天才・涅マユリの秘密道具   作:筆先文十郎

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この小説はBLEACHの二次創作です。
本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。

見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。

なんで阿近がBLRACHを読んでいるかというツッコミはスルーして頂けると幸いです。


阿近が涅マユリの秘密道具第二話を見た時から多くの読者の皆々様が薄々気づいたことを代弁するようです

 技術開発局休憩室

 技術開発局で局長である涅マユリに次ぐ地位にいる男、阿近(あこん)はBLRACHの十四巻を読んでいた。

「この頃の局長はひどいな」

 自身が爆弾にされたことに恐怖する隊員に容赦なく起爆スイッチを押すマユリ(上司)のシーンを見て、呟かずにはいられなかった。

「100年以上付き合いのある俺でも局長のやることは分からないことがある。まぁ、そこもあの人の魅力と言える所もあるんだけどな」

 そう言って阿近は机に置いた珈琲(コーヒー)に口をつける。

「ん?」

 ふと阿近の視界に何者かが入る。

「ふう、よっこいしょ」

 そう言ってドリンクサーバーの前に立ったのはマユリに顎で使われる十二番隊第二十席兼技術開発局雑用係総責任者兼眠八號(ネムリはちごう)護衛総責任者という誰もやりたくない雑用と極度の緊張と責任を負わされる仕事を押しつけられた不運な男、葛原(くずはら)粕人(かすと)だった。

「はぁ、それじゃあやりますか」

 小柄な男は腰をトントンと叩くと持ってきた段ボールから必要な物を取り出すとドリンクサーバーを掃除、点検。それが終わるとドリンクサーバーで規定に達していない飲み物を補充していく。

 普段の仕事と違い無駄のないテキパキとした動きでそれらを行う粕人を見ながら阿近は思う。

(14巻の時点で、葛原が最初から十二番隊、もしくは四番隊から十二番隊(うち)に配属されていたら。間違いなく葛原が人間爆弾役に選ばれていただろうな)

 苦笑を浮かべる阿近の視線に気づいた粕人が振り返る。

「……あの、阿近さん?どうしたんですか。人を憐れむような目で見て」

「……いや、何でもない。それより葛原、今晩暇か?何か奢ってやるぞ。六角(ろっかく)(てい)でどうだ?」

「あ、ありがとうございます」

 キョトンとした顔で頭を下げる粕人。

「失礼ながら阿近さん。……何かあったんですか?六角亭って結構値がありますけど……」

「いや、他意はない」

 阿近は首を横に振ると心の中で呟く。

(言えるわけがないだろう。もし『葛原(お前)が14巻の時点で十二番隊にいたら間違いなく人間爆弾に選ばれていたな』なんて)

「ハッ!もしかして……」

 何かを思いだし、粕人は頭を抱えてその場に(うずくま)る。

「昨日誤って割ってしまった(ネムリ)さん手作りの湯呑みを僕が作ったダミーとすり替えたことが隊長にバレて──」

「ほう、そうだったのか」

「「────ッ!?」」

 阿近と粕人は固まった。何故ならば先ほどまで休憩室にいなかった二人の上司、(くろつち)マユリが粕人の背後に立っていたからだ。

「そうだクズ。お前には今から付き合ってもらいたい実験がある。なぁに、そんな難しいものではない。私が開発したとある液体に数時間全身を浸かるだけだ。心配することはない」

「い、嫌だ!……隊長のことだ!僕を溶解液に──」

 マユリは研究素材を見つけた時のような満面な笑みを浮かべると逃げようとした粕人の首根っこを掴んでその場から消えた。

 

 

 

 その日の夜。「来ることはないだろうな」と思いつつも念のため日付が変わるまで六角亭にいた阿近だったが同情した男が来ることはなかった。

 


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