本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
注意。この話に登場する卯ノ花烈の考えはあくまで筆先文十郎版のものです。読者の皆様の卯ノ花隊長像が崩れる可能性はあるかもしれません。そうなった場合は先にお詫びの言葉を述べさせていただきます。
数ヶ月前。四番隊隊長、
「……」
「……」
マユリにクズ呼ばわりされることになる男の目の前には上司である卯ノ花烈がいた。
「考えはまとまりましたか?」
「……」
優しく問いかける女上司に、男は口を閉ざしたままだった。そして、ゆっくりと口を開く。
「四番隊から十二番隊に異動する、という件ですよね?やっぱり僕は不要ですか?」
今にも消え入りそうな男の言葉に、女上司ははっきりと言った。
「貴方は人一倍努力をされています。そこは誰もが認めるところではあります。しかし残念ながらここで貴方がいくら努力しても隊の足手まといにならない程度。そう評価せざる得ません」
「こ、これまで以上に努力します!ですから――」
「
口調こそは丁寧なものの、威圧感がにじみ出る女上司の言葉に、男は言いかけた言葉をとめるしかなかった。
「努力を
「……」
「葛原さん。貴方は努力家です。それは私を含め隊の皆が認めているところです。しかし貴方はその努力に比例するだけの仕事ができているとは言い
「で、でも!」
尊敬する女上司の言葉は痛いほど理解できた。そして自分を思ってあえて厳しい言葉を投げつけていることも。それでも男は言わずにはいられなかった。
「でも僕はそれでも、卯ノ花隊長の下で働きたいんです!卯ノ花隊長のように、…多くの人の役に立てる人に、僕はなりたいんです!ですから、僕をここに……四番隊に置かせてください!」
男は涙を滝のように流し頭を下げる。それでも尊敬する上司は厳しく言う。
「結果の伴わない努力はただの自己満足です。そして貴方は努力に見合うだけの結果を出せていない。結果を出せない者は不要と言われても仕方がない。それが現実です」
「……ッ!」
尊敬する上司にはっきりと向いていないと言われ、男はショックで顔を上げることができなかった。
そんな男に卯ノ花烈はそっと肩に手を置く。
「貴方はさっき言いましたよね。私のように誰かの役に立てる人に、と。私の見立てでは貴方は十二番隊でこそ輝けると私は見ています。貴方は努力家です。そして十二番隊という特殊な環境でこそ貴方が輝ける、『誰かの役に立てる才能』があります」
「十二番隊で、『誰かの役に立てる才能』……ですか?」
そう尋ねる男に女上司は「はい」と笑顔で答える。そして続ける。
「葛原さん。これだけは忘れないで下さい。貴方は四番隊に向いていないから十二番隊に異動になるのではなく、十二番隊で貴方の才能と努力が人のためになるからこそ十二番隊に異動になるのだと。そして、十二番隊に必要な存在になるだけの力を持っていると私が確信を持っていることを」
「……ッ!」
男は何も言えなかった。それは悔しさではなく、嬉しさからだった。
尊敬する隊長が自分を
卯ノ花隊長がここまで自分を評価して下さっているのに自分がそれに応えなくてどうする!
そう考えた男は四番隊への未練を断ち切り、十二番隊への異動を素直に受け止めた。
その後十二番隊で隊長の
皆様の卯ノ花隊長像が崩れなければ幸いです。