本編とは違うところが多々あります。
本編と矛盾するところがあるかと思います。
他にもおかしいところはあると思います。
以上のことを了解した上で読んで下さると助かります。
見えざる帝国との戦いが終わった10年後のif要素のある物語です。
二番隊隊舎、
「……」
二番隊隊長にして隠密機動の長、砕蜂は一人考え事をしていた。
元来持つ気の強さから砕蜂には嫌いな男が多い。嫌いな男ランキングを述べると
一位に自分と崇拝する四楓院夜一を引き裂く原因になった
二位に満足に仕事をせずに金勘定のことばかり考える副隊長、
三位に浦原喜助の元部下であり不気味な男、
その三位に迫る男がいた。
「
裏見隊の月光が提出した粕人の調査書を見て砕蜂は激昂した。
彼女にとって粕人は崇拝する夜一にちょっかいをかける蝿のような存在だった。さらに夜一と仲良くなれるという粕人の甘言によって酷い目にあった。
「あの男は、あの男だけは血祭りに上げたい!」
握った拳の爪が肉に食い込み、血がにじみ出る。
「だが葛原粕人は斬魄刀・
どうすればいいと頭を抱えて悩む砕蜂。
「!」
考えること数時間。砕蜂はあることを思い出した。
「そうだ、いい方法がある。葛原粕人を殺さずに葛原粕人に復讐する方法が!」
ニヤリと笑うと砕蜂は目にも映らぬ速さでとある場所に駆け出した。
====================================================
翌日。
「確かお前は……葛原粕人だったな?久しぶりだな」
「あ、ああ、はい。ご、ご機嫌麗しゅう……」
水浴びをしている所を覗き見にした粕人はあっさりと夜一に見つかっていた。
恐怖で身体を小刻みに震わせる粕人に今まさに殺さんとする夜一。その光景を砕蜂が少し離れた場所で隠れて見ていた。
(葛原粕人め!クズの分際で夜一様の完璧な肢体を覗き見ようとは、万死に値する!!)
憤りながら懐から毒々しい緑色のノートを取り出す。ノートには『バケモノになる』と書かれてあった。
それはマユリが虚園に行った際、ザエルアポロの保管庫から持ち帰ったノートの一つである。
「お、お許しを……お許しを!」
「さて、どう料理してやろうか」
腰を抜かしたまま許しを乞う粕人に怒りの炎を滾らせる夜一。
(ふふふ、葛原粕人。バケモノになって夜一様に殺されてしまえ!)
砕蜂はノートを開くと
『葛原粕人』
と名前を書いた。次の瞬間
「な、なんだ!?うわあああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
突然起こる未知なる感覚に、粕人は悲鳴に似た絶叫を上げる。
「な、なんじゃ!この『て、て、テレビを見る時は~部屋明るくして離れて見てね』と言いたくなるほどの点滅する閃光は!」
腰を抜かす小柄な男から発せられる閃光に思わず手で目を覆う夜一。
「お、収まったか……ッ!?」
閃光が収まるとそこには
「くじゅ?」
黄色いネズミを連想させる、体長40センチほどになった愛らしい瞳をした粕人がいた。
ドキューーーーーーンッッッ!!!!
その愛らしい姿に、夜一の心が貫かれた。
「な、なんと
「くじゅ?」
独り言のように呟く夜一に首を傾げる粕人。
「な、なあ。葛原粕人。そ、そのままでは不自由だろう?元に戻るまで儂と一緒にいるか?いや、一緒にいるがいい!!」
「くじゅ~!」
頬を染める夜一の提案に
「お~、いい子だ。いい子だ!」
と抱きつき頬ずりする夜一。
「くじゅくじゅ!」
「よ、よし。それじゃあ家に帰って一緒に飯でも食うとするかのぉ」
「くじゅ~!」
「……………………」
憎い男が崇拝する女性に惨殺されるどころか心を射止め、自分がしてもらいたかったことをしてもらえる展開になったことに放心する砕蜂。そして
よ、よ、よ……夜一様ああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!
お前だけは、お前だけは絶対に許さんぞ……葛原粕人!!!!
という悲痛な叫びと怨嗟に塗れた怒号が響き渡った。
ちなみに粕人が元に戻るまでの数日間、砕蜂が嫌う男ランキング一位に浦原喜助を押しのけ粕人がランキングトップに君臨することになったのは言うまでもない。
元ネタです。
『て、て、テレビを見る時は~部屋明るくして離れて見てね』
ポケモンショック以降に注意喚起するようになったこち亀OP。
くじゅー
葛原粕人がバケモノになった姿。その姿に心奪われた夜一によって連れ去られた。