天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。

今回は残酷な描写があります。苦手な方は読まないほうがいいかもしれません。


涅マユリは阿近に心霊写真を見せるようです

 深夜。他の局員たちが夜食のため食堂に行っている間、阿近(あこん)は上司である(くろつち)マユリと二人きりで異常がないか計器を見ていた。

「阿近」

「どうしました、局長?」

「暇ではないかネ?」

「……まぁ、そうですね」

(暇ということは異常がないというわけで俺にとっては好ましい状況ですけど)

 そう言うと上司の機嫌を損ねるかもしれないと思った阿近は当り障りのない返答で相槌を打つ。

「そうだろう、そうだろう……」

 グフフと奇妙な笑みを浮かべながらマユリは懐からマユリ自身が技術の粋を集めて作った特製のデジタルカメラを取り出す。

「せっかくの夜、そして眠気覚ましに恐怖の心霊を見せてやろう!」

「う……」

 涎を垂らしながら浮かべる恐ろしい笑みに阿近は言葉を詰まらせる。

「まずは『涙の亡霊』。これを見てもらおうかネ」

「な、涙の亡霊?」

 汗を垂らす阿近をマユリはデジカメでその写真を探しながらその時の状況を説明し始める。

「あの日、私が書類作成をしていると後ろからクズが『あ、隊長。そこ字が間違えていますよ』と口を出してきてだネ。あまりにもムカついてだね。クズを死神をも粉砕する大型粉砕機に放りこんだ時だ。その時私はなんとなく写真を撮ったんだ」

 お、これだ。とマユリは阿近に映像を見せる。横から見る阿近の表情が固まる。

「そう、写っていたのだヨ。部屋の隅、絶対に写るはずのない涙を流す顔のようなものが!」

「うっ!」

 マユリの言う通り写真の隅には涙を流す人の顔のようなものが写っていた。しかしそれ以上に阿近が気になったのは。足を粉砕され「うわあああぁぁぁっっっ!!!!」という声が写真から聞こえそうなほど苦しみ泣き叫ぶ部下、葛原(くずはら)粕人(かすと)の姿だった。

「この亡霊。一体何があって泣いてみるのだろうか……」

「……」

 阿近は言いたかった。泣いているのは葛原(こっち)だと。

「では次だ」

 そう言ってマユリは次に見せたい画像を探す。

「次に見せたいのは私がクズに眠気覚ましにおしぼりを頼んだ時のことだ。私が30秒後に60度のおしぼりを、大量の仕事を抱えたクズに頼んだ。そして、あのクズは私の言いつけを守らず31秒後に61度のおしぼりを私に手渡してきたのだ。あまりの仕事のできなさに私は腹を立ててな。クズをいざという時の証拠隠滅に使う溶解液をぶっかけた時だ。……そうこれだ!」

 提示した画像を見て阿近は再び固まる。そこには黒いフードをかぶり鎌を持った骸骨、その足元で今にも溶けていく葛原粕人の姿があった。

「恐ろしいと思わないか、この謎の骸骨!? まるで現世の奴らが思い描く死神のような!!」

(いや、確かに恐ろしいですけど。それより恐ろしいのは生きたまま溶かされる葛原とそんなことをする局長ですって!!)

「最後に見せたいのはこれだ」

「う……!!」

 画像を見せられ、阿近は固まる。

「これはあまりにも暇だったからクズを猛火の上に多量の油を塗った銅製の丸太を渡し、その熱された丸太のうえを裸足で渡らせた時のものだ。どうだ、わかるか?」

 マユリは画像を指さす。そこに写っていたのは恐怖で顔を歪める人の顔のように見える炎、そして。

 

『熱い、熱い! 誰か助けて……うぎゃああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!』

 

 写真からそのような悲痛な叫びが聞こえそうなほど、猛火に耐え切れず燃え盛る炎の海に落ちていく粕人の姿があった。

 




世間はもう冬なのにこの小説は未だに夏……。

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