天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

作品内の元ネタが後書きにあります。
元ネタが全て分かった人は凄いです。


第十六話 仮想空間潜入機

マユリにクズと呼ばれている男はマユリの部屋にいた。

「あの、(くろつち)隊長。どうかされましたか?」

「……」

目の前の上司はふぅ~と息を吐いてしゃべろうとしない。

「あ、あの……。涅隊長?」

「お前。強くなるつもりはないか?」

「え?」

男は上司の意図が分からなかった。

「強くなりたいのか、なりたくないのか?どっちだ!?」

「そ、そりゃあ強くなりたいですよ!」

「そうか、ではこれで強い者と戦って己を鍛えるといい」

そう言ってマユリはCD型のゲーム機を取り出す。

「これはゲームの中に入って対戦することが出来る機械、その名前も仮想空間潜入機。これで『BLEACH』のゲーム中に飛び込んでその中に登場する人物と戦って己を鍛えるといい」

「はぁ、ところで涅隊長」

男は恐る恐る尋ねる。

「……これを使っている最中、ゲーム内で死んだらゲーム内から出て来られない、ということはないですよね?あと仮想空間潜入機を使っている最中にスイッチ切られたらゲーム内から出られない、ということも」

「なんか言ったか?」

大きく目を見開く上司。その怒りの表情は「私がそのようなミスをすると思っているのか?」と書かれてあった。

「あ、いえ……何でもないです」

マユリの怒りを察して男はあっさり引き下がる。

「おお、そうだ」

マユリは男にゲーム機を手渡すと思い出したのか、再び口を開く。

「いいか、クズ。それはBLEACH専用の体験機だ。BLEACH以外のゲームをするなよ!それ以外のゲームをするとゲーム機が拒絶反応を起こすからな」

「きょ、拒絶反応!?」

そんな危険な物を渡すなよ!と突っ込むのを慌てて口を塞いで止める男。

それに気づいていないのか、マユリは続ける。

「いいか、絶対に別のゲームを入れるんじゃないぞ!絶対に、絶対にだぞ!!」

「わ!わかりました!!」

奇怪な顔の上司のドアップに、男はたじろくしかなかった。

 

 

 

部屋に帰った男は渡されたゲーム機をセットする。

「涅隊長がBLEACH以外のゲームするなって言っていたな……って言われると確かめたくなるのが人の情、ってやつでしょ」

男の顔が邪悪にゆがむ。

「ここに『女子高生極楽大作戦』というゲームがある。これは総勢48人のの女子高生を攻略してエロエロなことをさせるという最大49Pも可能なエロゲー!これでゲーム内の女性全員にいやらしいことをして男の夢、大ハーレム天国を築いてやる!!」

男は己の野望という名の欲望を掲げ、『女子高生極楽大作戦』をセットした。

 

 

 

「ん?」

男は目を覚ます。

そこは見覚えのない不気味な雰囲気が漂う洋館。すぐ傍には。

シャアアアァァァ!ウガアアアァァァ!

大量のゾンビに囲まれていた。

「ぎゃあああぁぁぁっっっ!バイ○ハザード!!」

その後その場にいたゾンビを何とか蹴散らし、洋館を脱出した男だったが。

その後男を待ち受けていたのが、地獄だった。

洋館を脱出したと思ったら別の洋館に連れて来られ巨大なハサミを持った少年に追い掛け回される。

ハサミを持った少年を命からがら撃退したかと思いきや、次はボロボロの校舎に飛ばされ、赤い服を着た不気味な少女に、熱した油をかけられそうになるなどおぞましい方法で殺されかけた。

それが終わったかと思ったら今度は雪が吹き荒れるペンション内で行われる惨劇に巻き込まれた。

「ひぃ、ひぃ、ひぃ……」

ゲーム内で何度も殺され、何度も生き返りゲーム内の敵を撃退、謎解きを行いながら男はゲーム内を彷徨(さまよ)う。

そして。

「あぁ!」

男がペンションに来た犯人を捕まえ、外に出た時。『出口』と書かれた空間が出現した。

「やったぁ!これで帰れる!!」

男は迷わず出口と書かれた空間に飛び込んだ。するとそこは瀞霊廷の街中だった。

「やったぁ!元に戻ってこれた!!」

男が感情のまま喜びを表現する。その時だった。

 

 

『残念。外れだよ』

 

「え?」

聞き覚えのある、否。忘れようとも忘れられないこの事件の張本人、涅マユリの声だった。

男の目の前にはマユリの卍解、金色疋殺地蔵(こんじきあしそぎじぞう)がいた。

男の頭の中にミッションが浮かび上がる。そのミッションに男は固まる。

それは『複数の金色疋殺地蔵から一時間生き延びろ』というものだった。

「ふ、複数!?」

男は周囲を見る。そこには毒を撒き散らし、建物を壊しながら自分の方へやってくる金色疋殺地蔵たちの姿があった。

「ウワアアアァァァァァァッッッ!!」

脳内のミッションを達成するためではなく、男はただ単純に命惜しさに逃走を開始した。しかし毒を撒き散らしかつ建物を壊すことに躊躇がない金色疋殺地蔵に、男が逃れられるわけがなく何度も何度も殺されていった。

 

 

 

男はゲーム内で数え切れないほど殺され、やっとの思いで生還した。

その後男は数日の間エロゲーが出来なくなったのは言うまでもない。




元ネタです。

・女子高生極楽大作戦
→『名探偵コナン』、『闇の男爵(ナイトバロン)殺人事件』に登場した金城(かねしろ)玄一郎(げんいちろう)が作っていたソフトの名前。

・攻略対象が48人。
→AKB48。

・巨大なハサミを持った少年
→『クロックタワー』のシザーマン。
狡猾(こうかつ)で殺害方法も多彩。様々な方法でプレイヤーを恐怖のどん底に突き落としてくる恐怖の殺人鬼。

・赤い服を着た少女
→『コープスパーティー』の篠崎(しのざき)サチコ。
とある事件で死亡&生きた人間を妬むようになり、異界に連れてこられた人間を残忍な方法で殺していく。

・ペンション内で行われる惨劇
→『かまいたちの夜』。
サウンドノベルというジャンルを確立させたサスペンスホラーゲーム。

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