天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

あと今回化学式が登場します。一応は調べて書きましたが自信がありません。間違っていましたら「この式じゃ○○は作れないぞ」、「これだと別のものができるぞ」というのを言って頂けると幸いです。


第十三話 自動料理製造機

マユリにクズと呼ばれている男はマユリに呼び出されていた。

「あ、あの……涅隊長?」

男の前にはピンク色のテーブル掛けがあった。

「はぁ……お前は私の隊に配属されて何ヶ月になるんだ?いいかげん私の素晴らしい作品に気づくくらいしたらどうだい?」

無茶な要求を平気でいう上司に、男はすみませんとしか言えない。

「時間もないからさっさと行くよ。一見ただのテーブル掛けに見えるがこれは自動料理製造機。この機械をテーブルなどの平らな場所に敷いて食べたい料理を言うとその料理が出てくるという画期的な発明品だ!」

「へぇ。ドラ○もんのグルメテーブル○けですね――ッ!!」

男は慌てて口を押さえるが、遅かった。何故ならば目が笑っていない笑みを浮かべながらマユリが刀を抜こうとしていたからだ。

()(むし)れ『疋殺(あしそぎ)――」

「い、いいい、いいえ!何でもありません涅隊長!!注文するだけで料理が出てくるなんて僕ら凡人には永久に思いつかない発想を思いつきかつそれを実現してしまうその発想力と実現能力!!流石は涅隊長です。これぞまさしく尸魂界(ソウルソサエティ)のティロ・フィナーレ、涅マユリ!!!」

必死に頭を働かせて涙を流しながら賞賛の言葉を贈る男に、マユリは「ティロ・フィナーレという言葉を知っているのか?」と言いつつも不満ではない笑みを浮かべて刀を元に戻す。

「じゃあ早速試してみますね。カツ丼!」

しかし待てども待てども目の前のテーブル掛けからカツ丼が出てくる気配はない。

「あぁ。この自動料理製造機はまだ未完成でね。私が作った料理のコピーしか出せないのだ」

「何を作られたのです?」

「他の肉じゃがが食べられなくなるほど舌もとろける肉じゃがとカルパッチョだ」

何でその二つ何ですか。と顔には出さず「へぇ、隊長が作られた料理のコピーですか。楽しみです」と笑顔で答える。

(嫌な予感しかしない)

男の危険察知能力が「今までの流れから絶対注文してはならない」と(ささや)く。

そこで男は苦しい言い訳をすることにした。

「あ、そういえば涅隊長。僕、さっきごはんを食べたばかりでお腹が――」

その直後、口の中に何かを入れられ男は思わず飲み込んでしまう。その瞬間。

 

 

キュル~、グー!

 

 

空腹でお腹が鳴り続ける。

「た、隊長。今さっきのは?」

「強力な消化剤だよ。これでお腹がすいただろ?」

目の前の上司の言うとおりだった。一気に極限の空腹になった男に、注文をしないという選択肢はなくなっていた。

(し、仕方がない。注文しよう。なに、どうせ嫌な予感というのはめちゃくちゃ不味いとかいう感じなはず。そんなの、気合で乗り切ってみせる!!)

覚悟を決めた男は大きな声で「肉じゃがとカルパッチョ!」と注文する。

目の前のテーブル掛けから浮き出るように艶やかな色をした肉じゃがとカルパッチョが現れた。

男は渡された箸を持ち「頂きます!」と口に放り込み、言葉が出ないほどの激痛が口の中で走った。

(なんだ、この料理は!?美味しいとか不味いとかいう次元ではなく、死ぬ!!不味すぎて死ぬとかじゃなくて科学的な何かで、死ぬ!!)

科学的な何か。その答えは間違っていなかった。

目の前のマッドサイエンティストは楽しそうに説明する。

「どうだい、美味いかね?その肉じゃがには隠し味に、濃硫酸を加えたんだ。それにより じゃが芋に含まれるデンプンと濃硫酸が加水分解を起こして単糖類になるので甘味が増します。その後クロロ酢酸を加えてサッパリした酸味を演出。この時一緒に防腐剤として、硝酸カリウムも入れることで美味しさが長持ちする食欲をそそり食べる者の気持ちを考えた私らしい料理だ」

その説明に男は絶句した。

(塩酸に硝酸を加えたら王水!金やプラチナをも溶かすことができる有毒な物を何料理に入れとんのじゃ!!)

口の中を溶かす強力な溶解液に苦しむ男に、マユリは悪魔の料理の解説を続ける。

「ちなみに、こちらのカルパッチョには酸味と塩味と独特のにおいを求めてソースを特別仕様にしているよ。材料を式で表すとCH3 COOHにH C Nだ」

その言葉だけで男は死にそうになった。

(それはやり方次第では塩酸と青酸ソーダが出来るぞ!大量殺人を目論んでいるのか、この人は!!)

「うん?箸が止まっているぞ?私の料理はそんなに美味しくないかい?」

邪悪な笑みで尋ねる上司に、男は首を素早く横に振ると一気に肉じゃがとカルパッチョを腹の中に収めた。

 

 

 

数時間後。男が自室で冷たくなっているのが発見された。

 




今回の料理は『バカとテストと召還獣』のヒロイン、姫路瑞希の女子ごはんを参考に作りました。
間違ってもこのような肉じゃがとカルパッチョを作らないで下さい。

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