本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。
12月23日 朽木邸
「サンタなんているわけないじゃん!」
「います! サンタさんは絶対います!」
「じゃあサンタがいるなら明日の夜に眠ちゃんの所訪れてプレゼントくれるはずだよね?」
「もちろんです! サンタさんは煙突くぐって必ずプレゼントくれます!」
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翌日。12月24日 朝。
「……っ。あの、涅隊長。何かあったのでしょうか?」
夜勤明けで今まさに帰って寝ようとした矢先、眠八號から
「クズ、今日はクリスマスイブだ。つまりサンタクロースが可愛い眠八號にプレゼントを届ける日だ」
「そうですね」
なぜ眠さん限定!? と突っ込もうとした粕人だったが、『私の高尚な話の腰を折るとはいい度胸じゃないかネ!?』と怒りを買うと察知し何食わぬ顔で返答する。
(これは僕にプレゼントを渡すように命令するんだろうな、自腹で!)
心の中で「まぁ、いいけど」と折り合いをつける粕人にマユリは言った。
「サンタがプレゼントできるように煙突を作れ」
「……はっ?」
予想もしていなかった上司の発言に、粕人はポカーンと立ち尽くす。
「あ、あの……涅隊長? 何を言って……」
「サンタクロースは煙突からやってくると眠八號は言っていたなぁ」
マユリの真意が理解できずに固まる粕人にマユリは目を押さえながら口を開く。
「もし煙突がなかったら……。きっとサンタクロースは来ないのだろうなぁ。サンタクロースが来なかったら眠八號はものすごく悲しむだろうなぁ。その姿に耐え切れず……私は部下に当り散らしてしまうかもしれない……最悪、その部下を殺してしまうかもしれない」
そう言ってマユリは目の前で震える部下を見る。
「……」
粕人の死を覚悟して言った。
「涅隊長……突然の申し出に驚かれるでしょうが、隊長の家に煙突を作ってもよろしいでしょうか?」
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12月24日 夜。
「ハクチッ!」
煙突が見える茂みで、苺花はサンタクロースを待っていた。
「眠ちゃんはサンタはいるって言っていたけど、絶対
苺花は独り言を止めて煙突を凝視する。そこには大きな袋をかついだ、赤い服を着た小柄な人物が今まさに煙突に入ろうとした。
「見つけたぞ!」
瞬歩で一気に間合いを詰めると苺花は解号と共に斬魄刀、青龍丸を抜くと赤い服を着た人物に斬りかかった。
「う、うわっ!?」
苺花の声に振り返った謎の人物の真っ白な髭が屋根に落ちる。
(やはり)
苺花はニヤリと笑う。すぐにどこからともなく髭を出して顔を隠すが、その顔は葛原粕人そのものだったからだ。
苺花に背を向けて逃げ出す粕人。
「待ちやがれ!」
逃走する粕人と思われる人物を苺花は追った。
「くっ、ちょこまかと!」
「追い詰めたぞ!」
赤い服を着た人物を誰もいない袋小路で追い詰めた苺花が言い放つ。
「さあ、正体を現せ! 偽サンタ!」
そう言って斬りかかった苺花を
「え?」
偽サンタは
(ば、馬鹿な!? 葛原粕人は瞬歩は使えないはず!?)
「卍解」
苺花は後ろに視線を移す。そこには
刃も柄も鍔も赤錆のように汚れた斬魄刀、
「
仏宇野は躊躇することなく赤錆のように汚い刀身で苺花を貫いた。
お前は今日、サンタクロースに出会った。
消え行く意識の中で、苺花は大嫌いな男の親友の言葉を聞いた。
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12月25日
「だから本当だって! 本当にサンタクロースに会ったんだって!! ほら、証拠にゲンテンドウsyuwattiを私にくれたんだって!!」
ゲーム機を見せながらサンタクロースがいることを主張する苺花。
「「……」」
昨日までサンタクロースはいないと言っていた娘の豹変振りに父親の
ちなみにブラック企業も青ざめる業務をやらされ疲弊したところに煙突作りを強要され、作り終えた後に寝る時間はおろか休む時間もなく夜勤をさせられた粕人は、親友の仏宇野段士に代役を頼んだ後に過労死していた。が、それはまた別の話である。
ほぼ二ヶ月ぶりの投稿。あやうく書き方を忘れるところでした。
もし待っていた方がいらっしゃいましたら、本当に申し訳ございません。
仏宇野段士の卍解。一日一回限定で斬った相手を仏宇野が言ったように思い込ませることができる。
卍解時は刃も柄も鍔も赤錆のような汚れが浮かび上がる。自称『尸魂界で最も醜い斬魄刀』。