本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
あと今回の話は極力抑えてはいますが、悪趣味です。もう一度言います、悪趣味です。
研究所にマユリにクズと呼ばれている男が転がるように入ってきた。
「す、すいません。遅れました!」
「遅れたですむか!仕事を何だと思っている、このクズが!!」
男が研究所に入るなり、研究所の全責任者・
「決められた時間内に決まった人材がいない。それは周りの手順をも狂わし終いには全体を狂わしかねない。例え簡単な雑務しか任されていないクズでも、いや……お前のような単純な仕事しか任されていない者だからこそ、時間を守るくらいはきちんとしろ!」
「は、はい!申し訳ありません!!」
頭を下げて謝る男に、マユリはすぐに仕事に就くように指示した。
「はぁ。何とか終わったかぁ~」
任された仕事は何とか終わらせたものの、マユリに叱られたことを未だに引きずっている男は大きくため息をついた。
「あんなに怒らなくたっていいのに。って、まぁ遅刻をした僕が悪いんだし。涅隊長の言うことはもっともだ。だけどなぁ」
自分が悪いと分かっている男だったが、心では消化し切れていない。
ポンッ。
「どうした、クズ?
「く、涅隊長!?」
独り言を言っていて周りに注意が向けていなかった男にとって、突然のマユリの出現は心臓が口から飛び出るほどの衝撃だった。
「あ、あの……涅隊長。ど、どうしたので?」
男は冷静を
「……」
尋ねられたにも関わらず、マユリは視線を下におろして話そうともしない。
悲しい表情を浮かべる上司に、男は心配そうに尋ねる。
「……あ、あの。涅隊長?」
「お前は一生懸命やってくれているのになぁ……」
「え?」
男は思わず固まる。目の前の上司は男が十二番隊に配属されてから一度も褒めたことはない。少なくとも本人は褒められた記憶がない。能力はあるものの性格にムラがある涅マユリが男を評価するなど、ありえないことだった。
そんなどう動けばいいのか戸惑っている男に、マユリは続ける。
「それなのに、私はちょっと遅刻しただけの部下のミスを許せず怒鳴り散らすという愚行……あぁ、恥ずかしいことこの上ない!」
奇怪な顔の隊長は頭を抑えて自分がやった行為を嘆く。
「……ッ!?」
男は完全に言葉を失った。
(これは、何だ?隊長は何か怪しい物でも食べたのか?それとも風邪か何かか?……ハッ!もしかして、今日は地球最後の日なのか!?)
パニックになる男にマユリは懐からある物を手渡す。それは目覚まし時計と言ったらこのタイプだろう!という鐘がついた目覚まし時計だった。
「これをプレゼントしてやろう。この目覚まし時計は渡し自らが作ったものだ。これならきっと起きれるはずだ」
「は、はぁ……ありがとうございます」
「じゃ、明日は遅刻するなよ。まぁ、その目覚まし時計を使えば遅刻をするなどありえないことだが」
そう言うと、マユリは男の前から姿を消した。
「……」
男も目覚まし時計をくまなく観察した後、研究所を後にした。
「う~ん」
自室に戻った男はマユリからプレゼントされた目覚まし時計を調べていた。
「怪しいところはないなぁ」
男は汗をぬぐって机の上に目覚まし時計を置く。
「隊長が善意で
男はマユリのある言葉が引っかかっていた。
『じゃ、明日は遅刻するなよ。まぁ、その目覚まし時計を使えば遅刻をするなどありえないことだが』
「なぜこの目覚まし時計を使えば遅刻することなどありえないか、だ」
何かをするとき、決まって裏があることを知っている男はあれこれ想像する。
「絶対に目を覚ますとしたら、爆発?しかし火薬な霊力など爆発する要素はこの目覚まし時計には見つからなかった。だったら大音量?しかし僕が使っている目覚まし時計も結構音量はある。なのに『ありえない』と言うのだから絶対に何かあるはず!」
その後男はくまなく目覚まし時計を調べたが何も見つからず、調べ疲れて机に頭をおいて寝てしまった。
そして、その時がやってきた。
ふぬぉおおおおおおおお!!ふぬぉおおおおおおおお!!ふぬぉおおおおおおおお!!ふぬぉおおおおおおおお!!ふぬぉおおおおおおおお!!ふぬぉおおおおおおおお!!ふぬぉおおおおおおおお!!
むさくるしいボディビルダーの掛け声のような声が目覚まし時計から大音量で発せられる。
「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
しかも運悪く、男は目覚まし時計を置いた机で寝ていた。むさくるしい男の声がダイレクトで耳に届く。
「うぎゃああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!」
男は慌てて目覚まし時計のスイッチを切った。
「こ、こんなの聞かされたら誰だって起きるわ!!」
(やはりあの人が何の意味もなく善意で人に物を渡すわけがない!そのことに気づかないとは、不覚だった!!)
翌日。
目覚まし時計の大音量は他の者の耳にも届き、男が自室で筋肉隆々の男といかがわしい行為をしていたという噂が立てられた。