涅マユリは斬魄刀の疋殺地蔵ごと幽世の門に吸い込まれていく。
『バカな、この私が……この、私がアアアアアアァァァァァァッッッ…………!!!!――――』
涅マユリを完全に吸い込むと黒い城門は門を閉め、元の刀に戻って男の手に戻った。
『お別れです、涅隊長』
そう言って男は愛刀・
……
…………
………………
「ってなんでやねん!!」
男は関西弁で突っ込みながら布団からバッと起き上がった。そして頭を抑える。
「確かに僕は隊長を殺したいと思ったことは何度もあったさ。でも……」
(涅隊長は性格はアレだけど実力もあり、頭もよく……やり方こそまあ、褒められたものではないけれど。護廷十三隊のことを考えている素晴らしい方だ。……そう、僕に生きる道を示してくれた
「はい」
「あ、どうも」
突然横から水の入った水筒を渡され受け取った男は一気に飲み干す。
「ふぅ~美味しかっ……たあぁっ!?」
男が驚愕の表情を浮かべて布団から飛び出る。なぜならば、水を渡した人が先ほど夢で殺した人物、涅マユリその人だったからだ。
「面白いことを言っていたね、クズ。
不気味な笑みを浮かべながら間合いを詰める上司に、男は大量の汗を流しながら「あはは」と笑うしか出来ない。
「では、どのように私を殺したか私の部屋でもう一度聞こうじゃないか……
ドス黒いオーラを漂わせながら満面の笑みでそう男に言うマユリ。
それから一週間。男の姿を見た者は誰もいなかった。