天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。

今回は残酷な描写があります。苦手な方は読まないほうがいいかもしれません。


親切

 葛原(くずはら)粕人(かすと)の部屋。

 十二番隊二十席で技術開発局では責任だけ負わされ権限のない雑用の総責任者、そして(ネムリ)八號(はちごう)の教育係でもある葛原粕人は一通りの勉強を教えた後に最後の締めとして眠八號に人生の心得を説いていた。

「眠さん。他人に親切をすればいつか自分に返ってきます。だから困った人を見かけたら親切にするんですよ」

「しんせつ……? わかりました!」

 元気よく返事をする眠八號。粕人にそう返事をしたものの眠八號は実際に親切というものがどういうものかわかっていなかった。

 

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「う~ん……しんせつ……」

 

 考えている眠八號の前に技術開発局副局長の阿近(あこん)が通りかかる。

「阿近さん!」

 呼び止める眠八號に阿近は振り返る。

「どうした?」

「阿近さん『しんせつ』ってどう書くんですか?」

(『しんせつ』? 普通に考えれば『親切(しんせつ)』だよな。でも『新雪(しんせつ)』や『新説(しんせつ)』、はたまた『新設(しんせつ)』の可能性も……)

 どの『しんせつ』を聞かれているのか首をかしげる阿近に、眠八號はさきほどの粕人の説明を伝える。

「あぁ、その『しんせつ』か。……ちょっと待ってろ」

 阿近は持っていたメモ帳にすらすらと文字を書くと書いたページを破って手渡す。

 

「親切というのは(おや)()ると書くんだよ」

 

「……親を、切る」

 背を向けて立ち去る阿近は気がつかなかった。『親を切る』という言葉を聞いた瞬間、眠八號の顔が真っ青になっていたことを。

 

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「ん?」

 自室に戻った涅マユリが見た光景。それは包丁を持った眠八號の姿だった。包丁を持つ手はガタガタと震えている。

「何をしている?」

「……や、やっぱりできないです!」

 ポロポロと涙を零し持っていた包丁を落とす。

「眠八號、なぜこんな真似を?」

 マユリは優しく問いただす。

「クズさんが……親を切れ、と……」

「ほう、あのクズがそのようなことを」

 愛娘の頭を優しく撫でながら、マユリは満面の笑み(・・・・・)を浮かべた。

 

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 翌日。技術開発局通路。

「~~~♪」

(う~ん、今日はとっても気分がいい。なんかいいことがありそうだ)

 陽気に鼻歌を歌いながら資料室に入った阿近は

 

「ッッッ!?」

 

 大きく目を見開いた。そこにいたのは

 

「────」

 

 手足全ての指に針を刺され、えぐりとられた目から溶けた鉄を流し込まれ、肛門から口にかけて鉄製の棒で串刺しにされ絶命した部下、葛原粕人の姿があった。




数ヵ月ぶりの投稿。待っている人がもしいたらごめんなさい。

数あるハーメルン作品の中でも葛原粕人を超える不幸な男はいないだろうな、と思う今日この頃。

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