生前は葛原村という地方の小さな村で農耕に従事。江戸時代末期に死亡。その後西
数十年前。死神・隠密機動・鬼道衆と戦いに特化した者を養成する教育機関、
その仕事ぶりから当時四番隊隊長だった
尊敬する卯ノ花裂が更木剣八に剣術を教え死亡したと聞いた後、彼女の仇を討つため行動を起こすが更木の口から語られた卯ノ花の最期を知り刀を納める。
その後更木剣八に群がる敵の情報を集める監視役を直訴。マユリから許可を得るとVの聖文字を持つグレミィ・トゥミューとの交戦を安全な距離から観察し更木剣八の勝利を見届ける。その後強襲したバンビーズから負傷した剣八を救う時間稼ぎとしてバンビーズを挑発。涅マユリが開発した秘密道具を使わずバンビーズを翻弄するが力及ばず愛刀・幽世閉門を破壊され、Tの聖文字を持つキャンディス・キャットニップの
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更木剣八とグレミィ・トゥミューが戦った場所付近。
「はあっ……相変わらずヒドいもんだ」
死神と
「
脳内に浮かぶ仕事で目を回らせる親友の姿を想像した後に、仏宇野は目の前の光景に視線を移す。
見えざる帝国の強襲により多くの建物は損壊、多数の隊員が犠牲となった。負傷者の治療、行方不明者の捜索、遺体回収などやることは山のようにあったため粕人と連絡が取れずにいた。
(俺がこんな状態じゃあ、馬車馬のように働かされているあいつは過労死しているのかもしれないな。まぁ、幽世閉門がある限り死ぬことはないんだけどな)
親友が寝る時間はおろか食事の時間も与えられずに仕事をやり続けた結果、吐血し死亡する姿に苦笑を浮かべた仏宇野が「さてと……」と仕事を再開しようとした時だった。
「え?」
仏宇野は何かを見つけ、動揺する。彼の視線の先にあるのは折れた斬魄刀だった。
多くの隊員が死亡した今、彼らが所有していた斬魄刀も至る所で発見された。その中には形の良い状態もあれば原型を留めていないものもあった。故に普通なら折れた斬魄刀を目にしても動揺することはなかった。
動揺したのには理由があった。視線の先にある折れた斬魄刀が先ほどまで想像していた親友、葛原粕人が所有する斬魄刀・幽世閉門と酷似していたからだ。
「嘘だろ? え、嘘だろ!?」
仏宇野は慌てて折れた斬魄刀に駆け寄り拾い上げる。見つけてしまった折れた斬魄刀が親友である粕人の斬魄刀であることを否定するために。
「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!」
震える身体で仏宇野は色々な角度から折れた斬魄刀を観察する。
この折れた斬魄刀は親友である葛原粕人の斬魄刀ではない。
その淡い希望は穴が開くほどの観察によって打ち砕かれた。
「……何で、何で……何で何で何で!!」
仏宇野は折れた斬魄刀を強く握りしめて叫んだ。
「……何でここに
答えは一つだった。ここで粕人は戦死した。そしてそれは斬魄刀が無事な限り何度でも復活する幽世閉門が破壊されて、粕人が二度と生き返ってこないことを意味していた。
「違う……違う違う違う!! う、嘘だ!! こんなの……こんなの…………うわああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
親友の死を受け入れることが出来ず、周囲に仲間がいることも忘れて仏宇野はその場に崩れ落ちた。
この様子を見た妻、
自室に戻った仏宇野に待っていたのは、強烈な自己嫌悪と後悔だった。
「俺が、俺が……もっと強ければ!!」
涙と鼻水まみれの顔で折れた斬魄刀を握りしめる。
当時四番隊は
それでも仏宇野は自己嫌悪と後悔に苦しんだ。救護を主任務とする自分に、親友を救うために戦う選択肢がなかったとしても。
一通り泣き、顔にへばりついた涙と鼻水を拭った後。仏宇野は折れた斬魄刀を目の前に掲げた。
「葛原。俺、誓うよ。……俺は、俺はもっと強くなる!! 音芽や両親、大切な仲間……失いたくないものを守るために!!」
普段のスケベで仕事をサボるお荷物を演じていた仏宇野段士の顔を捨て、どんな困難な任務も遂行する
そして葛原粕人が復活する一年後。どんなに才能があるものでも十年以上の歳月が必要とされる卍解を会得するのであった。
今回のシリアス回。前話を見るとギャグ回にしか見えない。